「デジタル看護入門」第五回 〜進化しない医療ICT?〜
看護師さんの身近な通信技術として「ナースコール」があります。もはや当たり前すぎて「ナースコールがICT?」と感じる看護師さんも多いかと思いますが、ほとんどの病院で、中央配管のあたりから有線でつながれ、ベッド柵に巻き付いたナースコールが主流かと思います。大学の近くの1000床ほどの大病院でも同じく有線です。このスマホの時代になぜ有線という旧式のままで進化が遅いのでしょうか?
もちろんナースコールも機能が向上しており、ワイヤレスのものや、テレビ電話のように映像付きで患者さんとナースがやり取りできる最新型のものもあります。しかしながら、実際に活用されている病院は少なく、まだまだ有線の、いわゆる昔ながらのナースコールの病院がほとんどです。
同じく身近なICTとして心電図モニターがあります。こちらはある程度、ワイヤレス式の心電図モニターが普及していますが、患者さんには3点誘導のモニター用有線の受信機が必要であり、コンパクトになってきてはいますが、やはりまだまだ重さが負担となります。そして、ICUなどの集中治療室のベッドサイドにある心電図モニターは基本的に有線でモニターに直接つながれています。
ナースコールも心電図も状況に応じて、ワイヤレスに進化していますが、おおよその病院や集中治療室などでは有線がまだ主流です。看護師さんと患者さんをつなぐ一番身近なICT通信技術の「ナースコール」と「心電図」。なぜワイヤレス化などの進化がなかなか進まないのでしょうか。ヒントとしては「一番身近な」という部分ですね。
「ナースコール」も「心電図」も一番大切な部分は「緊急性」というところです。急いで看護師さんの援助が必要な場合の「ナースコール」、患者さんの急変時、心臓の動きを正確に確認しなければならない「心電図」。「確実に」「正確に」という部分では、まだまだ最新のICT技術、特に無線通信などには課題がたくさんあります。無線にトラブルがあった場合、「確実に」「正確に」の保証ができません。いくら遠隔で高速で高度な計算処理ができても、「一番身近な」医療技術の代替はなかなかうまくいかないようです。また詳しく述べていく予定です。
フライトナースや離島の保健師の経験を還元できるようなバーチャルリアリティ環境の構築およびコンテンツ作成が主な研究分野です。研究のための寄付を募っております。研究の成果はこのnoteで公表していく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。