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❖見タイ!知りタイ!伝えタイ(号外15)❖ まいに知・あらび基・おもいつ記(2023年9月1日)

【記事累積:1694本目、連続投稿:712日目】
<探究対象…タイ、比較政治、恩赦、大連立>

♪サワディー(こんにちは)
8月下旬まで3カ月にもわたる政治的空白が続いていたタイですが、8月22日に新たな首相としてタイ貢献党のセター氏が選出されてからは一転して慌ただしい動きとなっています。具体的な状況としてはどうなっているのでしょうか。【課題の設定】

新しい首相が決まったので、そこから組閣の流れとなります。今回も大連立となったため、閣僚人事のバランスは大きな課題となっています。また、ここまで暫定首相を務めていたプラユット氏は、後任のセター氏と会談し、下院選挙で支持が得られなかった状況に不釣り合いなにこやかな表情でした。【情報の収集】

もし下院選挙で第一党となった前進党が中心となった内閣になっていたならば、軍部によるクーデターを主導し、その後の軍政や親軍派による政治に関わってきたプラユット氏の政治的責任が追及されていたかもしれません。しかし今回の大連立からは前進党は外れ、第二党のタイ貢献党が親軍派の2党と合流する形になりました。そのため、プラユット氏の政治的責任を追及する可能性はほぼなくなったと考えられ、セター氏との会談でも晴れやかな表情だったのではないでしょうか。【整理・分析】

さらには、8月30日には今回の大連立が、5月の下院選挙の民意を忠実に反映したものではないということで、タイ貢献党の党首チョンナン・シーケーオ氏が辞任をしました。【情報の収集】

これは今後、組閣が完了し本格的に大連立での政治を進めていく際、民意に背いたことについてその都度指摘されることが予想されるため、新内閣のスタート前にタイ貢献党の党首が引責辞任することで、一応の幕引きを図ったものと考えられます。【整理・分析】

それから8月22日に2008年ぶりの帰国を果たしたタクシン首相についても、帰国後収監され8年の刑期に服する予定でしたが、8月31日に恩赦を申請していました。そしてその申請がその日のうちに受理され、恩赦によって刑期が「1年」に短縮されています。【情報の収集】

これもタクシン派のタイ貢献党と、上院議員や裁判所など様々な方面に影響力を持っている親軍派との大連立が関係していると考えられます。親軍派は本来ならば下院選挙で議席を大きく失っていたので、政権に参加するのが難しかったところ、タイ貢献党との歩み寄りにより与党になることができたので、タイ貢献党が望んでいたタクシン氏の恩赦を受け入れたのではないでしょうか。またタイ貢献党は、首相の指名投票でタイ貢献党が擁立したセター氏が、親軍派との歩み寄りを受けて、上院議員からも支持される形になったと考えられるので、双方に大きなメリットがあったと考えられます。【整理・分析】

このように今後のタイ政治は親軍派の影響が残ったまま続いていくことになります。ただし2019年の大連立との違いは、2019年の主軸は親軍派の政党でしたが、今回の大連立はタイ貢献党が主軸になっているということです。しかし親軍派の要求をタイ貢献党がどこまで政策に取り込むかは分からないので、政策協議がうまくいかなくなったとき、親軍派がどう動くかは不安要素だと思います。そして親軍派の不満が膨らんでいった場合、再び軍事クーデターが起こる可能性も否定できません。さらに難しいのは、現在の大連立を国民は基本的に支持していないということです。今回の大連立が国民の支持を多く得ているならば、親軍派や軍部も下手な動きはできませんが、そうではないためクーデターを起こしやすい状況が潜んでいるように感じます。タイの政治の不安定さは続きますね。【まとめ・表現】

ちなみに、「短い」はタイ語で「สั้น(サン)」といいます。同じくラオ語では「ສັ້ນ(サン)」になります。

それでは本日はここまで。
♪ジューガンマイ(また会いましょう)

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