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言葉の覚え書き

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2020年3月の記事一覧

フウコウメイビ

「風光明美」は同音の漢字による書きかえ。正しくは「風光明媚」。 「明媚」は鮮やかで美しいという意味です。

「成積」?

よくある間違いです。特に手書きの場合に頻繁に見かけます。 成果を表すものは、のぎへん(禾)ではなく、いとへん(糸)です。「成績」の他、「業績」「功績」「実績」などに、のぎへんの「積」を使わないように注意しましょう。

ゾウガン細工

「象眼」は同音の漢字による書きかえ。正しくは「象嵌」。 「象嵌」とは、一つの素材に別の素材を嵌(は)め込む細工や技法のこと。「象」は「かたどる」、「嵌」は「はめる」という意味です。

休業させて「頂きます」? 「いただきます」?

敬語の「……ていただく」「ご……いただく」「……させていただく」などの「いただく」は、「いたします」と同じく補助動詞なので、平仮名で表記するのが通例です。 「もらう」や「食べる」の謙譲語の場合は、漢字で「頂く」と書くことができます。

「主席で卒業」?

「主席」ではなく、「首席」。「首」は髪の毛の生えた頭を象る象形文字で、ここでは最上位の意味を表します。 「首都」「首長」などの「首」も同じ意味です。内閣総理大臣の別名「首相」も、「首席の宰相」が原義です。

読めますか?──「礼讃」

「礼」の読みには、呉音のライと漢音のレイとがあります。呉音は漢音よりも前に日本に伝来したとされており、主に仏教関連の語に多く見られます。 「礼讃」も、元は三宝(仏、法、僧)の功徳をほめたたえる仏教用語でした。その名残もあり、レイサンではなく、ライサンと読みます。

感染拡大を防止する「為」?

この場合の「ため」は形式名詞と呼ばれるもので、「それ自身では実質的意味を表さず、連体修飾語を受けて名詞としての機能を果たす語」(『大辞林』第三版)です。補助動詞と同様に、それ自体が示す意味は稀薄なので、平仮名で書くのが通例です。 なお、「彼の話は為(ため)になる」の「為」は形式名詞ではなく普通名詞なので、漢字で書くことができます。

「お知らせ致します」? 「お知らせいたします」?

この場合の「いたす」は補助動詞「する」の謙譲語です。補助動詞とは、別の動詞に続くことにより文法的機能を果たす動詞のことで、それ自体の本来の意味は保っていませんから、平仮名で「お知らせいたします」と書くのが原則です。 なぜ補助動詞に漢字を使わないのかというと、漢字表記と平仮名表記とでは、意味が少し変わってくるからです。例えば、「箱を開けてみる」は試しに開けるという意味を表します。一方、「箱を開けて見る」と書くと、「開ける」と「見る」2つの動作を表すことになり、開けて中を確認す

引用のきまり(3)──引用文の途中を省略するとき

引用文の途中を省略するときは、亀甲括弧内に三点リーダー「…」(Unicode:U+2026)を2つ続けて「〔……〕」とするか、「〔中略〕」とします。 これは、〔……〕引用元の文献に敬意を払うというモラルの問題でもあります。 これは、〔中略〕引用元の文献に敬意を払うというモラルの問題でもあります。

引用のきまり(2)──引用文に誤植があるとき

前回、一字一句正確に記述するのが引用の大原則であると書きました。しかしながら、引用する文章に誤植が含まれていることも珍しくありません。そういうときは、どうすればいいのでしょうか。 この場合も、元の文章を勝手に手直ししてはいけません。誤植があれば、誤植のまま引用するのがルールです。そして、 今後30年のうちに首都圏の直下で大地震が起こる確立〔ママ〕は70パーセントと言われている。 のように、誤植の部分に括弧書きまたはルビで「ママ」と記述します。 英語など欧文の場合は[s

引用のきまり(1)──補足や強調をするとき

論文などで他の文献から引用するとき、大前提となる原則があります。それは、元の文章を一字一句正確に記述するということです。これは、読者に正確な情報を提供するという技術上の問題である他、引用元の文献に敬意を払うというモラルの問題でもあります。 とはいえ、元の文章を一字一句記述することが自分の文章の体系と干渉するときがあります。その典型例は、 (1) 引用文に補足説明や強調をするとき (2) 引用文中に誤植があるとき (3) 引用文の途中を省略するとき です。今回は、(1)の

引用文献の書き方──著者名と発表年を書く方法

今回は、著者名と発表年を括弧書きする方法についてです。 文献リストの作成巻末に「引用・参考文献一覧」を設け、著者姓の五十音順またはアルファベット順に列挙します。文献の言語が複数混在する場合は、言語別にリストを作った方がよいでしょう。 文献の表記法は、前回の通し番号を付ける方式といくつか異なる点があります。 【書籍】 書名に二重鉤括弧「『』」は付けません。各要素は、終止符「.」(Unicode: U+002E)で区切ります。叢書(シリーズ)名は括弧内に書き、書名の後にコ

引用文献の書き方──通し番号を付けて書く方法

今回は通し番号を付けて書く方法についてです。 短い引用文本文中に括弧(「」)で挟んで記述し、直後に番号を付けます。 自分の言葉に言い換えて引用する場合も、該当の箇所に番号を付けます。 引用せずとも執筆中に参照した文献があるならば、文中の適当なところに番号を付けて記載するようにしましょう。 長い引用文引用部分となる箇所の前後に1行開け、左右または左側のみ(縦書きの場合は上側)に余白を設けます。「Word」などの文書作成ソフトで予め書式を登録しておくと便利です。そして、引

引用文献の書き方──2つのスタイル

この時期、大学3年生の中には、そろそろ卒業論文に向けて準備を始めるという方も多いでしょう。論文執筆で避けては通れないのが引用文献の記載です。引用文献の記載は、書き手にとっては自らの論拠を示すものとして、読み手にとっては検証の手段として、重要な役割を持ちます。実際に書くときになって慌てないために、方法を押さえておきましょう。 引用文献の書き方には、大きく分けて次の2つがあります。学問分野や指導教員の方針などにより、いずれかを選びます。 (1) 本文中の該当箇所に通し番号を付