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おたけ
2022年7月14日 18:09
水曜四限、アジア経済史の講義が終わった。手元には教科書、隣にはゴトウミズキ。 先週衝撃の一言を言ってのけた女だ。「料理、食べさせてよ」 この言葉には続きがあった。「もちろん、私の料理も食べてもらうわ」 訳が分からない。 理由を聞いてみるとこれまた奇妙なものだった。彼女は食べるのに困っているわけではないようなのだ。彼女は、彼女自身が作る料理に飽きたのだという。「何を作っても
2022年7月7日 19:57
彼女と初めて出会ったのは大学三年の夏、ちょうどアジア経済史の講義が終わった後だった。ヒートアイランド現象のおかげで講義棟は外よりも蒸し暑かったが、机に手が触れると気持ちがよかった。 「タナハシくんってあなた?」 コメントペーパーを書いている時に話しかけられた。見ると知らない女性が横に座っていた。黒く長い、まっすぐな髪の持ち主だった。汗のべたつきが一切感じられない、だけど乾いているわけでは