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サカナクション山口一郎さんのうつ病告白が示す、心の病に対する社会の転換点

数日前にYahooニュースで、人気エレクトリック・ロックバンド「サカナクション」のボーカリストでギタリストの山口一郎さんが、自身がうつ病にかかっていることを公表した。たぶん大々的に世の中で噂されていると思うが、心の病の患者に対する偏見が大幅に無くなるティッピング・ポイントになるのではないかと、予想している。

自分の時代は心の病への偏見が強く、自分もいろんなSNSでの表記をローマ字にしているが、これは世代と立場的な相違があるということだろう、山口さんとは。

たぶん彼がうつ病を公開したのも、自分の精神疾患の状態によってバンドの活動が左右されるのと、病気と一生付き合うことを覚悟したこと、それに彼の身近な人々が病気に対する偏見を持たなかったのが大きいと思う。ある意味公人的な立場だから出来たことだと思うが、自分にとっては大きな出来事だ。

というのも、noteやXで個人的に精神疾患への差別を無くそうと、微々たる抵抗活動を続けてきたが、さっぱり効果がない。逆にインターネットでの差別語が雑草のように生い茂る有り様で、頭を抱えていた。

そこに人気バンド「サカナクション」の山口一郎さんの告白である。どのくらい情報が拡散されるか分からないが、情報拡散の度合いによっては社会に大きな影響を与えるものだと自分は確信している。

うつ病にかかっていることは昔は隠しておくべきこととされ、初めて社会的に表面に出てきたのは、書籍「ツレがうつになりまして。」ぐらいからだったと思うが、まだうつ病を含めた精神疾患は特別視されていたと思う。

患者本人のあり方に反した福祉学や障害学の論理で制度や施設が作られたと思うし、それはある意味洗脳的であったとも感じる。それに対する非難はここではしないでおく。

それよりも大切なのは山口一郎さんのうつ病告白をきっかけにして正しいメンタルヘルスの知識が社会に広まることであり、患者に対する偏見がもっと少なくなることだ。与党の公明党が主導してメンタルヘルスサポーター100万人計画が進められているし、現在10万人に達したようだ。精神疾患がふつうの疾病だと認識されれば、精神保健福祉法や精神保健福祉制度自体も変わる可能性があるし、法律上の患者への扱いも人権を尊重したものに変わる可能性があると思う。

別に山口一郎さんにすべてを託すのは酷な話だし、彼の役目でもない。少なくとも患者自身が自分にふさわしい考え方や生き方を模索するところから始めてみたらどうか?いつまでもネットで拡散されている差別的な患者像に踊らされているのも馬鹿らしいことだから。


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