📗テクニックに溺れる受験生

今回は、数年前に書いたブログを元に記事を書こうと思う。

📝ある日の私のブログ

　小４の算数の授業で表面積の勉強をしました。
　表面積をどのように計算で求めるか、複雑な形の表面積を簡単に求める方法などを教えたのですが、途中で「予習シリーズ」からはみ出した問題をみんなに考えてもらいました。
　※予習シリーズ：四谷大塚が出版している、多くの塾が主教材として使っている参考書＋問題集。

　その問題は、直方体を縦に４個に切った時に、その4個の立体の表面積の合計は元の直方体と比べてどうなるかという問題でした。切り口の両面が新たに増えるので、表面積は切れば切るほど増えていきます。しかし、小4の生徒にとってはかなり難しい問題です。それでも、何人かは私の助けなしに理解できました。怖ろしいことに規則性まで見つけた生徒もいました。

　その後で、「このように細かく切っていくと表面積がだんだん大きくなっていくけど、このことが日常に役立ったり、このことが原因で困った事態になることがあるかを考えてみよう。」という流れになりました。これは身の回りの出来事と、算数を結びつけようとする私の企てですが、そのような視点をなかなか持てないのが、今の受験生たちです。しかし、少しヒントをあげると、発見した生徒が何人かいました。

　ここからは、理科の内容も入ってきます。例えば、氷砂糖と白砂糖の溶け方の違いは、「表面積に関係している。」とか、「粉塵爆発って聞いたことがある？」まで、話を広げても、興味を示した生徒がいたので、調子に乗って、生徒たちの好奇心の旺盛さに甘えました。
　
　今日の授業で、「直方体・立方体の単元で表面積と体積の計算方法」だけを勉強した生徒と、「溶解や粉塵爆発の話」まで理解した生徒では表面積の理解において雲泥の差があるのです。

🧙‍♂️テクニックを知りたがる生徒

　以上のブログを読み直して、書いたときの気持ちが蘇ってきた。私の担当は小学生の算数と理科だったのだが、手っ取り早く解くためのテクニックにこだわる生徒が年々増えてきたのを感じていたので、このような小技を授業に混ぜ込んでいたのだ。

　塾の授業では「過去の先生方」が編み出したスーパーテクニックを教えることが多い。そして、そのテクニックを使えば、短時間で答えを出して、答案用紙に正解を書くことができる。当然、生徒はそういう「テクニック」が大好物だ。

👩‍💻「効率的」「無駄の削除」を望む保護者

　そして、そのような勉強に慣れた生徒は、余計な勉強を必要のないことと感じるようになる。保護者の方も「効率的に勉強させてください。」「無駄を省きたい。」「まずは合格だけを考えています。」という考えを持っていることが多い。

　確かに、決められた時間内で、「経験した人しか理解できない程の量の学び」を自分の物にしなければならないのだから、悠長なことは言っていられないという気持ちは、痛いほどわかるのだ。

👩‍🎓学歴社会は崩れる運命

　しかし、インプット・アウトプットだけでは考える力は育たない。大切なのは、好奇心を持って、興味のあることだけでも、「なぜ？どうして？」と問い続けることなのだ。

　これからの時代は、インプットした情報を正確にアウトプットできるだけの才能では、生き残っていけないと思う。今回のブログの算数の授業でも、表面積の求め方は「インプット」できた。また、宿題などを丁寧にこなすことで、「正確なアウトプット」が可能になる。だから、現在存在するタイプのテストには良い点数が取れる。
 
　デキる子としてレベルの高い中学に合格し、そのまま頑張り続ければ、大学も一流と呼ばれるところに行くことができるかもしれない。

　しかし、問題は社会に出てからだ。すでに、現在でも、卒業大学のレベルだけでは、採用を決めない傾向になりつつある。

　以前、講師をしていた塾でも、日本の最高レベルの大学卒業の方が、塾講師に応募してくることがあった。お話をさせていただいたり、模擬授業をしていただくことが、何度もあったが、必ずしも雇いたいと思う人材ではなかった。

👨‍💼社会人として生き残るためには

 　10年後20年後には、AI、ロボットが今の人間の職業を奪う時代が訪れる。現在の仕事の半分近くがなくなるとも言われている。そのような時代に生き残れるのは、「考える力を持っている人」「行動する力を持っている人」「他の人が真似できない独創的なセンスを持っている人」「臨機応変な対応に長けている人」なのだ。

　今、優秀生であったとしても、社会人になった時、優秀である保証は、どこにもない。保護者の方も、教える立場の方も、今から覚悟し、対策する必要があるのだ。

　実はこのことには、文科省や経済産業省がかなり以前から気付いていた。だからこそ「大学入試改革」を実行し、「新学習指導要領」を実施したのだ。

　詳しくは、以前に記事にしたことがあるので、こちらを参考にしてほしい。⏬⏬

🦉以上

💛「ECSワークショップ」という会社のような名前の個人ブログを、教育をテーマに、開いています。覗いてみてくださいね。⏬😀