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NHK退職と、Z Venture Capitalの面白い面接話

Z Venture Capitalからオファーをもらいその日のうちに転職を決めた。確か去年の7月10日の参議院選挙が終わり、数日後に上司に退職を相談した記憶があるのであれから1年が過ぎたことになる。

渋谷のNHK放送センターを旅立ち、ベンチャーキャピタルの世界をよく知らないままこの業界に飛び込んできた。いま、自分の知らないところで世界がこれだけ目まぐるしく動いていたことを知ると、いつも怖いほどの気持ちになる。

学びの共有やこれから起ころうとする未来の話をするほうが良いと思っている。でも、なぜ今回この日記を書こうと思ったのかというと、同じようなタイトルでとてもとても素敵なnoteがあったから。

自分では気づかないことも他の人に共有することで何か新しい動きが出てきたらいいな、と思う。そしてそれが将来のZ Venture Capitalのメンバーに届くかもしれない。その気持ちで少しだけ1年前のことを振り返ってみる。

きっかけは福岡のタクシー?

前職の最後の勤務地となった渋谷の放送センターに来る前、私は地元のNHK福岡放送局で勤務していた。

当時、毎日のように取材し、原稿を書いていた。移動中、タクシーの後部座席に乗るとサイネージ広告を見る機会が多かった。一番よく覚えているのが「ビズリーチ」と「ハーモス」だった。あの短い間で、インプットさせるのだから、CMは本当にすごいと思う。

そして東京に異動し、転職を本気で考えた時に一番最初に思い浮かんだのが、あのビズリーチの掛け声だった。「あ、そういえばあの時、よくビズリーチやってたな。良い企業に出会えそうだから、登録してみるか」というぐらいの動機だった。

そのビズリーチだが最初に経歴など登録すると、そのあと自分の希望に沿った企業をピックアップしてくれるし、いろんな方から連絡が来るし、自分が想像もしていなかった業界を見れるし、と面白かった。

NHKを転職するのだから、従来のメディアは選択肢から外そうと決めていた。だったらNHKでいいじゃん、と思った。
そしてスタートアップや若い企業のほうが良いなと、考えていた。おそらく渋谷の放送センターにいたときに、フロア内の「人、人、人」「超縦社会」の反動だったと思う。

そんなこともあり、実際にピックアップされた企業の中で名前を知っている、聞いたことがある企業は全体の2割ぐらいだったと思う。ほとんど聞いたことがない企業の中で、浮かんできたのがZ Venture Capitalだった。

Z Venture Capitalに応募

どんな会社だろう、と思いホームページを開くと驚くほどモノトーンのサイトが目に映った。最初はカラーになる前の、完成途中なのかと思ったほどだ。
メンバーは思ったより少ない。本当にこれで全員?でも、1人1人が丁寧に紹介されていた。どんな人たちだろう、と思ってみると、みな経歴がそれぞれ異なる。そして面白い。日本だけでなく、韓国、アメリカを拠点に、海外メンバーもいる。

もう少し詳しく調べてみるか、と検索すると直近で300億円のファンドを立ち上げていることが分かった。「え、この人数で?20人ぐらいしかいなくない?」と驚いた。

気付けば好奇心で、サイトをくまなく見ていた。その中に

「アジアNo.1のCVC」を目指す

とあった。この言葉が妙に刺さった。大人になり、アジアNo.1を目指す。と言う機会がどれだけあるだろう。現実を知り、壁を何度も感じるなかで、本気でアジア1位を目指す、と掲げていることが、とても熱く感じた。

待てよ、そもそもベンチャーキャピタルってどんな世界なんだろう。いろんな疑問が湧いてきた。面白いかもしれない。でも、応募条件に「広報経験あり」と記載がある。ずっと記者をしてきたので純粋な広報経験はない。でも様々な企業広報の方と接してきたし、何より自分自身がメディア側にいたので、どんな記事を取り上げたいか、広報より分かる。と、そんなことを考えながら、応募してみた。

最初の面接官が社長だった

数日後、人事担当者からメールが来た。シキさんという方からだった。「ぜひ面接をお願いします」。ああ、最初の関門は突破したんだ。何度かやりとりをして、1週間後に面接の日が決まった。
その間、仕事終わりに少しだけ時間をとって、情報収集したり、どんなこと話そうかなと考えたりして、あっという間に前日になった。

前日の夜、放送が終わり、なんとなく面接のイメージをしていた。取材でリモートインタビューは経験があるものの、リモートで自分が面接を受けるイメージがよく湧かなかった。

そもそも対面じゃないのに、どうやって面接の良し悪しを決めているんだろう、と不思議になった。リモート面接のメリットってなんだろう、と考えた。
待てよ、対面だったらこっちがPR資料を作りました。見てください。と言っても、見てもらうのは難しい。でも、リモートだったら画面に投影しながら、「こんなことしたい」とPRできる。だったら資料を作るか。

そんなことで2時間ほどかけて、「ZVCを取材したくなるプレスリリース」というものを自作した。作っているとだんだん楽しくなり、一気に完成させてしまった。まあ、明日は使わないだろうけど、と思いつつも。

翌日、面接時間の15分前からスタンバイした。誰が面接官だろう。連絡をくれた人事のシキさんかな。それとも別の人かな。とか考えていた。そして時間の直前、画面が切り替わった。Zoomの画面には「堀新一郎」と書いてあった。

「あれ…」と思った。待てよ。この名前見たことがある。いや、でもそんなことあるかな、と一瞬頭が混乱した。

画面越しから「はい、どうも。おはようございます。お待たせしました」と聞こえたので、私も「おはようございます」と挨拶した。その堀さんが「あ、ちょっと待ってください。隣に部屋に忘れものしたので、とってきますね」と言って席を30秒ほど外した時に冷静に考えた。

やはりそうだ、この人、Z Venture Capitalの社長だ。社長が一次面接は考えていなかった。新卒時代、大手ばかり受けていた私にとっては衝撃的だった。

内定をもらったNHKは、たしか4次か5次の最終面接で、理事3人が面接官だった。読売新聞も、最終面接で支社長とお会いし、話をした記憶がある。そもそも社長って最終面接に出てくるか、出てこないか、そんな次元じゃないのか。

転職の決め手となった「ZVCのメディア化」

部屋から戻ってくると、じゃあ自己紹介をお願いします、と言われたので、名前と簡単な経歴と一緒に「今日は資料も用意してきました」とつい言ってしまった。

すると「じゃあ、その想いをさっそくお願いします」と言われ、うお、さっそくかと戸惑いながらも、「ちょっと待ってください」と言い、あわてて、内心、使う予定はなかった資料を投影した。

たぶん、7分(10分?)ほどかけて投影した資料を説明したと思う。

時間が経つと、堀さんが画面よりもメモをしている時間が増え、あれ、もしかして響いていないかな、早く話を終えたほうが良さそうだから巻いて説明しよう、と考えながら話した記憶がある。

説明が終わると、次はベンチャーキャピタルやスタートアップの話になった。「最近、関心をもったスタートアップは?」や「ベンチャーキャピタルのことをどれぐらい知っている?」と聞かれたと思う。

調べてきたことは素直に考えを伝えたし、分からないことは、素直に分からない、と答えた。

記者時代の経験上、こうした方は多くの人を見ているので、変に誇張しても見透かされるし、等身大の自分を伝えることが大切だ、と私も開き直っていた。

そして自分からも「どうして広報経験がない私と面接の機会をもらえたのか」ということも聞いた。その時に堀さんが紹介してくれたのが海外VCの「a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)」だった。

私にとって、初めて見る海外VCのホームページ。率直に驚いた。書いてある記事が「メディア」のそれだった。なぜ自分たちがこの会社に投資をしたのか、だけではない。
冒頭に問題提起、そしていまの社会課題、そのためにこの会社に求めていること、今後期待されること。明らかに、ニュース番組や取材記事の構成に似ている。

投影されるa16zのサイトを見ながら、そんなことを考えていた。そして堀さんから、言われた一言が、自分の転職を決めた一言になった。
いま日本でもVCが増えています。数あるVCのなかで、自分たちが選んでもらえる存在になるには、Z Venture Capitalを『メディア化』しないといけないと思っています。もしご縁があれば、高橋さんにぜひそうした存在になって欲しいと思います

二次面接のパートナーから伝えられた「不満」

堀さんとの面接は30分ほどで終わった。終わった後も、メディア化の言葉がずっと頭に残っていた。

それと同じく、a16zのホームページを見ながら、「自分が知らないところでこんな世界があるんだ」と驚嘆していた。
そもそもa16zのメンバー何人いるんだ、この記事を書いた人はどこのメディア出身者なんだろうか、ニューヨークタイムズ?それともABC?

この面接で、それまで漠然としていたベンチャーキャピタルへの好奇心がぐっと確かなものになった。

ほどなくして、二次面接の案内は届いた。どうやら韓国にいるパートナーらしい。英語のレジュメの提出をして欲しいということで、簡単なレジュメを作り、面接に臨んだ。

当日の朝になっても人事担当者からzoomリンクが送られず、開始15分前になっても届かないので、人事担当者のシキさんに連絡すると、急ぎの様子が伝わる感じで、開始5分前にリンクが届いた。

面接が始まった。パートナーは、ホームページのメンバーで見たことがある方だ。LINEの海外投資や事業開発を牽引し、いまもLINE FriendsのCFOを兼任している。

貴重な経験だな、と思いながら、一次面接より落ち着いた形で、入社したらどんなことをしたいのか、話をした。

パートナーからの質問自体は一般的な内容だったと思う。「入社したら何をしたい?」「どうしてVCに興味をもったのか」「海外メンバーの情報発信はどう考えているのか」とか。

互いの相性かもしれないが、面接中のコミュニケーションは手ごたえを感じていた。ただ、正直、海外メンバーの情報発信については、イメージが湧いていなかったので、当たり障りのないことを話していたと思う。

一通り話が終わったあと、パートナーから、今日の面接でいくつか好印象に感じた点を述べてもらった。

そして、安心していた私に、「ところで…」と切り出した。

「今の高橋さんの話だと、韓国やアメリカの海外メンバーの情報発信につながるイメージが湧かない。そこは不満に感じている点です」とはっきりと言われた。

これまで採用面接の中で、不満に感じたこと、を伝えられたことは初めてだった。驚いたと同時に、なんとなく嬉しい気持ちになった。不満に感じてもらうほど、面接相手として見てもらえてくれたことに。

手ごたえは半々だった。でもなんとなく、良いかもしれない。そんな感じだった。

最後の面接相手は、これまでやりとりしていた人事

二次面接のあと、これまでで一番早く、次の面接の案内が届いた。

社長、パートナー、と来て、次はだれが来るんだろう。もしかして会長なのかな。上の人はその人しかいないな…と考えていた。

そして面接日。

私の画面の前に現れたのは、これまでずっとメールでやりとりをしていた人事のシキさんだった。

思っていた方より、ずっと柔らかい印象だった。

「あ、シキさん。お疲れ様です。これまでずっと連絡や調整いただきありがとうございます」と私は感謝を伝えた。

「あ、そんなことないです~。高橋さんもありがとうございました。あ、実はきょうは私と面接なんです」

「え、あ、そうなんですか?」

会長と面接だと思っていた私は、急に肩の力が抜けた。それと同時に、社長→パートナー→人事の面接の流れがあるんだな、面白いなこの会社、とか、そんなことを考えていた。

面接はこれまでのビジョンやミッションとは少し異なり、転職の意欲や、これまでの面接を受けて感じたこと、そして福利厚生などを、私とシキさんの間で時折質問者を変えながら話をした。

面接は20分ほどで終わった。面接中にオファーをもらった。本当にこれが最終面接となったのだ。
私は堀さん、パートナーと話をするなかで、そしてZ Venture Capitalのことを調べていくなかで、必ずここに、自分の好奇心を満たし、成長ができる環境にある、ということに確信を持っていた。

アジアNo.1のCVCへ。そのために、Z Venture Capitalのメディア化として自分が出来ること、やるべきことに、思う存分挑戦できる。

そしてすぐに私は、オファーへの返事をした。

Z Venture Capitalを初めて知ってから1か月ほどの、あっという間の出来事だった。

あの日から1年

転職を決めて1年が経つ。あれから、Z Venture Capitalでは、出会いと発見と学びの連続の日々を過ごしている。
この期間にも、Zホールディングス、ヤフー、LINEと合併し、「LINEヤフー」になったり、出資先であるポートフォリオが増えたり、新しいイベントや情報発信を立ち上げたり、と、常に周りや自分たちが変化し続けている。

これだけの成長と刺激を受ける環境にいることは、本当に幸せなことだと感じている。

書き始めて2時間半。気づけば、長文になってしまった。この日記はここまで。

終わりに

さて、皆さんお付き合いいただきありがとうございました。

ここまで読み切ってくれる人がどれだけいるか分かりませんが、少しでも多くの人に読んでもらえると嬉しいな、と思い1年前を振り返ってみました。そして、将来、一緒に働くメンバーに届くかもしれない、と期待しながら。

もしよければ、一度Z Venture Capitalの採用ページを見てみませんか。私のようにベンチャーキャピタル業界以外から転職しているメンバーもいます。ぜひ応募、お待ちしています!

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