ソーシャルスリラーとホラー映画から見る現代社会 ⑨どこまでも憑いてくる(最終章)
人類に幻滅したら北欧ホラーをどうぞさて、前回少し触れた、「悪」が自分の中に胚胎し、常に一緒にいるのだとする思考法について。
ル=グウィンは、ファンタジーは読んだ者を永遠に変えてしまう力があるのだと書いている。世の中を苦労しながら生き延びて清濁併せ呑むことができるようになり、グレーな「大人の事情」に納得がいく人にとっては、ホラーやダーク・ファンタジーは無用かもしれない。「自分はこんなのではいけない」「こんな自分は嫌だ」という、とても倫理的だが欲望を抑圧する否定の気持ちが心の中