豪快かつ繊細

大学生と言えば金がない。ましてや一人暮らしとなると日々の食費にも気を遣う。となると必然的におつとめ品や粗悪品(言い方)がトモダチになるわけだが、一人の甘党としてはスイーツは欠かせない。

何もなんちゃらショコラだの、なんちゃらかんちゃらだの、やたらに繊細でこんまい高級スイーツが食べたいってんじゃない。日々のジャンキーフードでメーターが狂った舌では、堪能の仕方も忘れているからだ。

かといって、煎餅やポキポキのポキ棒等をひたすら頬張るのは味気ない。庶民感が強すぎて特別な感じがしないのだ。余裕のない人間が「好き」という気持ちのために薄身を切る選択をしている以上、食べるからにはプラスアルファの特別感も加えて良い気分になりたい。



そこで私が最近発見したのが、業務スーパーの生クリームだ。正直に言おう、あれは麻薬だ。業務スーパーと侮ってはいけない。まさに動かざること山の如しを体現する重量感だが、いざ舐めてみると、繊細なテクスチャと口の中一杯に広がる蕩けるような甘さに胸を打たれた。(心不全じゃないよ)我ながらとんでもない領域に足を踏み入れてしまった気がする。パフェ、ケーキ、クレープ、パンケーキ、これら「作るにはやや手間がかかるがその分特別感のあるスイーツ」を手ごろに再現できてしまうというのだ。さらに特筆すべきは、業務スーパーの名に恥じないコストパフォーマンスだろう。生クリームは既にホイップされている上、1ℓでなんとたったの313円だ。調理器具がなかったり、面倒くさがりな人間に優しい。後者のタイプの人は、わざわざフライパンを使わずとも、ポキポキの棒をディップするだけでも利便性が実感できるだろう。個人的には、コアラや自称キョロなんとかズを埋葬するのも最高にジャンキーでイケてる。

こうしてできた真っ白なスノーボールを頬張る瞬間、私は幸福だ。豪快に盛られた、白妙のふわふわを前にすると、減量などはもはやどうでもよくなる。

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