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❖意外にも合理主義者❓❖ まいに知・あらび基・おもいつ記(2022年1月14日)

(長さも中身もバラバラ、日々スマホメモに綴る単なる素材、支離滅裂もご容赦を)

◆意外にも合理主義者❓◆ 
我が家に居候している奴(通称、ガマ美)は、私がこれまで持っていたカエルのイメージと違う部分がある。カエルというといつもケロケロと鳴く生き物だと思っていたが、鳴かない。そして、ピョンピョンと跳ねる生き物だと思っていたが、広い場所に解き放っても跳ねることなく、ノソノソと歩くのである。

それなのにカエルのイメージが跳ねる生き物として定着しているのはなぜだろうか(❓)

この定着しているイメージと実際とのズレはカエルに限った話ではない。鳥というと空を飛ぶ動物のイメージが定着しているが、カエルの話と同様に、空を飛ばない鳥がいる。ただ、意志や判断に関わる「空を飛ばない」という表現は正確ではなく、構造や能力に関わる「空を飛べない」と表現するべきである。例えば、ダチョウやエミューやペンギンはあえて「空を飛ばない」のではなく、環境への適応の過程で飛翔能力が退化し、「空を飛べない」状態になっているのである。

ガマ美はカエルの中のヒキガエルという種類である。ヒキガエルはアマガエルやウシガエルやトノサマガエルのように積極的に跳ねることはない。だから、それは先ほどの鳥の話のように、構造や能力から「跳ねることができない」ということではない。ヒキガエルは太もものもしっかりしていて脚力はあり、跳ねる能力は十分にある。しかし、ヒキガエルはその跳ねる能力をひけらかすことはない。ヒキガエルは意志や判断として「跳ねない」のである。

だが、構造・能力で「空を飛べない」というペンギンなどの場合も、意志・判断で「跳ねない」というヒキガエルの場合も、定着しているイメージからのズレによって、違和感を持たれた存在として見られることになる。

古代ギリシアの哲学者であるソクラテスは、或るものが本来持っている能力や性質が優れているその状態を「アレテー(卓越性、優秀性)」と呼んだ。例えば、ナイフという道具のアレテーは、「しっかり切れること」であり、馬という生き物のアレテーは、「速く走ること」とソクラテスは説明している。それは形や色といった量的で物質的な要素から導かれるものではなく、性質や能力といった質的で内に備わる要素から導かれるものである。ソクラテスは、速く走れない馬を、生物の種類として馬と認めないと考えたわけではなく、馬であるならば「速く走る」という性質や能力が期待され、それが馬としての存在価値・存在意義であると考えた。そして馬である以上は、その存在価値・存在意義に向かって成長するのが理想的な姿と理解したわけである。だからソクラテスが、人間のアレテーを「知を働かせて善く生きること」としたのも、知を働かせないと人間扱いしなくて良いということではなく、知を働かせてこそ、人間が人間らしさを発揮できるので、それが「人間が目指す『あるべき姿』」だと主張したかったということである。

また、これまでガマ美を観察していると、ガマ美はTPOに合わせて動きを選択していることが分かってきた。それを整理すると以下のようになる。身体の持ち上げは、敵をこれ以上近づけさせないための威嚇手段。小ジャンプの頭突きは、敵を追い払う攻撃手段。大ジャンプは連続性のない場所の移動手段。歩くは連続性のある場所の移動手段。おしっこは相手をひるませ相手を遠ざける緊張回避手段。毒腺は相手に確実なダメージを与える自衛手段。

ソクラテスがアレテーとして表現した「あるべき姿」は、「存在自体の定義」と区別されず、同一のものに捉えられてしまうことがある。そうして出来上がってしまったイメージが、時間と共に偏見や先入観も取り込みながら定着したものは、「ステレオタイプ」と呼ぶことができる。

カエルのイメージが跳ねる生き物として定着しているのは、まさに「ステレオタイプ」に基づくものである。しかし、それはカエルの一面にしか注目していないことを示している。実際のカエルを観察すれば、先ほどガマ美のTPOに応じた動きのように、カエルという生き物を多面的に捉えることができ、ステレオタイプに惑わされることはないのである。

ガマ美は世間の偏ったイメージなどに惑わされることなく、今日もしっかりとTPOを考えて元気に居候生活をしている。勝手なイメージで物事を捉えた結果、差別を生み出したり、柔軟な対応ができなかったりしてしまう人間に比べると、ガマ美の方がよっぽど合理主義者のように思えてきた。
(身体の持ち上げ、小ジャンプの頭突き、大ジャンプ、歩行の様子を動画で紹介)
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