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宇宙のファンタジー(妄想)

娘が話している妄想独り言、何度聞いても私の記憶には残りません。理由ははっきりわかっていて、娘の妄想が支離滅裂で起承転結とか論理とか筋道とか理屈みたいなものがないからです。

でかい声で楽しげにひとり何役もで繰り広げられる妄想独り言劇場には本当になんの筋道もありません。聞いているこちらとしては「こう来たらこう」とか「こうなったからこう」みたいな展開を予想してしまうわけですが、そういうふうには転がりません。小さい子供のとりとめもない話ともまた違うんだよなあ。やはり、よく言われる「ワードサラダ」というのが近いのかもしれません。

Wikipediaのワードサラダの例はイマイチだよなあ。こんなすっきり結末はつかないです。いや、結末はつくんですが、それまでの流れとはまったく無関係なことのほうが多いです。あと、娘の場合だけかも知れませんが、突然の叫びとか笑いとかで何もかも中断し別のセリフの繰り返しが始まることも。とにかく、物語性とか論理とかは皆無です。

なので、聞いているこちらの頭にも残らないのです。なんかこんな話を言ってたなあと思ったらぜんぜん違う話題が始まってそっちに移るのかと思ったら別の言葉の羅列が続いてとか、そんな感じなので。

7、8年前までは脳トレにいいかと塗り絵を勧めたり自由帳に勝手に落書きしてもらったりということもやっていました。ですが、塗り絵は最終的にはぐるぐると手で書いたぐちゃぐちゃの円で覆われることが増え、自由帳は「死ね」とか「死刑」などと書き殴られることが増え、なぞるだけなら行けるんじゃないかと思った写経もなぜか途中から「死ね」などで埋め尽くされ、もう何をやってもぐるぐるとした線と「死ね」で埋め尽くされるのがすっかり嫌になって何も勧めなくなりました。そういえば計算ドリルもぐちゃぐちゃにしてました。

それでも紙や自由帳に書いている時はたまにおかしな書き込みもあって笑わせてもらったものです。「正解は〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、えなりかずき」は意味不明でしたが、私も(元)妻も笑う以外の反応ができませんでした。

文字といえば、昔から書くのは下手くそだったんですが、病気がひどくなってからは小さい文字が書けなくなりました。何を書いても字が大きくなるのです。自由帳からはみ出しそうな汚い字で「えなりかずき」、あれは思い出してもおかしいです。何が表現したかったんだ、娘。

娘の妄想独り言や暴れる様子をビデオに撮ろうかどうか、何度も迷いました。公開するとかではなく、暴れたりひとり何役もで喋っている状態を撮って本人に見せたら何か気がつくこともあるかと思ったのです。

一度だけ、暴れているところをスマホで撮りました。それを娘に見せました。娘はまともに見ようとせずに「んあ」といった反応でした。見たくはないようです。そして、見たからと言って何かが変わると言ったこともないようです。なので、ビデオを撮るのはやめました。

写真もあまり撮りません。発達障害でよくある話らしいのですが、写真映りが悪いのです。表情がかたく笑顔が作れません。よほど本人が意識していないタイミングのスナップであればいい表情も撮れるのかもしれませんが、私の腕では無理です。なので、写真も撮るのをやめました。

今日の妄想独り言では宇宙がどうこうと言っていました。宇宙は危ないです。宇宙の真理がわかったりすべてがつながってしまったりします。何度か出先で大変な目に会っています。今回も宇宙からさらに広がるのかと聞き耳を立てます。しかし、脈絡が無さすぎて何を言っているのか、どうしてもこちらの頭には残りません。なんというか、厳しいです。

しばらく宇宙の話は続きましたが、そこから何かが広がることも収束することもなくまた別の妄想が続きます。初めて聞く名前の登場人物が出てきました。誰だ。誰なんだ。中高の同級生ではなかったと思います。マジ、誰なんだ。

娘の妄想を聞き取ろうとしても無駄なので諦めます。

でも、誰なんだろう。

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