📖気た・見た・つかった【報告15】📖　まいに知・あらび基・おもいつ記（2023年8月26日）

（東南アジアで生活していて、「気（になっ）た」「見た」「『つ』かった」外国語について、カエサルの有名な報告に「劣るとも勝らない」レポートをしていきます）

【記事累積：1682本目、連続投稿：706日目】
＜探究対象…言語、標識、仏教寺院、歴史と地理＞

今日の言葉は、ラオ語の「ວັດອິນແປງ」と「ວັດອົງຕື້」です。ナンプー広場とメコン川のナイトマーケットの間にある脇道を歩いていると、この2つの言葉が書かれた標識を発見しました。この標識は左右それぞれが矢印になっていて、それぞれの方向に行くと標識に示された場所に行くことができるもののようです。私が気になったのは2つの場所の文字にいくつかの共通点があることでした。さてこの標識は具体的に何を示しているのでしょうか。【課題の設定】

標識の左側には「ວັດອິນແປງ」というラオ語と一緒に「VAT INPENG」というアルファベットも示されています。一方、右側には「ວັດອົງຕື້」というラオ語と一緒に「VAT ONG TEU」というアルファベットが示されています。２つのラオ語を見てみると「ວັດ」が同じであることが分かります。また2つのアルファベットを見てみると「VAT」が同じです。【情報の収集】

英語の読み方だと「バット」になりますが、「VAT INPENG」の「E」の上に「‘」のような記号があり、これは英語では使われないものです。そしてラオスがかつてフランスの支配を受けていたことから、これはフランス語として発音するものと考えられます。すると「バット」のような濁音ではなく「ワット」に近い音になります。【整理・分析】

さらに去年タイに住んでいたときの情報も組み合わせると、「ວັດ」「VAT」の意味はさらに予測しやすくなります。タイ語で「ワット」という音から始まる言葉に私は去年たくさん出会いました。タイ語だと「วัด」という文字が「ワット」と発音されます。そして、この音で始まる言葉はタイ語では「仏教寺院」でした。【情報の収集】

この標識があった付近にも５つくらいの仏教寺院がありました。そして左右の2つの場所に共通している「ວັດ」という最初に表記されているラオ語と「VAT（ワット）」という音から考えても、タイ語の「วัด（ワット）」と同じように、これが「仏教寺院」を示していると判断することができそうです。まあ標識に寺院の形のようなマークもありますし、本当に何も知らない状態での推測ではなく、着地点は或る程度分かった状態でしたが、とりあえず筋道を立てて考えた感じになったと思います。【整理・分析】

ただ左右の場所のラオ語を見たとき、共通点と思われるものは「仏教寺院」を示す「ວັດ」だけではないことに気づきます。左の「ວັດອິນແປງ」の最後の文字「ງ」と、「ວັດອົງຕື້」の途中の「ງ」は同じ文字です。そして「ວັດອິນແປງ」のアルファベット「VAT INPENG」の最後の方が「…NG」となっていて、「ວັດອົງຕື້」のアルファベット「VAT ONG TEU」の途中が「…NG」になっています。【情報の収集】

ここからラオ語の「ງ」という文字は、「…NG」という発音なのではないかという予測もできるのです。そしてラオ語の「ງ」をカタカナにすると「ンゴー」という音で、末子音だと「ン」のように「G」の音はそこまではっきりと発音しない形になります。【整理・分析】

こうして、標識の左右の場所はそれぞれ仏教寺院を示していることが分かりました。また「VAT」というアルファベットを見ると、英語だと思って「バット」と発音してしまいそうですが、これは「ワット」と発音することも分かりました。今回、標識の文字を出発点にして考察を進めてみましたが、それは単に見た目の共通性だけでなく、フランスとの歴史的な関係であったり、タイ語との類似性が見られたりと、気づき・学びを広げることができました。歴史や地理の視点も組み合わせると、考察を楽しむことができることを改めて実感しました。【まとめ・表現】

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