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自己に意識を注力する(800)

セルフ・アウェアネス(Self Awareness)という言葉があります。セルフ・アウェアネスとは、自己に意識を傾け、自分自身について深く理解することです。ここで言う「自分自身」とは、人間が生来的に持っている非常に純粋で清らかな性質(本性)と、後天的に形成されてきた自我を指しています。

本性は、全ての人間の間で共通の普遍的なもの、いわば真理と言っていいものです。例えば、晴れ渡った澄み切った朝を迎えた時に「気持ちいい」と思ったり、赤子を見て素直に「かわいい」と思ったりするのは、誰しもが持っている性質(本性)と言えます。
自我は、生後色々と見聞きしたり学んだりして知識として身についてきたことに基づいて判断し行動するものを指しています。例えば、同年代の他者と比べて給与が低い場合には「もっと高い給与が欲しい」と思ったり、2020年の全国の自殺者数が2万919人となったと言うことを聞いて「自殺者がすごく多い」と思ったりするのは、自我による判断・分別であると言えます。もちろん、自分が得た知識が正しいものか、誤った(または不完全な)ものなのかによって、自分の判断・分別が正しいか誤っているかが決まってくるのです。

ここまで説明してくると、
A.本性を自覚して、その本性に従うのは問題ない
B.正しい知識を得て形成された自我に基づいて判断・分別するのは問題ない
C.誤った知識によって形成された自我に基づいて判断・分別するのは良くない
と言うことがわかるでしょう。

ここで話をセルフ・アウェアネスに戻すと、自分の中にあるAの本性とBの自我と、よろしくないCの自我と言うものに気づくことが重要になってくることもわかるでしょう。基本は、Cの自我が見つかったならば、修正していくことが大切だと言うことです。そして、究極的にはAの本性とBの自我を基にした生活をしていくようにすればいいのです。
言い換えると、「Aの本性とBの自我を理解し、自分で決めていくことができれば幸福な状態となる」と言えるのです。

問題は、「Aの本性とBの自我を理解できるのか」と言うことにあります。実は、意外と自分の本性や良い自我に気付くのが難しいのです。自分に気付くためには、外に向かって探してはだめなのです。自分は『ここ』にいる自分自身(自分の中)にしかないからです。さて、あなたは自分に気づくことはできるでしょうか。
(ちなみに、禅の目的は本性にきづく・「悟る」と言うことにあります。その悟りを得るのに長い時間がかかっています。)

参考までに、リーダーシップ理論で言われている「オーセンティック・リーダーシップ」』について補足しておきましょう。(ちなみに、オーセンティックとは「本物の」とか「信頼できる」という意味を持っています。)
「オーセンティック・リーダーシップ」とは、「自己を見つめ、自己を活かし、倫理を重視しつつ、誰にとっても透明性のある行動をとり、フォロワー(追随者)が自ら動いてしまうような状況を生み出すリーダーの行動」のことです。このような定義を見てみると、前述している「Aの本性とBの自我を理解」するのが難しいことと同じように、オーセンティック・リーダーになるのは難しいことがわかりますね。

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