もう少し「空(くう)」について考えよう(808)
これまでに、「空(くう)」は、何も無いわけではなく、それはそこに在るのですが、それは現象であり実体は存在しないと言うことを述べてきました。根本的な真理として、次があります。
・無常 : あらゆる物事は絶えず移り変わり、永遠不変なるものは存在しない。
・因縁果: 物事は、原因と他との縁(関わり)によって起こり、結果となる。
・無我 : 無常なるが故に、実体なる(恒常的な)自我は無い。この状態を空と呼ぶ。
これらの真理を簡単に一言で言うと、「物事は相互に関係し合いながら起こり変化し続けている」となり、それを「空」と呼んでいるのです。
ただし、「空」は、空っぽというように理解されることがあるので、場合によっては「空」という言い方をしないこともあります。例えば『金剛経』では、「世界は世界にあらず、ゆえに世界と名づく」と言っています。
人間の心(本性)もまた、「空」です。なぜならば、嬉しい心、苦しい心、悲しい心をその手に取り出してみよ、と言われても取り出すことはできないからです。「空」である心(本性)は、物事を見聞きして、その瞬間瞬間に物事を「これは○○だ」と思っているのです。それは仮の姿、事象なのです。
そう思っている物事は、自我によって作り出されていきます(瞬間的な分別なのです)。
しかし、前述したように、無常なのだから自我は無いのです。
そう思っている物事は、無常であるが故に、移り変わって行くのです。
(物事を、移り変わらずに実在するものとしてこだわるのが、執着であり煩悩です。)
このような「空」と言う考え方がわかれば、恒常的に実在するものなど無いのですから、嫌なこと、悲しいこと、苦しいこと、といった事象もまた移り変わっていくことがわかります。そうなれば、嫌なこと、悲しいこと、苦しいこと、などに振り回されることがなくなるではありませんか。執着することなく、思い煩わされることがなくなる、すなわち煩悩などなくなるのです。
見聞きするものに振り回されることがない、物事があるがままに流れていくことを「無事」と呼びます。安らぎの状態を無事と言うのです。
仕事や実生活でストレスを感じていても、それが迷いや妄想になったとしても、それらは瞬間的なものなのです。時間と共に移り変わっていくのです。それが「空」なのです。
「空」がわかれば、執着すべきもの、振り回されるものがなくなります。あるがままの生活ができるようになれば、ストレスは瞬間的なものであり、悩む必要が無いものだとわかります。
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