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自#078|そこらに転がっている少年ジャンプを枕代わりにしている私には、イタリア製の高級マットレスについて、語る資格はない(自由note)

 商品の広告に「SDGs」(Sustainable Development Goals)をつけて、アッピールすることは、別段、お役所の許可は要らないし、明確な基準も存在してないんだろうと推測できます。トレンディなフレーズですし、まあ、言ったもの勝ちって感じです。たとえば、イタリアのマニフレックス社が開発、製造したオクラホマと云うマットレスの広告で、SDGsを使っています。キャッチコピーは「素材の全てがサステナブル。地球愛に溢れたマットレス」です。サステナブルの意味を、理解できるユーザーが、どれくらいいるのかは「?」ですが、とにかく、SDGsアジェンダの17項目の「つくる責任、使う責任」を、半世紀以上前からclearしているそうです。つまり「環境に負荷をかけるプラスチックもスプリングも不使用。水から生まれた独自の高反発マットレスは、燃やしても有害ガスを出しません」。だから、「持続可能な社会の実現に向けて、マニフレックスは作る責任を果たしている」ってことなんだそうです。使われている素材は、ヴィスコース、エリオファイバー、エリオセルMF、などと全部カタカナです。すべて、広辞苑にも現代用語の基礎知識にも掲載されてない用語ばかりです。ちなみに、安心の12年長期保証(何をどう保証してくれるのかは、広告からは読み取れませんが)のオクラホマのお値段は59000円。煎餅布団で、毎晩、寝ている私には、これが高価なものなのか、適正な価格なのか、リーズナブルな商品なのか、判別できません。ちなみに、同時に購入して欲しいであろうピローグランデと云う枕は、17076円。合計76076円(税別)で、SDGs仕様のマットレスと枕が、最高の眠りをお約束してくれるわけです。

 広告文の冒頭では「毎晩、眠りに就くたびに、私は死ぬ。そして、翌朝、目を覚ます時、生まれ変わる」と云う、ガンディーの言葉を引用しています。広告文の中盤あたりで「人は、眠れぬ時に悩みや不安を引っ張り出し、眠れない恐怖が、更なる不眠を呼ぶ悪循環で、いたずらに免疫力を低下させることにもなる筈だ」と、警告してあって、今、世間で話題になっている「免疫力」にも、ちゃっかり言及してあります。
「うわぁーっ、もう買うっきゃないじゃん」と、衝動にかられたら、パソコンがすでに立ち上がっている状態であれば、即座に「マニフレックス」を検索して、購入ボタンをぽちすれば、おそらく30秒以内で、注文は完了し、翌日の夕方には商品が自宅に届きます。ネットがなかった時代は、イタリア製のマットレスとなると、日本橋三越や新宿伊勢丹のような大きなデパートか、家具専門店に出向いて、商品を確認して、購入すると云う段取りだったと思います。通販の仕組みは、昔からありましたが、通販はやっぱり、ちょっと怪しげだったんです。コロナ禍のお陰で、EC(電子商取引)の怪しさは、それなりにふっ飛んでしまったかのような、印象を受けます。

 毎晩、煎餅布団で寝ていて、枕も基本使わず、たまに頭を高くしたいと思ったら、そこらに転がっている少年ジャンプ(長女が毎週月曜日に購入しています)2冊を枕代わりにしている私には、イタリア製の高級マットレスについて、語る資格はありません。ただ、こういうものが、しゅっと瞬時に購入できる便利な世の中になったことに、ある種の複雑な「感慨」を抱いてしまったので、取り上げてみただけのことです。

 煎餅布団と、ジャンプの枕ですが、きちんと眠れています。生活のリズムを、作り上げれば、多分、ほとんどの人が、眠れます。ただ、生活のリズムを作り上げるためには、努力と工夫が必要です。コロナ禍で、飲み会とかが、限りなくなくなっている今のこの時期は、生活のリズムを作り上げる、絶妙の機会だろうと想像しています。

 そう難しいことでもありません。要は、夜寝て、朝起きる、これだけのことです。ですから、深夜のコンビニでバイトをしている方や、夜間に工事をしている方(地下鉄とか鉄道のような夜間じゃないと工事ができない仕事もあります)タクシーの運転手さん、夜勤のある看護婦さん、お医者さんと云った方々は、生活のリズムが作りにくいと言えます。

 今、東京にクラブ(シャンパンやフルーツ盛り合わせが、テーブルに運ばれる、きれいなママさんやお姉さんがいるクラブではなく、DJがいてダンスフロアーのあるクラブです)がどれくらいあるのか知りませんが(90's半ば頃の全盛期に較べると、10分の1くらいまで減っているだろうと推測しています)クラブは、AM5:00閉店ですから、クラブのスタッフ、クラブ通いをしているお客さんは、生活のリズムを作り出せません。ただ、まあファミレスとかコンビニなどの、オールナイト営業は、SDGs的な観点と照らし合わせて、今後、少しずつ減って行くでしょうし、人間は、夜は眠るものだと云う当たり前の常識は、少しずつ浸透して行くんだろうと思います。

 どこからが夜なのかと云う概念規定は、簡単にはできないかもしれません。眠りに関して云うと、どんなに遅くてもPM10:00には、眠りに就く必要があります。PM10:00に眠りに就いてAM2:00までのゴールデンタイムは、必ず眠ると云う習慣を確立することが、質の高い眠りを確保するための、最大の秘訣です。西欧中世の修道院(いや多分、今でも)は、PM6:00就寝、AM2:00起床でした。日本の禅寺は、PM9:00就寝、AM3:00起床です。「AM4:00に起きれば、人生はすべて上手く回る」みたいな本が、大ヒットしたことがあります。私は、若い頃、禅寺で坐禅をしていました。AM4:00ではなく、AM3:00に起きれば、人生は、もっと上手く回ります。AM3:00に起きると、AM8:00までに、その日のメインの仕事は、すべて片付いてしまいます。朝、起きてからの数時間の集中力が、creativeな仕事を生み出すと、断言できます。AM2:00起床にしても、構わないと思います。そうすると、PM7:00には就寝することになります。フリーランスで、自宅で仕事をしている方は、AM2:00に起床することが可能です。ただ、夕食は、就寝の3時間前には摂る必要があるので、夕食の時刻は、PM4:00頃になってしまいます。ファミリーで生活している方は、家族団欒の夕食の時間を、PM4:00に設定するのは、正直、ちょっと難しいかもしれません。ただ、食事は、朝と、お昼と、2回摂れば、充分です。3食、食べる必要はまったくないです。夕食を摂らなければ、さらに眠りの質は高まります。

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