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プロ選手のリカバリー??

アスリートにとってリカバリー(回復)はとても重要。

リカバリーは選手のパフォーマンスにも怪我予防にもとても深くかかわる要素なのは間違いない。

リカバリーには何がいいの??

リカバリーについてのセミナーもたくさんある。

マッサージ?水風呂?交代浴?マグネシウム浴?Normatec?サウナ?

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選手個人によってそれぞれリカバリーツールがある人も多いでしょう。それは自分の体をケアする方法としてとても大切なことです。プロ選手は体が資本ですからね。

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ですが、それらの根底(Foundation)にあるもっとCost-Effectiveで最も重要なものが忘れがちです。

”Sleep (睡眠)Nutrition(栄養)”

遠征など、とても試合数の多いプロ選手の睡眠について今回はちょこっと書こうと思います。

それも遠征がめちゃくちゃ多いバスケチームで働いていて、リカバリーがいかに重要か目の前で経験したからです。

超過密スケジュール

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コロナ渦の中、たくさんの人の協力の元始まった2020−2021NBAシーズン。通常82試合のところ、レギュラーシーズン72試合という変更と様々な厳しいコロナ規制のもとスタート。

バスケは試合数と遠征が多いで有名。約6ヶ月の間でこれだけの試合数をこなす。そしてアメリカ中を飛び回りながら。

いかに遠征が多いか、これを見ればすぐわかるでしょう!

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これはある月のスケジュールで、

青=遠征

赤=ホーム戦

僕もこのチームで初めてすぐスケジュールをもらい、呆然。

”月のほとんど遠征じゃん!!”

もちろん間の白い部分は練習とメンテナンスDayです。NBAは過密スケジュールだと先輩方に聞いてはいましたが、いざ体験すると、ほんとこのスケジュールの中、トップのパフォーマンスをキープする選手は素晴らしいなとつくづく思いました。それと同時に、僕らメディカルパフォーマンスチームもリカバリーに対してできること全てやらないといけないなと実感しました。

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これは、上半期のうちのチームのスケジュールに関して、チームのスポーツサイエンス担当の人がくれたデータ。これはいかにスケジュールが過密でリカバリーの時間が限られているかを示すデータです。

上半期のスケジュールにおいて、

約20%が試合間のOffなし。

約70%が試合間1日のオフ。

きっつーー!ですよね。

Quality Sleep=Quality Recovery=Quality Performance

こんな過密スケジュールの中で、リカバリーが大事なのは一目瞭然。

いろいろなツールがありますが、

睡眠と栄養が1番のリカバリーツール!!

この分野にはいろいろな研究がたくさんされており、明らかでしょう。たくさんの人が

”それくらい知ってるよ!”って感じですよね。笑

今回、描きたいのは実際にチームとしてどのような対策ができるかです。

その前に少し睡眠について書かせてください。

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睡眠とパフォーマンスの分野で著名のMah博士。彼女はスタンフォード大学の研究員でNBAのウォーリアーズとも共同で睡眠について研究したりしてるとても有名は学者です。

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彼女らの有名な研究で、いかに睡眠がパフォーマンスとリカバリーに大切かが明らかになってます。スタンフォード大学のバスケ選手が、睡眠の質と長さを向上することによって、体の回復とコート上でのパフォーマンスにどのような影響があったか、という研究。

やはり…!

睡眠の質と長さ(約平均6−7時間だったのを8−9時間に)を向上することで、フリースローの確率が約9%、スリーの確率が約9.2%、そして疲労感の向上が見られた。この数字は勝敗を決めてしまうくらい大きなもの。

スタンフォード大学でのバスケ選手の研究のほかにも、彼女は、数年前にNBAチャンピオンにも輝いたウォーリアーズのアンドレ・イグダラ選手の睡眠向上プラグラムにも携わっていました。

ここでも彼が言ってるように、昔は平均で6−7時間しか睡眠しておらず、その質もよくなかったと語ってます。(夜中までビデオゲームしたりしてたみたいです。笑)

睡眠の向上のために、包括的な睡眠向上が大切です。

寝る前の食事、寝る前の携帯やパソコン・テレビの使用制限、夕日の光、部屋の暗さ、部屋の温度、シャワーの温度、体温調整、などなど…

パジャマの使用も大切だ!とも彼は言ってます。

【簡単にできるTips!!】

❶寝る前にリラックス集中できるアクティビティをする!(例えば、読書、ヨガ、ストレッチ、日記を書くなど)

❷部屋をできるだけ暗くして、静かな環境に。

❸部屋の温度調整 (理想的な温度は15度〜20度)

❹就寝1時間前から携帯、テレビの使用制限

これらに気を配ることによって、より快適で質のいい睡眠を得られます。

イグダラ選手も言ってるように、この睡眠の長さと質の向上は、パフォーマンスの向上と同じように比例していたそうです。

このおかげも一部影響し、そのシーズンは

*スリーの成功率2倍

*1分あたりの得点29%向上

*フリースロー成功率9%向上

チームのアプローチ

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⑴ Education 教育

上で述べたような睡眠の質向上に対する、選手へのEducation (教育)は大切で効果はあると研究でも述べられてます。

当たり前のような情報に思えて、意外と何をしていいかわからないプロ選手もいます。チームとしてこういう教育の機会を持つのも大切!

⑵ 環境の整備

”うちのチームはちゃんと教育して情報も提供したよ!”

だとしても、選手みんなが従うわけではないですよね。

日本人選手はまめで真面目な印象があるからみんな意識高くそれぞれ習慣を変えることができるかも。アメリカ人はいうこと聞かない若い選手もたくさんです。特に大学生なんか…

なのでチームとしてのアプローチでできることをしましょう。

チーム側からできることはただ一つ!

習慣を変えれる環境を作ってあげること!

これらが実際にチームで行われている対策の例です。(確かに、NBAという資金に溢れている団体だからできる点も何個かありますが、どこでも応用できることもたくさん。)

– 寝ごごち、サービス(食事など)のいいホテルに泊まる (NBA)

– 練習の時刻を遅めにずらす(うちのチームは基本午後練)

– 移動の時間も出来るだけ午後に。

– バス移動の場合二日前に移動 (G リーグ)

– バスの種類 (快適にねれるやつ)

– Work Load をモニターしているチームはそれを利用して試合の前後で調整

– 試合日朝に行われるシューティングの排除

などなどいろいろ工夫によって睡眠環境を整えてあげることはチーム側から最低限はしてあげたいですね。

今を覚えば、学生時代の朝練とか本当によくなかったなあと後悔。


特に成長期の若い世代には、プロ選手以上に睡眠の向上を重視して欲しいですね。


まとめ

最近の過密な試合スケジュールを経て、選手の睡眠の質を考えてチームがいろいろな変更をしてるのを間近にみて、いろいろ学ぶことがあったのでここに書かせてもらいました。

個人でもチームとしても、いろいろなアプローチで勝利に近づけさせることができるなとふと思った1日でした。

長々と読んでいただきありがとうございます。


See Ya!






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