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「デジタル看護入門」第1回テーマ「ナイチンゲールとICT」

 いきなりナイチンゲールかよ!とびっくりしたかと思いますが、じつは、あの有名なナイチンゲールは、現代看護の基礎を提唱しただけでなく、統計学の先駆者としても有名なのです。ナイチンゲールが統計学を活用した目的は、病院での療養環境の改善のためでした。

 ナイチンゲールは、患者をとりまく環境のあらゆるもの、たとえば病室の明るさや温度、空気の換気の程度などの情報を細かく分析しました。つまり、ナイチンゲールは統計学という情報を整頓する技術を活用して、医療改革を行っていったのです。ちなみにナイチンゲールが考案した情報技術として、「レーダーチャート」と呼ばれるグラフがあります。このグラフの表示形式は、医療の分野だけでなく、経済や法律などの様々な分野に広く活用されています。

 現在、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の医療や看護への活用が世界的に推進されています。電話しかできなかった携帯電話が、あっという間に、パソコンのような機能を持つスマートフォンとなったように、日々、ものすごいスピードで、ICTも進化しています。目まぐるしく変わるICT関連機器や最新の情報技術にすこし戸惑っている看護師さんもきっと多いのではないでしょうか。

 ナイチンゲールも、新しい統計の情報技術を見出し、そして活用していくまでは、ものすごい試行錯誤の連続だったかと思います。そのようなナイチンゲールの苦労に比べれば、様々なICTの専門家が存在する今、ICTを上手に活用していくことはそれほど困難ではないと考えます。

 医療統計学という新しい情報技術を生み出し、それを医療に活用して、現代の医療や看護に大きく貢献したナイチンゲール。現代の新しいICTを上手に活用していけば、ナイチンゲールのように、新しい看護を見つけることができるかもしれません。

 これから、そのような看護の未来がいっぱい詰まった、最新の「デジタルと看護」に関するトピックスをみなさんと一緒に考えていきたいと思っています。そしてその中で、ぜひICTに興味を持っていただき、誰でもICTが活用できるようにしっかりと手を差し伸べていくようなイメージで解説を行っていきます。少しの間だけ、お付き合いいただけますでしょうか。どうぞよろしくお願い致します。 

フライトナースや離島の保健師の経験を還元できるようなバーチャルリアリティ環境の構築およびコンテンツ作成が主な研究分野です。研究のための寄付を募っております。研究の成果はこのnoteで公表していく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。