フルリモート・アクセラレーターは成立するか?
ついに緊急事態宣言が出ましたね・・・。それでも通勤されている方も結構多いと聞いています。どうなるのか・・・。
(Zoom飲みを満喫している私です)
さて、日本よりも先にロックダウンを実施した欧米諸国では、アクセラレータープログラムやベンチャー投資のあり方がリモートシフトしてきています。その中で、今回はフルリモートなアクセラレータープログラムの特徴をまとめて行きたいと思います。
これから起業されようとしている方は海外のアクセラレータープログラムを有効活用するいい機会かもしれません!フルリモート化することにより、メンターネットワークの国境は希薄になってきています。
また、現在アクセラレータープログラムを実施されている方は、リモートシフトを検討されているかと思いますのでその参考になれば!
1. Beforeコロナ
コロナの前からリモート対応していたアクセラレータープログラム
Pioneer
YCombinatorからのスピンオフです。
• 1ヶ月のフルリモートプログラム
• 他のスタートアップやメンターが属するオンラインコミュニティに入れる
• クローズドなオンラインイベントへの参加
• シリコンバレーへのフライトチケット
• $100,000のAWS+Googleのクレジット
• $1,000のステラ(暗号資産)と $5,000のロックされたステラ。(特定の条件をミートしないとトランスファーされない。面白い仕組み)
• 法人化してなくてもOK
• 1%の株式をPioneerに渡す。
• トーナメント方式で勝ち進んでいくと出資金額も増えていく。
応募してみよ・・・
Fluent
今Webは落ちてるようですが、↑のMedium記事はTIPSまとまってて参考になります。プログラムの特徴としては、
1. メンターによるe-learning教材がストックされている
2. 各スタートアップと45分のWeeklyミーティング
3. その際、下記のスコアリングツールを使って、スタートアップの事業ステージを事前確認。このデータにも依拠しつつメンタリング。
4. 出資は伴わない
このFluency Score使ってみたい・・!リモート時代のペイン(対面の情報量に対してWherebyやZoomでは不足する)をスコアリングで補完しているのが素敵!
ReaktorX
2017年から実施しているポーランドのアクセラレーター。
1. 週に1度のオンラインワークショップ(10週間)
2. デベロッパー、デザイナー、メンターなどとのオンラインネットワーキングイベント
3. 2週間に1度のメンタリング
4. バーチャルDemoDay
5. 有償のプログラム(参加に750EURがかかる)
6. 2%の株式がアクセラに、1%がメンターに譲渡される。
Katapult Impact-Tech Accelerator
ノルウェーのアクセラレーター。
リモートでは感情のフォローが重要になるので、毎週のメンターとのチェックインにて、感情の変化・モチベーションなどを必ず確認(メンタリングというよりもカウンセリングに近い)。その後メトリクスのトラッキング。
リモート化はメンタルに響くので、メンタルヘルス系のサービスの利用が今度増えてきそう。欧米ではFounder WellnessをどうケアするかがアクセラレーターやVCの中で一つの大きなトピックとなっている。これもどこかでまとめます。
Founderly
90EUR/月がかかる。
TinySeed
SaaS特化型のプログラム。ユニコーンにはならないがそこそこ伸びるスタートアップが対象というユニークなプログラム。期間は一年。$120k を投資し、10-12%を取るモデル。投資は北米の法人のみが対象となる。
100+Accelerator
世界最大手の飲料メーカーABInBevが実施しているSDGsに特化したプログラム。
6ヶ月のリモートプログラム
ABInBevとのPoC/Pilotがゴール
$100kまでのパイロット実施費用が採択と同時にもらえる。
Convertible Noteでの出資も検討。
協業事例
BanQuとABInBevの協業事例。プログラム期間中にザンビアとウガンダのABInBevの拠点でサプライチェーンのモニタリングの実証実験を実施。
Wells Fargo Startup Accelerator
北米の大手Wells Fargoが実施しているコーポレートアクセラレーター。6ヶ月のプログラムで、フルリモート。北米以外のスタートアップにも各国現地法人やパートナーがカウンターパートとなるグローバルカンパニーならではの構造。投資なし。
まとめ
シードアクセラレーターの場合、どちらかというとそこまでトラックレコードが強くないアクセラレーターがフルリモートプログラムを実施していた。また、採択企業が世界中に散らばることもあり、投資に積極的ではないプログラムも目立った。
他方で、リモート特化プログラムで仮説検証をまわしてきたこともあり、Fluentなどにはノウハウが相当溜まっているように見える。
- メンタルケア
- 定期的なミーティング
- 事前のスコアリング・モニタリング
- elearningにコンテンツをストックする
- バーチャルなコミュニティイベント
- 暗号資産の有効活用?
あたりが有効か。
コーポレートアクセラレーターの場合は、世界中にカバレッジを持っているグローバルカンパニーにとっては、一つの窓口(北米のケースが多い)で世界中でPoCができるというリモートの特性は魅力的。アフリカなどをフィールドとしたスケールの大きい事業で協業実績が出てきている。
SDGsをテーマとするのであればむしろフルリモートプログラムの方がいいかも?
2. Afterコロナ
コロナ以降にリモートに切り替わったorコロナ対抗のため急遽設立されたプログラム
YCombinator
丁度前バッチのDemoDayがコロナにぶつかったこともあり、YCもフルリモート化です。"1スライドのサマリー"と"レコーディングされたピッチ"を事前に投資家に共有し、投資家からのアプローチを待つというスタイルにDemoDayが変更されています。
また、YCはコロナ対抗スタートアップ向けのファストトラックも設けています。(即座に出資+リモートクラスへの加入
Fight the Virus Accelerator
YC卒業生のWeFunder(株式型クラウドファンディングプラットフォーム)がローンチした対コロナアクセラレーター。
- $50KをSAFEで獲得。
- オンラインデモデイまでに$1Mの資金調達の可能性あり
- 無料。株も取らない?
- 毎週のメンタリング
- オンラインワイン&チーズを楽しみFireside Chatを毎週火曜に実施。(経験豊富な起業家をZoomで招いて)
- 専門家によるオフィスアワー
- Alumnniやメンターを交えたSlackチャネル
- 毎週ビデオゲームナイトを実施(Founder Wellness活動)
- コロナが収束したら盛大なパーティーをやる←サイコー!!!!
コロナが終わったら皆でパーティーするのサイコーですね・・・。呼ばれたい・・。
Surge
( Sequoia Capital Indiaが実施しているインドのアクセラレーター)
今回のバッチよりリモート化。
Intel Ignite
Intelによるコーポレートアクセラレーター@イスラエル。2期目よりコロナとぶつかりリモート化へ。
まさに現在進行形のプログラムです。リモート時代のコーポレートアクセラレーターの試金石として個人的に注目してます!
Barkley's Skydeck
北米の大学系アクセラレーター。コミュニティへのエンゲージメントを高めるため、メンター/起業家、関心に基づいたコミュニティの中でのバーチャルコーヒーセッションに力を入れている。対面が不可能の中で心理的安全性を高めるためのカジュアルなチェックイン。
Dreamit
VCであり、UrbanTechやヘルステックのアクセラレーターもやってる。
Alexa Virtual Accelerator
Amazonが実施しているアクセラレータープログラム。Alexaのエコシステムを構築するため、Techstarsと連携して数年実施していたが、今回はリモートプログラムをリリース。アジアは対象外。投資は無し。
Expara VirTech Global Accelerator
Exparaというシンガポールの大手VCがコロナ対応に特化したアクセラレープログラムを開催。投資あり。Eleaning + メンターとのオンラインMTG。
Accelerating Asia
コロナの影響を受けフルリモート化
S$100,000 (US$70,000) をプレSeries Aに投資。(自社ファンドより)
3%の株式をとる。
3ヶ月のプログラム。
まとめ
他にもアンチコロナプログラムが続々と出てきています。対象領域は必ずしも医療・バイオ系のみではなく、リモートワークに関するサービスであったり、EdTechだったりするので確認してみましょう。
3. リモートアクセラレーター支援ツール
BoomStartup
自身でオンラインアクセラレータープログラムを実施しながら、管理ツールをSaaSで提供している。プランの応募管理、メンタリングのスケジュール管理、CRMなどの機能がAll-in-oneで提供されている。
AcceleratorApp
アクセラレーター向けの管理ツール。スタートアップへのメンタリングの履歴やスコアリングを実施するCRM。ほぼ上と同じ。
4. フルリモートアクセラレーターは成立するのか?
そもそもアクセラレータープログラムの設計自体が多様なので一概には言えませんが、以下のポイントは押さえておくと成立しそうです。
- 定期的なメンタルケア
- 定期的なミーティング
- 事業のスコアリング・モニタリング
- elearningにコンテンツをストックする
- バーチャルなコミュニティイベントを実施
- Fireside Chatのようなカジュアルなミートアップの実施
- (グローバルな投資のための)暗号資産の有効活用
- 管理ツールの使用(文書やデータをベースとしたコミュニケーションを心がける)
- コロナが収束した後に皆でパーティーをやる
日本は起業家も東京一極集中ですが、フルリモートプログラムでは地方の起業家も参加できるため、むしろ今までアクセスできてなかった起業家コミュニティにリーチできるかもしれませんし、特にコーポレートアクセラレーターの場合は、これを機会にグローバルな応募も対応して、積極的に海外拠点も巻き込んでいくといいかもしれません。
プレシード/シードフェーズの起業家は、例えばPioneerのような良さげなプログラムに応募するのはありかも。従来の海外アクセラレーターは(少なくとも一定期間の)移住が必須で、時間的にも金銭的にもコストが大きかったのですが、フルリモートプログラムではこれらがカットされつつ、Tier1のサポートを受けられる可能性があります。
アクセラレーター運営側も起業家側もむしろこのフルリモート化を今までにない機会として捉えて行動できると良いですね!
私事ですが、現在フルリモートのオープンイノベーションに特化した事業での起業を進めておりますので、興味がある事業会社+スタートアップの方がいたらお気軽にご連絡してください!(是非初期のユーザーとして仮説検証にご協力頂ければ幸いです!!
有難うございました🙏
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