【小説】 「と」 【ショートショート】
腐れ縁の友人Kから半年ぶりに電話をもらい、吉祥寺の居酒屋で彼と待ち合わせた。何でも並々ならぬ事情があるらしく、とにかく話を聞いて欲しいとだけ伝えられた私はあらかた金か女の話だろうと高を括っていた。
何処にでもある大衆居酒屋で先に一杯やっていると、Kがやって来た。
彼は辺りをキョロキョロと警戒しながら挨拶もなしに向かいに座ると、疲れ切った様子でカーキのコートを脱いで溜息をついた。
「金か? それとも女か?」
どうせそのどちらかだろうと思い、先に口火を切ったものの、彼