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★我楽多だらけの製哲書(57)★~気にはなるが意味は分からない文字たちと横井也有(Characters that are worrisome but do not understand the meaning, and Yayu Yokoi)~

仏教寺院が至る所にあるバンコクであるが、散策しているとモスクを見つけた。モスク周辺のお店ではタイ語だけでなくアラビア語での表記も発見した。やはりムスリムの人たちのためにアラビア語でも表記をして理解しやすくしているのだと思う。

タイ語とラオ語は似ているのに、ラオスにいた1年間でほとんどラオ語を勉強しなかった私にとって、タイ語は「謎の文字」である。そして大学2年のときに興味本位で履修したアラビア語も20年以上時間が経っているので全く分からない「謎の文字」である。

読めないというか、そもそもそれが文字なのか、いたずら書きの図形なのかの区別さえできないレベルである。適当に書かれて、それがタイ語だとかアラビア語だとか言われても信じてしまうだろう。

これらの文字について、意味の認識という点では、全く分からないのでもちろん「謎の文字」である。それゆえ、文字の一つひとつが「得体の知れないもの」に映り、ネガティブな印象を持つ可能性が生じうる。

人間は認識が上手くできないものと遭遇すると、本能的に恐怖とか嫌悪とかネガティブな感情を抱くことが多いと思う。

「幽霊の正体見たり枯れ尾花」
これは実体が分からないものは恐怖の対象のように映ってしまうが、正体が分かると普通のものであったという諺である。ただ、この諺は現在「幽霊」として世に知られているものの、もともとは江戸時代中期の武士でありながら、俳人・国学者としても活躍した横井也有(よこい・やゆう)という人物の句が元になっていると考えられている。彼の俳文集『鶉衣(うずらごろも)』の中に次の句がおさめられている。

「化物の正体見たり枯尾花」
元々は「幽霊」ではなく「化物」だったわけである。意味としてはそれほど変わらないだろう。ただ個人的には、真夜中に薄明かりによって自分の前にあるものが何であるか、しっかりと認識できない状態から、それを幽霊と思って恐れてしまうイメージの方が、オリジナルの化物よりも良いような気がする。

人間は得体の知れないものに対して、大きな恐怖とか嫌悪の感情を抱くというのは今も昔も変わらないということであろう。この句は「疑心暗鬼」を示しているとも言え、さらにこれは日本人だけに限ったものではないと思う。

いまだ解決には至っていないウクライナ情勢にもこの人間の心理は当てはまっているように感じる。プーチン大統領は、NATOや西側の資本主義の国に対して不信感を持ち、そこから自国の安全を守るためという自衛の論理で行動した部分があると思われる。しかしそのような疑心暗鬼があったとしても、国連憲章第2条4項の武力不行使原則を逸脱する正当な理由にはならない。確かに憲章第51条には自衛権の規定もあるが、それが積極的な先制自衛を容認しているようには解釈できない。そして憲章第2条3項には紛争を平和的に解決することも規定されているので、現在のロシアの行動は国連憲章との関係で整合性がつかないと私は考えている。一部報道では、ロシア軍が撤退した地域もあるというが、状況を慎重に見極めなければならないだろう。
I feel that this human psychology applies to the situation in Ukraine, which has not yet been resolved. Putin seems to have been distrustful of NATO and Western capitalist nations, and acted on his self-defense logic to protect his country's security from it. However, such suspicion is not a valid reason to deviate from the principle of non-use of force in Article 2.4 of the Charter of the United Nations. It is true that Article 51 of the Charter also provides for the right to self-defense, but it cannot be interpreted as allowing active preemptive self-defense. And since Article 2.3 of the Charter also provides for peaceful resolution of disputes, I believe that Russia's current actions are inconsistent in relation to the Charter of the United Nations. Some reports say that Russian troops have withdrawn in some areas, but the situation will have to be carefully assessed.

さて話を文字に戻すと、たとえ得体の知れない文字であっても、視点を変えたときポジティブな面が見えてくることがある。形状の認識という点では、その線の丸み、線のうねり、トメ・ハネの勢い・文字全体から受ける構造的な印象などに美意識を感じることがある。それゆえポジティブな印象を持つ可能性が生じうる。

日本に観光で来ている外国の方で日本語が書かれたTシャツを着ているのを見かけるが、なぜその言葉のTシャツを選んだのだろうと思うことがある。それは意味ではなく、文字の形状をデザインとして気に入って着ているのだと思う。つまり、意味という「質的価値」ではなく、形状という「量的価値」によるものなのである。
I see foreigners who come to Japan for sightseeing wearing T-shirts written in Japanese, but sometimes I wonder why they chose the T-shirts with that language. It doesn't mean that, I think I like the shape of the letters as a design and wear it. In other words, it is not due to the "qualitative value" of meaning, but to the "quantitative value" of shape.

そういえば、住んでいる物件の近くで気になる文字が入ったバイクを見つけた。たぶんこれも「質的価値」ではなく「量的価値」として、文字を入れたものと考えられる。

(以下でモスクや街の様子を紹介)
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