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❨254❩1972.5.12 金 晴 アルゼンチン入国!/リオ·ガジェコスまで35km(Argentine)

よく眠れた。
朝食に、また肉とミルクとパンをたらふく食い、おまけに水筒一杯のコーヒーと大きなパンをもらって、 宿舎を出る。

親切な人達だった。 申し分のない一夜を過ごし、又あたたかいもてなしを受け、ほんとうに嬉しかった。

今日も強い追い風で、国境への旅はスムース だった。
途中、路上で昼食を食っている時、なんとあの日本人達にまた会った。ホントに縁がある。
車の中で昼食しながら雑談、また会うことを約束して別れる。

アルゼンチン入国!

心配した出入国のコミッションは全く必要なく、簡単にパスした。
入国も、パスポートだけで五分程度でOK!
飛行機で来たかいがあった。

広い草原地帯、道ばたの水たまりに厚い氷が張っている。
この辺の草原には、羊が沢山いる。どこに飼い主がいるのか、家は殆ど見られない。

2時過ぎ、強烈な横殴りの風が吹き始めた。
車が少ないのが幸いで、必死でハンドルを握った。
地平線に沈む夕陽が何んと美れいだったこと。

日没と共に冷えて来た。ここの冷え込みは、きびしい。
郡上の晴れた冬の夜の如く、骨の髄までこたえるような冷え込み。
疲れたといって、止まって休めない程だ。

リオ・ガジェイコまで35kmの地点、すっかり暗くなり、このまま走り続けねばならないのか、と思った矢先、農家の灯が見えた。

ダメで元々と思い老人に一夜を頼むと、主人の所へ一緒に行ってくれて、許可を取った。
助かった。 リオの公園にでも寝る覚悟だったのに。

夕食をもらい、ベッドまでついた。

羊のシチューとパンの夕食。
熱気のこもる室内で、外の寒さがウソの様に感じられた。

夕食後、じいさんの部屋で、初めてマテ茶を飲んだ。
湯飲み茶わん程の木の器に、キセルの様なパイプをさし、中に粉のマテ茶と砂糖を入れ、吸って飲むもの。
ほろ苦さと甘さが云いようのない味を出す。
二人で交互に、二、三服ずつ飲む。

アルゼンチン人の第一印象は、これまで会っ たラテン・アメリカ人の中で最も思慮深い気がする。
それは話し方でわかるし、俺を見る目が違う。

電気のない部屋ではローソクが立ててある。
ストーブがゴーゴー燃えている。

羊の毛皮を敷きつめたベッドに寝かせてもらう。
今は外の寒さもうそのよう。顔も手も脚もポカポカ暖かい。
ラジオが流す音楽を、ウトウト聴いている。

緑:プンタアレーナス 赤:リオ·ガジェゴス

@Openstreetmap

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