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❨166❩1972.2.14 月 晴→曇(時々雨) 赤道通過:エクアドル(Ecuador:Ibarra→)

走り終った今、俺はボンヤリ、ローソクの灯を眺めてこの日記を書いている。

日本へ帰りたい。でも帰れない。
夜は一層孤独になる。
慰めてくれるものは何もない。
ただじっとこらえているしかない。
明日を考えることによって、俺はこの暗い夜を耐える。
80kmの山道を越えて来た今日という日を、噛み締めて黙りこくっている。

今日は、赤道を通過した。
何人の人と言葉を かわしただろう。
そしてどれだけ世話になっただろう。
毎日必ずといって良い程、多かれ少なかれ世話になる。
有難いと思う。

今夜も、村の或る家の一室を借りた。
食事もした。
ベッドは金網だけだが、寒さをしのぐには十分。

今、俺は日本と全く違った環境にいる。
めずらしい服装をし、奇妙な風習の違った言葉の人々の中にいる。

抵抗はある。
しかし割と素直に順応していると思う。
いや、そうしなければならないからかも知れない。

走る事は疲れるが、苦しいとは思わなくなった。
今俺は、苦しさそのものの中へ入り切っている。

どこに寝ようと何とも思わない。
寝袋とテントと水と食料、そして、自転車、それ以外何も必要ない。

この今の自分をいつまでも忘れないでいたい。
日本へ帰り、並の生活に戻ったとしても・・・。

さあ、明日は、主都キト。頑張ろうぜーーー

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