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ものごとを知り分けるステップ (817)

ものごとを知るということには、見聞きすることと、判断・分別することの2段階があります。見聞きしている対象は、自分とは別にある(すなわち外界にある)実在するもの(実体、物質現象)であり、「色(しき)」と呼びます。そして実体とは別に、頭の中だけで考えて判断・分別している無形のもの(精神現象)があり、それを「名(みょう)」と呼びます。
要するに、見聞きして判断・分別することで、外界に何か(名色)があると思うのです。すなわち、Aという名前のものとか、Bという名前のものが存在していると思うわけです。

 色= 感覚器官で現実に見聞きしている、
   いろ、形のある認識対象としての物質現象。
   印象・感覚としての一次的感受作用が働いている。
   リアルな世界: 感覚器官で認識でき、感受するもの。一次感覚。
 名= 頭(心)の中だけで、物事を想い浮かべる精神現象
   意識作用として、心がある方向に行く意志形成。
   対象・物事を知り分ける認識作用・意識作用。
   非リアルな世界: 想い浮かべ、言語化しようとある方向に行き、
   最終的に認識するもの。色に続いて起こる二次的意識作用。

動物は、リアルな世界を感じることができます。その中でも人間は、リアルな現実世界をさらに頭(心)の中で想像し、こだわり執着して意識化して個々人に独自の我(自我)が現れてくるというわけです。

人間を除く一般的な動物は、一次的な感受作用で瞬間的に対応するのです。しかし人間は、一次的に感受したものを、さらに想像・執着・識別・意識化して言語作用などによって対応していくのです。動物は「色」の世界で生き、人間は「名色」の世界(精神世界)で生きているということなのです。

人間は名色の世界(精神世界)で生きているということは、場合によっては悪い方向に向かうこともあります。それは、経験などによって生後獲得した知識が不完全であったり、誤っていたりすると、識別・判断・分別が正しく行われないことがあるということです。場合によっては、他者と比較して劣等感や優越感を起こしたり、自分にないものを貪るようになっていくのです。それらは、多くの場合に満足できない結果となり、結果として苦悩や煩悩などになっていくのです。それは、時により「渇愛」と呼ばれます。


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