正しい知識を得るための手順(786)
私たちは、勝手にものごとを見聞きし、勝手に判断しています。Aというものを見たら、「これはAだ」とか「これはA’(Aダッシュ)だ(Aかもしれない)」というように判断するのです。
生まれた初めてAを見た時に、それがAだというのは誰かに教わったわけですね。では、それを受けてそれがAだと思うのは、誰が思うのでしょうか。
答えは、自分の奥底にある心が思っているのです。すなわち、私たちはものごとを自分の心が造り出しているということなのです。
このことが納得できれば、Aを見てAと思うのは教わった通りに思っているのであり、AをA’と思うのは不完全に教わったからA’と思っているということが分かります。この流れを段階を追って説明してみましょう。
1. 誰かにものごとを教わる。
この時、正しい師匠に正しく教われば問題なくAを認識できます。
もしも正しくない人に教わると、A’と認識してしまいます。
2. 教わったことは1回では記憶できないので、何回か聞いて覚えていく。
繰り返し教わっていくと、刷り込みとなります。
このことを薫習(くんじゅう)と言います。
(ここまでが、一般的な学びです。)
3. さらに深く学んで根本的なものの考え方ができるようになる。
論理的に筋道立った考え方ができるようになります。
このことを作意(さい)と言います。
4. 最終的に、絶対に間違いがない真理として仕上げる。
体験・体得によって真理に到着します。
仏教用語では、悟るということです。
上記の前半の2段階までは見聞きしたものを理解するという段階です。いわば、学校での学びのようなものです。「AがAだ」という知識習得段階です。
第3の段階が、実際にやってみるという、いわば社会人として活動を始める段階です。半人前または一人前になる直前です。「AがAとはこういうことだ」という気づきの段階です。
最後の第4の段階が、プロフェッショナル(専門家)の段階ということです。「AがAであることを応用できるようになる」という活用・応用段階です。
私たちは往々にして、第2段階まででよしとしがちです。しかし、それでは中途半端な理解に留まります。できる限り、第3、第4の段階まで行きたいものですね。
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