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上腕二頭筋(Biceps Brachii)

今回は最も認知度が高い筋肉の1つともいえる、上腕二頭筋について!

いわゆる力こぶの筋肉ですね。

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こうやってダンベルなどを使って鍛えている人が多いですね。

筋トレを始めたばかりの方や専門家の指導を受けることができない方でも手軽に始められます。

しかし、上腕二頭筋だけを鍛えることにはデメリットもあります。

1つは肩関節への影響が非常に大きく、上腕二頭筋ばかりを鍛えすぎることによって肩の痛みを作っている場合も少なくありません。

今回はただ肘を曲げるだけではない、上腕二頭筋について整理していきましょう!

上腕二頭筋の起始停止

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(Visible bodyから引用)

起始:
 長頭:肩甲骨関節上結節
 短頭:肩甲骨烏口突起
停止:橈骨粗面、前腕筋膜、尺骨(上腕二頭筋腱膜を経て)
支配神経:筋皮神経C5~6
作用:肘関節の屈曲、前腕の回外
(基礎運動学第6版)
起始:
 長頭:肩甲骨関節上結節
 短頭:肩甲骨烏口突起
停止:橈骨粗面、前腕筋膜の上内側に放散
支配神経:筋皮神経C5~7
作用:肘関節の屈曲、前腕の回外、肩関節の屈曲の補助、長頭は外転、短頭は内転作用がわずかにある
(分担解剖学1総説・骨学・靱帯学・筋学)
起始:
 長頭:肩甲骨関節上結節(関節包内)
 短頭:肩甲骨烏口突起
停止:2つの腱は結合して橈骨の上腕二頭筋結節
   腱は内側で拡大し腱膜となり手関節屈筋群の深部筋膜と結合
支配神経:筋皮神経C5~6
作用:肘関節の屈曲、前腕の回外、肩関節屈曲・外転、肩の安定化
(オーチスのキネシオロジー第2版)

二頭筋というだけあって、肩甲骨の2つの部位に付着します。

そのことからも上腕二頭筋が肩甲骨の運動に影響を与えていて、肩関節の運動にも関係が深いことがわかります。

さらに長頭は関節包内に付着しているため、四十肩などの関節内の痛みとも関係が大きいことも覚えておきましょう。

筋機能

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肘関節の屈曲と前腕の回外作用は疑いようのない事実です。

肩関節への作用としては、屈曲・外転を報告している文献が散見されます。

これらの報告は、筋電図やモーメントアームなどの結果からの報告が多いようです。

また、単純な関節運動としての作用だけでなく、肩甲上腕関節を安定化させるとも考えられています。

これは肩関節の安定性に関わる棘上筋と上腕二頭筋長頭腱がほぼ平行に走行していることから、関節を圧迫させることで安定させていると考えられています。

実際に腱板損傷患者では上腕二頭筋の緊張が高いことは臨床的によく遭遇しますし、代償的に過剰に働いていると考えられます。

しかし、上腕二頭筋は肩の屈曲や肘の伸展作用も持つ二関節筋です。

そのため上腕二頭筋による関節安定化に依存しすぎると、肘や肩へ過剰な負担がかかり、結果的に肩の痛みが増悪することも少なくありません。

肩には関与する筋肉や靱帯、関節包などの軟部組織だけでなく胸鎖関節や肋椎関節など非常に多くの組織が影響しあっているため、全体の関係性をしっかりと見極める必要がありますね(それが難しいのですが💦)

デスクワークなど、日頃から肘を曲げて長時間生活している人では、上腕二頭筋の短縮は比較的多く見られます。

上腕二頭筋の短縮によって肩甲骨のアライメント不良、肘の伸展制限、前腕の回内制限などにつながります。

野球やバドミントンといった腕を振るようなスポーツ選手でも上腕二頭筋の短縮は多く、ストレッチしておくことで予防できる障害もあります。

筋膜連結

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筋膜としては、ディープ・フロント・アーム・ライン(DFAL)に含まれます。

小胸筋⇒上腕二頭筋⇒橈骨筋膜⇒母指球筋

と続く筋膜ラインです。

上腕二頭筋と母指球の関係は臨床的にもよく遭遇するつながりですね。

特に理学療法士のような指圧などの手技を行う職業の人は、このDFALと自分の治療姿勢を考慮した方が良いと言われています。

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端的に言うと、肘を軽く曲げて腕全体で丸を描くような姿勢で行うと母指への負担が少なくなります。

肘を伸ばし、自分の体重をかけるようにして指圧を行うと母指を痛めやすいので、もしそのように治療をしている人は気をつけてみてください。


DFALの機能的なつながりとしては、上肢を上げた姿勢、つまりぶら下がり動作などで小胸筋、上腕二頭筋、そして母指球が働き安定させています。

また、小胸筋から上腕二頭筋にかけての連結の領域で神経や血管、リンパ組織ともつながっています。

そのため、全身循環や胸郭出口症候群などにおいてもチェックすべきラインと言えますね。

経絡

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上腕二頭筋は、肺経のラインと関係していると考えられます。

母指から前腕、上腕の前面を走行し、烏口突起周囲まで続きます。

まさにDFALとほぼ同じ経路をたどっているのがわかります。


肺経は肺の経絡なので、主に呼吸に関係しています。

筋肉として考えると、小胸筋が硬くなれば胸郭が動きが悪くなり呼吸が浅くなり、肩甲骨の可動性も悪くなるので姿勢も悪くなりがちです。

大きく深呼吸をしたり、1日の中でリラックスできる時間を確保してあげるだけでも呼吸は整ってきます。

また、東洋医学的に肺は皮膚や大腸との関係も深いと考えられていますが、複雑になってしまうので、興味がある方はぜひ調べてみてください。

上腕二頭筋の周辺組織

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(Visible bodyから引用)

図を見てもわかるように、上腕二頭筋の周囲にはたくさんの組織があります。

短頭が付着している烏口突起には小胸筋や烏口腕筋だけでなく烏口鎖骨靱帯や烏口肩峰靱帯などの靱帯もあります。

また、短頭の下を肩甲下筋が走行し、上は大胸筋が通っています。

長頭は肩関節包内に入り込み、肩峰下滑液包の下を通って肩甲骨へ付着します。

このように、肩関節へ間接的な影響を多く与えているのが上腕二頭筋です。


また、腕神経叢や腋窩動静脈、腋窩リンパ節もかなり近くにあるのでその影響は無視できません。

肘の周囲を見ると、腕尺関節、腕橈関節、近位橈尺関節と3つの関節をまたいでいるため、肘への影響も非常に大きいです。

上腕二頭筋だけでみるのではなく、筋膜や経絡、軟部組織との関係を十分に理解しておくと臨床で使える知識になっていくのかなと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

肘を曲げるだけではなく、肩から前腕までかなり広い範囲で影響を与えていることがお分かりいただけたと思います。

ただやみくもに上腕二頭筋だけを鍛えてしまうことで想定される弊害も見えてきたのではないでしょうか。

トレーニングをするときは筋膜や経絡のつながりを意識したポジショニングや声掛けをしてあげることで、より効率的なトレーニングになります。

肩甲骨の位置や母指の向きなどを変えながら一度トライしてみてください!

それではまた来週!

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