見出し画像

❖見タイ!知りタイ!伝えタイ(号外12)❖ まいに知・あらび基・おもいつ記(2023年8月21日)

【記事累積:1672本目、連続投稿:701日目】
<探究対象…タイ、議会、比較政治、連立政権、大連立>

♪サワディー(こんにちは)
私のPCの検索サイトのトップページは去年からなぜかタイ語になっていて、タイ関連のニュースが最初に目に入ります。私はタイ語がほとんど分からないのですが、ニュースの見出しと一緒に出てくる写真を見ていると何となく、どんなニュースかが想像できます。最近のニュースはタイ議会の連立構想に関わるものが多いので、出てくる写真もたくさんの党首が手を繋いだり、飲み物を持って乾杯したりと、団結をアピールしているものばかりです。【情報の収集】

その中で、今日トップページで流れてきたニュースの中に特に気になるものがありました。そのニュースの見出しは「"เพื่อไทย" แถลง จัดตั้งรัฐบาล 11 พรรค แบ่งเก้าอี้ลงตัว หนุน "เศรษฐา" เป็นนายกฯ」でした。そして党首たちが手を繋いでいる画面の中のテロップには、その「11」という数字だけではなく「314」という数字もありました。これは具体的にはどんなニュースだったのでしょうか。【課題の設定】

これまでもタイ語の見出しの中に数字が出てくることがありましたが、4ケタの数字が示されるときはたいてい「仏暦(釈迦が入滅したとされる年、またはその翌年を元年として計算されている紀年法である仏滅紀元の別称)」を示しています。今回のニュースに出てきた3ケタの数字の場合は、最近の動きから推測すると連立を組む政党の合計議席数と思われるのですが、先日までだと「238」や「274」という数字が注目されていました。これはタイ貢献党とタイ誇り党の連立に、親軍派の政党で引き続き暫定的に首相を務めているプラユット氏が所属する国家建設タイ合同党(UTN)が合流を表明したことで、それまでの「238」議席から、UTNの「36」議席を加えた「274」議席を示していました。今回の数字は「314」なので、これが合計議席数だとすると、さらに新たな政党が連立に参加したことが予想できます。【情報の収集】

ニュースの画像部分をクリックすると、記事の書き出しは次のようになっていました。「วันที่ 21 สิงหาคม 2566 จากกณณี "พรรคเพื่อไทย" แถลงการณ์จัดตั้งรัฐบาลพรรคเพื่อไทยและพรรคการเมืองรวม 11 พรรค จำนวน 314 เสียง ร่วมกันจัดตั้ง」。ここにも画像のテロップにあった「314」があります。そしておそらく仏暦と思われる「2566」があり、その近くに「21」があるので、これは今日の日付を示していると考えられます。すると、「314」が本当に合計議席数なのか、そして「11」は何を意味しているのかの2点に関心が絞られてきました。【情報の収集】

これまでの合計議席数「274」と、今回の「314」を比べると、「40」の差があることが分かります。「40」議席というのは、かなり多い数字です。2023年5月の下院選挙の結果では、前進党が151議席で第一党となり、タイ貢献党が141議席で第二党、タイ誇り党が71議席で第三党でした。そして、このタイ誇り党の次に多くの議席を獲得していたのが「40」議席の国民国家の力党で、この政党は親軍派であり、これまで連立参加を表明していませんでした。しかし、先日もう一つの親軍派である国家建設タイ合同党(UTN)が連立参加を表明したことを考えると、もはや親軍派だから連立には参加することはないという論理は成り立たないことが分かります。【整理・分析】

実際、このタイ語の記事本文を翻訳してみると、「11党が政権樹立を表明し、合計314票」になったと書かれていました。そして、この一気に増加した40という数字はやはり国民国家の力党のものでした。こうして先日まで連立参加を表明していた10党に国民国家の力党を加えた「11」党を軸にして、明日に予定されている2回目の首相指名の投票に向かっていくことになります。(日本の報道では「12党連立」という記事も見かけますが、11党だと思います)【整理・分析】

この11党の獲得議席数を整理すると以下のようになります。
(新しい連立の中心となった二党)
タイ貢献党・・・141
タイ誇り党・・・71

(8月9日時点で連立参加を表明していた政党)
プラチャチャート党・・・9
セーリールアムタイ党(自由党)・・・1
プータイルアムパラン党・・・2
パランサンコムマイ党(新社会勢力党)・・・1
トンティータイ党(タイ地方党)・・・1
チャート・パタナ・クラ党(団結国家開発党)・・・2

(8月10日時点)
チャート・タイ・パタナ党(タイ国民発展党)・・・10

(8月17日時点)
タイ団結国家建設党(UTN)・・・36

(8月21日時点)
国民国家の力党・・・40

この11党の議席を合計すると「314」になります。【整理・分析】

明日の2回目の投票にタイミングを合わせたのか、タクシン元首相がタイに帰国するという報道もあり、明日のタイは今まで以上に慌ただしくなるように思えます。投票自体は、今回連立参加を表明した国民国家の力党の党首・プラウィット・ウォンスワン氏が上院に対しても大きな影響力を持っていると考えられ、下院での過半数と上院への影響力を合わせると過半数の賛成は得られると思います。しかし、それは議会内でのパワーゲームの結果にすぎないわけで、5月の下院選挙で明らかになった民意とは逆行した動きで新連立が組まれ、新たな首相が指名されるという状況は、タイ政治の未来が快晴ではないことを示しています。明日の2回目投票も注目していこうと思います。【まとめ・表現】

ちなみに、「数字」はタイ語で「ตัวเลข(トゥアレーク)」といいます。同じくラオ語では「ຕົວເລກ(トゥアレーク)」になります。

それでは本日はここまで。
♪ジューガンマイ(また会いましょう)

#この街がすき   #旅のフォトアルバム
#タイ   #バンコク
#タイ下院選挙    #首相指名     #首班指名

この記事が参加している募集

旅のフォトアルバム

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?