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ヒトより1000万倍大きい地球と1/1000万小さいウイルス。

『マルチ・スピーシーズ・デザイン』ーーー。
この言葉を初めて聞いたのは10月頃。そこから2ヶ月くらいで、違う人から5回ほど聞いた。流行っている???

これまでの人類は人のことを主に考えてきたけど、人以外の動物はもちろんのこと、植物や微生物など複数の生物種との共生をしっかりと考えて行きましょう!というのがざっくりした概念かと思います。

マルチスピーシーズ

海外だと「Multispecies sustainability」ということで、これまでの持続可能性は、あくまでも人類のための資源利用を中心にした考え方であり、本来的な持続可能性の検討や分析を制限してしまったと考え、人類以外の生物種にも視野を広く拡大したマルチスピーシーズ(複数種)の概念を取り入れた新しい考え方が提唱されています。

以下の動画は英語ですが、丁寧に纏められています。日本語版はこちらが丁寧です。

国内では立教大学の奥野先生などが引っ張られているようで、いくつかの関連する書籍も出てる。奥野先生のことは、存じ上げていなかったのですが、『モノも石も死者も生きている世界の民から人類学者が教わったこと』『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』などなど書籍のタイトルがどれも面白そうです。

マルチスピーシーズの概念を活用したデザインやアプローチは、都市計画や公衆衛生分野など、多くの分野で変革をもたらすと期待されているようです。

大事だけど認知度は低い模様

とはいえ、マニアックな人以外には、まだまだほぼ知られていない。

Google トレンドで "Multi-species"とともに、近い領域のバズワードっぽい "SDGs", "Well-being", "Circular economy"を加えた4つのワードのグローバル動向を見てみると、以下のように "Multi-species"だけ圧倒的な知名度のなさが見て取れます。

SDGsの妙な盛り上がりの方が引っかかりますが・・・そして一番ホットなエリアが日本と表示されていました・・・この辺りは今回の本筋から離れるので、また別の機会に。


今回はそんなマルチスピーシーズについて自分なりに考えてみます。

10の7乗から-7乗というサイズ感

まずサステナビリティみたいな観点で考えてみる。地球レベルで良い状態ということを表現するために、Planetary well-beingという言葉が少しずつ聞かれるようになった。環境問題という意味で考えると、多くの要因は工業化など人間の生活や活動の進化と言われることも多い。直径約12,500kmの地球の状態に対して、約1mの人類の活動が影響を与えていることになります。

ザックリいうと、10,000,000倍(1000万倍)!!

ちっぽけな人間も頭を使うと、1000万倍も大きい地球にかなりのインパクトを与えられます。

一方で、人間もまた1000万倍小さい存在に苦しめられています。

コロナウイルス。

新型コロナウイルスは、直径 0.06~ 0.14μmとも言われており、ザックリ言えば、人の1/10,000,000の大きさ。人は1000万倍大きい地球に深刻なダメージを与えながら、1000万倍小さいウイルスに深刻なダメージを与えられているというのは、皮肉な話です。

1000万分の1のサイズであっても、ネガティブなインパクトを与えるということは、ポジティブなインパクトも与えられるはず。デイビッド・モントゴメリーが「土と内蔵」で指摘したように、植物の根と人の内臓は、豊かな微生物生態圏の中で同じ働き方をしている。土の中でも身体の中でも微生物と共生し、土壌の生産力、人の免疫力を高め、環境も人も豊かになることはできるんだろうと思う。

マルチスピーシーズという言葉を使うと、どうしても人の次に出てくるのは動物であり、さらには植物となってしまう気がする。その先の、微生物、細菌、ウイルスなどの存在を意識した上で、全体をデザインしていく試みが大事になってくるのではないだろうか。

サイズではなく時間

次は、時間軸で考えてみる。生命が地球上に誕生して、約45億年と言われている。どれくらい昔かはよくわからないけど、かなり昔なことは間違いない。マルチスピーシーズ的に考えてみると、どうなんでしょうか??この辺りはほぼ知識はない。。。小学校か中学校のときに読んだ「ゾウの時間 ネズミの時間」くらい。これはこれでかなり面白かった記憶はあるし、種毎に生きている時間軸が異なるというのは、マルチスピーシーズ的なデザインを考える上ではとても重要な気がします。

感覚的には、人以外の動物はかなり刹那的に生きている気がする。生きるために一瞬一瞬で判断、行動している印象。

一方、人は、もちろん瞬間的に多くの判断をしているけど、経済活動を見ると、四半期とか1年とか3年の中期計画という感じで割りと微妙な時間軸を設定している生き物でもある。

1年というのはちょうど約1000万秒。またしても不思議な10の7乗オーダーです。一方、地球の45億年というのは、10の9乗年ということで、残念ながら、そんなにキレイにはなりませんでした。

とはいえ、地球のこととか、環境のこととかを意識すると、本来的には人間の経済活動とは全くオーダーの異なる考え方が必要になるような気もします。

いくら今の環境が過去に例を見ないぐらいドラスティックに変化していると言えども、企業が3年とか10年とかのオーダで最適と考えていることは、地球の時間軸のオーダーで見たときには、全体最適ではなく、部分最適にしかなっていない可能性は十二分にある。そのことをしっかりと意識して事業活動を行っていく必要があるのではないかと思います。

というわけで、
専門でも何でもないので見当違いなことを書いているかも知れませんが、マルチスピーシーズということに関して、サイズの観点、時間の観点で考えてみました。更にややこしいのは、それぞれの種は単独では生きていけず、強い依存関係にあると言う点かと思います。人も人以外の種なしには、現時点では生きていけないし、地球の豊かさは複数の種が生きる環境があるから成り立っているとも言えます。

だから何だ?という結論のない話になってしまいましたが、このような視点をもった取組みを考えてみるのも面白いなぁ~と思いました。

では、また来週~

と思いましたが、
本年はこれでラストの更新になります。今年も無事週一回の更新を続けることができました。毎回読んだり、スキやコメントを頂ける方々のおかげでモティベーションを維持できています。本当にありがとうございます。来年もたまには役に立つネタを提供できればと思いますので、引き続きよろしくお願いします。

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安藤健(@takecando)

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