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社会人大学院生だった話。〜はじめに〜

まさか自分が経験するとは思わなかった。

卒業式が行われるはずだった今日。この2年間を振り返るべく、社会人大学生だった日々をつらつらと書き始めようと思います。自分が出るはずだった卒業式が中止になり、到底延期などありえないオリンピックが余程の事態で延期になった2020年春。私は無事卒業となりました。まずは私おめでとう。

2年前、社会人になって15年目、フリーランスになって3年目の春、主に社会人を対象とした大学院に入学しました。「社会デザイン」という分野を扱う独立研究科といわれる大学院。私にとって、それまでの経験、バックグラウンドにドンピシャの研究科でした。

主に夜間&土曜に授業が行われ、平日授業が終わるのは22時。横浜の自宅まで帰ってくると23時半。そこから軽く食べたりして寝る、起きる、仕事行く。こんな生活。履修の仕方次第だけど、通学は私の場合週3〜4日。こんなに行かなくでも単位が取れるけど、院生室にやたら馴染んでしまったので行く頻度が多めでした。ちなみに、授業の終わりが遅いので、誘い合って飲みに行くということは稀。健全な夜の過ごし方。でも、元々の夜更かし生活がさらに助長されてしまったけれど。

そんな生活をしながら、体験したこと、見たこと、思ったこと、観察したこと、学んだことを、思いつく限り書いていきます。あくまで私が、この学校で、私のライフスタイルにおいて、の話です。普遍性は、あまりないかもしれないし、あるかもしれない。ただ、もし社会人で働きながら大学院に入ることを少しでも朧げに描いている方がいるとしたら、数ミリ程度はお役に立てると思います。ゼロではないはず。

卒業式の重み。

私はかつて、幼・小・中・高・大の5つの卒業式(卒園式)を経験してきた訳ですが、どれもこれもあまり強く印象に残ってないんですね。もちろん断片的には覚えているけど、感慨深さというものはあったような、なかったような。そもそもセレモニー的なものへの関心が薄いので、尚のことかもしれないです。今回もこういう事態になる前、卒業式に出席するつもりだったけど、それなりにかしこまった格好で行けばいいかな程度に考えただけで。ミッション系大学ならではのアカデミックガウンを着るつもりも特になく。そういえば、大学の卒業式でも袴を履かなかった、というくらいセレモニーに関心薄め。だから今回も、また卒業式ね、くらいの心持ちでした。

ところが。日に日に卒業式の実施の雲行きが怪しくなって、あれよあれよという間に中止のお達しが。その後も少しでも事が好転することを期待しつつ、小規模で実施できないかなど先生方は模索してくださったようでしたが、それも虚しく完全に中止が決定。確定。

そこからです。じわじわとその事実が染み込んできたのは。

当たり前と思っていたことが出来なくなったからこその喪失感(大げさだけど、当事者にとってはまさにそれ)。なんだか尻切れトンボ状態。気持ちの整理がつかない。あ、卒業式って大事な節目だったのか、と初めて気づく。もし私に我が子の卒業という経験があれば、その意義をもっと早くに知っていたかもしれないのだけど、自分に関しては、無くなってみて初めて知るセレモニーの重要性でした。

そしてもう一つ思うのは、卒業の重みは人生の長さに比例するのではないか、ということ。人生の長さといっても、私が平均寿命の半分程度しか生きてないのに、こんな発言おこがましいのは重々承知ですが、もし私が大卒ストレートで大学院に進学していたら、その年齢で感じる卒業の重みと、今私が感じている卒業の重みは違うんだろうということ。決して大卒ストレートが軽いという意味じゃない。あくまで個人の中で比較するならの話。それはきっと私だけでなくて、同じような経験をした人は頷くはず。これまでの人生で経験の重みや、仕事・家庭・学業さまざまを抱え込みながら学ぶということ、久々の同級生という新たな人間関係、それらが学びにまた深みをもたらす。二重奏、三重奏、そんな濃密な時間。それを晴れて、研究、論文という形で完結できるのだから、やはり重みは最大限に増します。

簡潔にいうと、大学院行って正解だった!ということです。(簡潔すぎる)

元々論文を書くために大学院に入った私。実は当初授業への関心はそこまで高くなかったのが本音。そういう人は実は珍しかったりもして、学生はそれぞれに色々な思惑で大学院に入ってくる。だから、研究の意義も、卒業の意味もバラバラだし、2年間で得るもののバラバラ。重みも天秤にかけられるものではない。どこまでもどこまでも、自分の、自分による、自分のための研究であり、論文であるということ。だから、至極私における結論として、社会人大学院は大正解という一つの解を示しておきたいと思います。

大正解に至った日日を、ここからぼちぼちと綴っていきます。どうぞ気長にお付き合いください。

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