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協調と競争って切り分けるの難しくないですか!?

業界団体や国家プロジェクトの集まりに出ていると、この数年よく聞くようになったのが「協調領域」と「競争領域」という言葉。

最初のうちは、業界団体だからなかなか真に競争の源泉となるようなことはテーマにできないですよね~とか、そもそもカルテルを気にすると具体的なこととか、細かいことなんて話せないですよね、そして、国プロって税金だから競争になって個社の利益になるようなことは難しいですよね、とか思っていたのですが、最近は『競争と協調の境界って難しくないか??』と感じていたりします。

そもそもの考えるきっかけは、まだまだ市場規模が大きくないときに協調とか言ってていいのかなぁ?競争でもなんでも良いから成功事例を1つでも多く増やす方が良いのではないかなぁ、と思ったことでした。今でもそのようなことは思ったりすることもあるのですが、今回はその論点は置いておきます。

今回は「競争と協調の境界って難しくないか??」について最近思っていることをツラツラと書いてみたいと思います。

まずはChatGPTにそもそも研究開発における競争領域と協調領域とは何なのかを聞いてみました。

研究開発における競争領域とは、企業が自己の競争優位性を追求し、他の企業と差別化を図るための領域です。一方、協調領域は、企業が競争相手と協力し、共通の目標に向かって働くための領域です. 競争領域では、企業は自社の技術や知識を独自に開発し、他社との差別化を図ります。一方、協調領域では、企業は競合他社と協力して、共通の目標を達成するために、技術や知識を共有します

巷で言われていることをしっかりと返答してくれました。これの定義はそれなりにしっくりくるのですが、気になっているのが企業が主語がになるところ。ある企業一社にとって、何が競争領域で何を協調領域と定義するかは比較的簡単だと思いますし、経営戦略上、どこに競争優位性を設定するのはとても重要であることは理解できます。

しかし、問題なのは、同じ業界にいる会社であっても競争の源泉は異なるということです。部品のハード的なところを強みにしている会社もいれば、擦り合わせ的なところ、制御的なところやもっと上空のクラウドを強みにしているところもあるでしょう。

要は、自分にとっては協調領域だと思っていても、相手にとっては差別化する競争領域ということは結構頻繁に起きるのではないかと思っています。

これは協調領域の会話でもよく出てくる「標準化」や「規格化」ということにおいても同じようなことが起きるような気もします。もちろん、アカデミックというか技術的にXXXXXという手法を採用するのが妥当だという議論には意味があるし、大切なのですが、それが「協調領域」というのには少し違和感があります。標準化、規格化というのも最終的には誰かはその領域で事業をしようとしていると思うんですよね。そこで勝つには、間違いなく競争して差別化を行う必要がでてきます。

ハーバードビジネスレビューにも「競争と協調」という特集があるくらいなので、先人たちがきっといっぱい考えてくれているはず!とも思うのですが、どなたかこのあたりの考え方を整理している方がいたら教えてください!!

そんなことをモヤモヤと考えていると、「precompetitive」という言葉があるらしい。文字の通りで、「競争前」という意味なんだと思います。ネットで検索していると、製薬業界などでよく使われているようです。

なんかこっちの言葉の方がしっくりきます。個人的ではありますが。

競争領域と協調領域というと、協調領域が非競争領域のような印象をもってしまうのですが、誰かにとっても競争領域になる可能性があるということを考慮すると、あくまでも競争前境域(Pre-Competitive)な領域という方が良いような気がしました。

競争前の理由はいろいろとあるかもしれませんが、結局はまだまだ競争と言えるほどのパイが形成されていないということに尽きるのではないでしょうか。

そういう意味では、協調境域を考えるということは、言い過ぎかもしれませんが、どうやったら競争ができるようになるのかを考えるのと同じなのかもしれません。


そして、元産総研理事長の吉川弘之先生はこのようにも言われています。

「競争力強化に有効な新しい知識を生み出す行為をプレコンペティティブ研究と呼ぶのに対応して、生み出された一連の知識を体系化し、次の新知識を生むために有効な新しい領域を作り出す仕事をポストコンペティティブ研究と私は名づけて、その重要性を位置付けた」

ja (jst.go.jp)

というわけで、最後に自分の考えの狭さを思い知りましたが、業界が発展していけると嬉しいです。

では、また来週~!!
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安藤健(@takecando)
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