安倍元総理はロボット政策を先頭で推し進めてくれた政治家でもありました。

安倍元総理が亡くなった。とてもビックリしたし、なんだか悲しくなりました。民主主義であろうとなかろうと、選挙中であろうとなかろうと、政治家であろうとなかろうと、人が殺されるというのはやはり悲しいし、あってはいけないことである。ご冥福をお祈り申し上げます。

私自身はもちろん直接会話したことはないのですが、2度ほど同じ場にいさせて頂いたことがあったように記憶しています。安倍元総理は間違いなくロボットに関する取り組みを先頭で推進いただいた政治家だった。そして、2015年くらいからの第三次ロボットブームは安倍総理なくしては、起きていたかったのでは?とも思う。

このタイミングで書くべき内容かは分かりませんが、記録として纏めておきたいと思います。

全ては、2014年のOECD閣僚理事会での安倍総理の基調講演から始まりました。以下、全文からの抜粋です。

サービス部門の生産性の低さは、世界共通の課題。ロボット技術のさらなる進歩と普及は、こうした課題を一挙に解決する、大きな切り札となるはずです。ものづくりの現場でも、ロボットは、製造ラインの生産性を劇的に引き上げる「可能性」を秘めています。ロボットによる「新たな産業革命」を起こす。そのためのマスタープランを早急につくり、成長戦略に盛り込んでまいります。
日本では、すでに、介護をはじめ様々な分野で、ロボットを活用する試みが、始まっています。日本は、世界に先駆けて、ロボット活用の「ショーケース」となりたいと考えています。

「ロボットによる新たな産業革命を起こす」という力強い言葉は、帰国後すぐにロボット活用の現場視察、4ヶ月後の2014年9月に「ロボット革命実現会議」の発足、2015年2月「ロボット新戦略」(全編抜粋版)の発表へと繋がりました。

2015年5月には「ロボット革命イニシアティブ協議会」(通称、RRI)が設立され、現在は250社以上の企業が参画をしている。発足式二出席した安倍総理は、このようにも語っておられました。

日本発の『ロボット革命』により、世界を新たな姿へと変えていく。私もその実現に向けて全力で取り組んでいきます。

その後は、経済産業省がコアになりながら、農水省、厚労省、国交省、総務省、文科省なども、製造、サービス、農業、介護、医療、インフラなど多くの分野におけるロボットの開発、実用化、導入を推し進める施策が打たれた。具体的な施策については、2016年頃に関しては、以下の記事に纏められている。そして、21年に関しては、このNoteでも纏めてきた。

もちろん、当初描いたロボット革命の構想の全てが実現されたわけではないし、全ての取り組みが万人から受入れられた訳ではないですが、実際多くの施策は実行され、確実に業界は育ち、社会実装されるケースは増えたと思う。

その後も、定期的にロボットに関する取り組みをリード頂いた印象である。総合科学技術会議では、複数回に渡りロボットがデモされることがあったと聞いているし、介護分野などは個別に目標設定も行われている。

そして、近年では、新型コロナに対する非接触化ということで、配送ロボットの開発推進や法改正に向けた活動を推進して頂いた。20年5月の未来投資会議にて、当時の安倍総理から「低速・小型の自動配送ロボットについて、遠隔監視・操作の公道走行実証を年内、可能な限り早期に実行する。関係大臣は具体的に検討を進めていただくようお願いする。」という発言があり、その方針は菅総理、岸田総理にも受け継がれ、22年4月の道路交通法の改正という形で実証実験に留まることなく、ビジネス化が可能な状態まで環境が整備された。詳細に興味がある方は、以下の記事などを読んで頂きたいが、国のトップが方針を決めるということの力強さをとても感じる出来事であった。

というわけで、ロボットという狭い業界からしか見えておりませが、私ような若造から見える範囲の中でも、自ら先頭に経ち、応援を頂いた総理であり、政治家だと思っています。

本当にありがとうございました。
心よりご冥福をお祈りします。

安藤健(@takecando)

頂いたサポートは記事作成のために活用させて頂きます。