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リモートワークで気づいた「小さなしあわせ」を守るために
コロナ禍になって、リモートワークがはじまったのは2020年2月頃。
今となっては随分と前のことのように感じるほど、リモートワークがきっかけで「生きること」への価値観が大きく変わった。
通勤ラッシュから解放され、家で過ごす時間が圧倒的に増えた。
彼氏とおうち時間を一緒に過ごせることが嬉しくて嬉しくてしょうがなかった。
仕事で何かあっても横に彼氏がいるだけで救われて、イライラ、トゲトゲ、キリキリした感情から解放された。心があったかくなって、なんとなく広くなったように感じた。
新居には、ちょうどコロナ前の1月から住みはじめたから、町の開拓も進んだ。コロナ禍にならなかったら、通らなかったであろう道を散歩して、出会わなかったであろうお店に行くことができた。
1時間の休み時間で、散歩して、ごはんを食べて。時間が限られているからこそ、町のことがもっと知りたくなって、この町がどんどん好きになった。
思い返すとそうした時間は本当に幸せだったし、不謹慎であるけれど「人生の休み時間」とすら思った。
それと同時に会社に行って、仕事をする。毎日消耗されていく感覚に耐えられなかったことに気づいた。
会社に行くからこそできる仕事もあるし、そこで生まれるコミュニケーションも必要だとは思うけれど、リモートワークで感じた幸せとはかえがたいものだった。
ここまでは、「リモートワーク最高!!」といったところだけど、
そう良いことばかりが続くものではなかった。
リモートワークならではの伝言ゲームのようなコミュニケーション、不確かな情報が回っていく恐怖感や同僚との距離を感じるようになった。
私生活は幸せが募っていたけれど、仕事面では上手くいかないことが増えて、段々と人とコミュニケーションをとることが怖くなった。
そうした中で、身体にも異常がでてきた。下腹部のキリキリとした痛みが襲い、夜眠れないくらいだった。もともと身体が強い方ではなかったけど、なんとなくいつもと違う感じがして、産婦人科に行くことにした。
先生は、「慢性的なストレスが身体にもでちゃったんだね」と言った。
生化学検査、レントゲン、血液検査…検査を繰り返すうちに不安が募って、
私が人生で1番大切なものを失ってしまうような感覚があった。
結果は、溶連菌。「風邪のようなものだね」と先生は優しく笑った。
「ああ、何もなくてよかった」と思うと同時に仕事のストレスが身体に影響して、人生で1番大切なものをなくしてしまうことが怖くなった。
コロナ禍で自分と向き合い、「小さいけどあったかい幸せ」に気づいた私は、なんとしてでもこの幸せを守りたいと思い、転職を決意した。
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