浄罪は誰が為の悦びや
高校を卒業すると同時に、工業団地の一角にある金属加工会社に就職した。高校は普通科だった上に、工業には何の興味も持っていなかった。卒業より半年前から自費で学費を払っていたほど家に金が無く、かと言って家は自営で建前の収入だけは多かったので経済的援助も受けられず、行きたかった専門学校には行けなかった。大学へ進学する事も出来ず、経済的事情によりとにかく卒業と同時に働かなければならなかったのだ。
埃と油の匂いに充ちた古ぼけた工場には同年代の若者はおらず、入職初日には歳がふた回り以上離