マガジンのカバー画像

言葉の覚え書き

961
日本語の一貫したスタイル・ガイドとして、用字、用語や文章表現に関する情報をまとめています。「ココナラ」で、文章校正サービスも提供しています。詳細はこちらから https://co…
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

『言葉の覚え書き』目次

【第1部 表記】組版右横書き 文体口語体と文語体 常体と敬体 能動と受動 文のねじれ 「べき止め」 「さ入れ表現」 可能の表現 助動詞「れる」「られる」 可能動詞 「ら抜き言葉」 用言の活用と音挿入 改行・段落改行と段落 文字種日本語の文字体系 全角と半角の使い分け アルファベット、アブギダ、アブジャド ギリシャ文字 Unicodeについて ヘボン式ローマ字 漢字常用漢字 同音の漢字による書きかえ 字体・字形 仮名現代仮名遣い 「じ」「ず」と「ぢ」「づ」 漢語に続

読めますか?──「形相」

二とおり読み方があり、それぞれ異なる意味を表します。 ギョウソウと読んだ場合は、顔かたち、表情のこと。ギョウは「形」の呉音。 ケイソウと読んだ場合は、哲学用語で個物に内在する本質を指し示すもの。アリストテレスが「質料」ὕλη(ヒュレー)に対置する概念として用いたεἶδος(エイドス)の訳語です。例えば、彫像の材料となる大理石が質料だとすると、彫像の表す形が形相になります。

「豆鼓」?

2文字目が違います。「鼓」ではなく「豉」。 「豆豉」の読み方は、日本語の音読みならトウシ、中国語読みであればトウチ、トーチーなどとなります。 「豆豉」とは、蒸した大豆を醱酵させ、水分を減らした中国の食品です。

電子レンジの「レンジ」とは

電子レンジは英語でmicrowave ovenまたはmicrowaveと言います。したがって、「レンジ」は漢語と組み合わせて用いられる和製英語ということになります。 では、そもそも「レンジ」とはどういう意味なのでしょうか。通常rangeは「範囲」の意で用いられますが、英和辞典を引くと、このほかにも「焜炉」「料理用ストーブ」などの意味があることがわかります。「電子レンジ」は、火を使わない竈という発想から生まれた用語なのですね。 ちなみに「電子レンジ」という語は、戦後、国鉄の

「興行」と「興業」

「興行」は、演劇やスポーツなどの催し物。 「興業」は、新たに事業をおこすこと、産業を盛んにすることです。

「頭骸骨」?

ズガイコツは、「頭骸骨」ではなく、「頭蓋骨」。「頭蓋」とは、脊椎動物の頭部の骨骼を指します。 ちなみに、医学や生物学ではトウガイコツと読むそうです。

「耳を『そば立てる』」?

「そばだてる」は「欹てる」と書きます。

読めますか?──「神韻縹渺」

シンインヒョウビョウ。 芸術作品のきわめてすぐれているさま。 「神韻」は詩文の神業のような趣、「縹渺」は遠く遙かな、の意。 「縹渺」は「縹緲」「縹眇」とも書きます。連綿語で文字自体にそれほど意味はありませんから、どれで書いても構いません。

引用文献の書き方──デジタル上での表示に関する付記

引用文献の表記、特に通し番号を付けて記述する方法について、既出の文献を再度引用する場合、従来は下記のように示すのが慣例でした。 しかし、近年普及している電子書籍などのデジタル環境では、このような方法では若干の不都合が生じます。 というのも、「同上」「前掲書」という記載は、一続きの同じ一覧にあって初めて成立するものだからです。印刷媒体では文献はリストにまとめて載せるので、特に支障は生じませんでした。 ところが、デジタル環境では、リストに載せる以外に、ポップアップなどで註釈

「マジックテープ」

「マジックテープ」は日本ベルクロ(現・クラレ)の登録商標。英語などでの「ベルクロ(Velcro)」も商標です。 一般的な名称は「面ファスナー」です。

読めますか?──「人間青山」

ジンカンセイザン。 幕末の僧、月性(1817―1858年)の詩「将東遊題壁」にある「人間、到る処青山あり」から。 「人間」は人の世すなわち世間、「青山」は墳墓の地。 骨を埋める場所などどこにでも見つけられるのだから、故郷を離れて広く活動すべきである、という意味です。

「狂乱怒濤」?

正しくは「狂瀾怒濤」。 「瀾」も「濤」も大きな波の意。荒れ狂う波のように、ひどく混乱しているさまをいいます。 「狂瀾を既倒に廻らす」は、波を押し返す意から転じて、傾きかけた形勢を元に戻すことです。

読めますか?──「行雲流水」

コウウンリュウスイ。 漂う雲と流れる水のように、自然の成り行きに任せる様子を意味します。

「1箇所で『寸断』」?

「寸断」とは「きれぎれに断ち切ること。ずたずたにきざむこと」(『広辞苑』第七版)ですから、本来は複数箇所が断ち切られる場合に用いる言葉です。