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砂糖の街(雑記)

 その街は砂糖で出来ているらしい。夜になると外灯の明かりはじんわりと白く広がり、街全体が霞がかったような光に包まれる。
 その幻想的な姿は、遠く離れた場所からでも確認でき、隣町であれば砂糖の甘い匂いが漂ってくるほどだという。
 新月の夜になると、砂糖の街の灯りを頼りに巨人がやってきて、家を数件もぎ取って料理に使ってしまうという話が、古くからの言い伝えとして残っている。
 そのため新月の日は、砂糖の街に住む住民はみんな、早いうちに明かりを消して家からも出ないことにしているらしい。

 ちなみにここで言う月とは、地球の周りを回っている月ではなく、天の川銀河とは別の、宇宙のどこかにある月の話である。
 つまり、地球とは別の惑星の話である。
 地球における月とそれらの他惑星の月は、おおよそ同じ姿形をしているが、その成り立ちはそれぞれ異なっており、多種多様な月が存在する。


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