見出し画像

❖足元美術館Ⅺ(美しいものには秩序がある)❖ まいに知・あらび基・おもいつ記(2022年4月26日)

◆足元美術館Ⅺ(美しいものには秩序がある)◆
川底に何かが潜んでいるのだろう。バンコクの川でよく見かける光景である。

水面が一瞬泡立ったと思ったら、その後は静かに波紋が広がる。多少、風が吹いているので、水面はデコボコしているのだが、その粗さなどものともせず、波紋は綺麗な円を広げていく。そうして、自分の存在感で世界を上書きしている。

波紋と水面によって作り出される秩序は「運動と力に関わる美しさ」である。

その水面の脇に赤い花が植えられていた。空の青さを多少は映し出してはいるものの、全体としてモノトーン調の水面が、ちょうど背景のような役割を果たしていて、花の「赤さ」は揺るぎないものとして際立っている。そうして、自分の存在感で世界を支配している。

花と水面によって作り出される秩序は「色彩と光に関わる美しさ」である。

どちらの秩序も自然界の原理に忠実で、淀みを感じないところに美しさがある。

ちなみに「川」はタイ語では「メー ナーム(แม่น้ำ)」という。メ―(แม่)が「母」を意味しており、ナーム(น้ำ)はこれまで何度も登場した「水」である。命を育む母なる水源ということだろうか。私が中学生の頃の地理では、バンコクを流れる川を「メナム川」と表記していた。現在は「チャオプラヤ川」と表記されるのが一般的である。これは単に「川」としての「メナム」という音を外国人が、その川の固有の名と勘違いしたことに由来しているらしい。「チャオプラヤ川」はタイ語で「メー ナーム ジャオプラヤー(แม่น้ำเจ้าพระยา)」である。そしてタイの北部のラオスとの国境を流れる「メコン川」はタイ語で「メー ナーム コーン(แม่น้ำโขง)」という。コーン(โขง)は諸説あるが、「ガンジス」の音が変化したという説のように、「偉大な川」という意味が関わっているらしい。他にもメ―(แม่)が「母」で、コンはカンボジア語では「水」を意味するという説もある。とにかく川は生命にとって大切であるという思いが根底にあるのだろう。

#この街がすき   #旅のフォトアルバム
#タイ   #バンコク

画像1


この記事が参加している募集

#旅のフォトアルバム

38,986件

#この街がすき

43,763件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?