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小説「ユメノミライ」①
小学三年生の時、僕はピアノの角に思い切り頭をぶつけた。
その瞬間、小さな体全身に電気が走ったようだった。
僕の中で何らかの異変が起こった。
それから始まったのが予想できてしまう未来。
夢で見たことが全て現実に起こる、それはつまらなくとも無難で安心な人生だった。
*
「未来が予想できる?」
目の前の女性は怪訝な顔をして聞く。
「ああ、できるとも。俺はずっと予想通りに生きてきたんだ。」
小説「ユメノミライ」③
注文したメニューが出揃い、俺らは食べ始めた。過去のデートでも食べている時だけは口数が少なく、食べることに集中した。ユリは昔から食事には気をつかい、外食であっても肉や野菜などをバランス良く食べていた。
大方食べ終えて、アイスコーヒーとデザートをそれぞれ注文した後、ユリは話し出す。
「ヒロシは何もわかっちゃいないのよ。」
そう言って、俺のグラスにお冷やを注ぎ足した。
「夢を信じているのかも知れ