自然と文化の融合「タスマニア島」


世界遺産の登録基準は全部で10項目あって、そのうち1つでも当てはまれば世界遺産に登録されます。

(i)人間の創造的才能を表す傑作である。

(ii)建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。

(iii)現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。
(iv)歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。

(v)あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの)

(vi)顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。

(vii)最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。

(viii)生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。

(ix)陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。

(x)学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。

引用:公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟https://www.unesco.or.jp/activities/isan/decides/

世界遺産の基礎知識はこちらで詳しく記事にしています。


オーストラリアにある「タスマニア原生地帯」は、なんと7項目の基準を満たしている、珍しい世界遺産です!
(iii)、(iv)、(vi)、(vii)、(viii)、(ix)、(x)と文化遺産は文化の証拠を表す遺産や伝統を感じられる遺産として登録され、自然遺産の基準はすべて満たしています!すごい!

日本で基準を満たしている世界遺産は多くて4つ。7つ以上も基準を満たしているのはとても凄いことなんです!

( i )~( vi )が文化遺産、( vii )~( x )が自然遺産の基準となっていて、この「タスマニア原生地帯」は文化遺産も自然遺産も認められている、複合遺産となっています。



大自然に囲まれたタスマニア



オーストラリア南部に浮かぶタスマニア島。

画像1

画像引用:TABIPPO.NET https://tabippo.net/tasmania-travel/

5つの国立公園が連なる、総面積1万5842㎢のエリアが世界遺産に登録されました。

氷河の流動によって大地が侵食され、平坦な山々から荒々しい斜面を持つ山がこの地を形成し、多数の湖が誕生しました。(氷河形状といいます)

5つの国立公園の中でもクレイドル・マウンテン・セント・クレア・レイク国立公園が一番、「氷河形状」が多く見られます。そして、セントクレアレイクというオーストラリア最深の湖があります。


この国立公園の中でも魅力的なのがオーロラ

画像2

画像引用:AUSTRALIA.COM https://www.australia.com/ja-jp/places/hobart-and-surrounds/guide-to-cradle-mountain-lake-st-clair-national-park.html


「南のオーロラ」として知られています。見られる条件が限られる北のオーロラとは異なり、一年を通して見ることができるのが特徴です。

大自然に囲まれたオーロラ、とても素敵ですね!
特に5月~9月はオススメで、とても綺麗に見えるそうです!




タスマニアの歴史

タスマニア島は、ゴンドワナ大陸という、かつて存在した巨大大陸の一部だったといわれています。(オーストラリアやアフリカ、インド、アメリカなどもこの大陸が分裂してできたとされています)

現在は島ですが、以前はオーストラリアと陸続きになっていました。

19世紀までタスマニア・アボリジニという先住民が旧石器時代同様の暮らしをしていました。しかし英国人が入植すると追い出され、収容施設に入れられたりと、「ブラック・ウォー」と呼ばれる戦争にまで発展しました。
また英国人入植により、白人伝染病がタスマニアで流行し死者が続出。かつて4500人以上いたタスマニア・アボリジニは1876年5月8日に消滅してしまいました。

タスマニア・アボリジニはもういませんが、オーストラリア本土で暮らす先住民の「アボリジニ」はエアーズロックの地域などで現在も暮らしていて、先住民の文化は受け継がれています。


タスマニア・アボリジニが残したもの


島内には、1万年以上前にタスマニア・アボリジニが描いた岩絵が色鮮やかな状態で残っています。

1万年前の岩絵が残っているなんて!!凄いですよね!

画像3

画像引用:Travel Book https://www.travelbook.co.jp/topic/11714

これはステンシルと呼ばれる版画の一種で、金属の板などを使って切り抜いた図形から絵具を塗り込んで刷り出す技法で制作されているそうです。

絵のほとんどは宗教的なものばかり。
この写真をみると手形もありますね...。
ちょっと不気味ですが、1万年以上前の絵がこんなにはっきりと残っているのは凄いですね!


この地でしかみられない動物


かつてはオーストラリア本土と陸続きだったタスマニアは陸から離れ「島」になると、生物は進化し、多くの固有種が生まれました。

中でも「タスマニアデビル」は他の大陸では見られない貴重な動物。

タスマニアデビル...。名前は怖いですよね。
どんな動物だと思いますか?

私はなんとなくコウモリの一種なのかな~と予想していましたが...。



画像4

画像引用:BuzzFeed https://www.buzzfeed.com/jp/ishabassi/cute-photos-australian-animals-1

想像の100倍可愛いかった。(笑)

別名「フクログマ」(有袋類)。クマかと思いきやネコ科の動物!

全然デビルじゃないじゃん!!(笑)

タスマニアデビルは絶滅危惧種なので、島の貴重な動物として保護されています。


まとめ



今回はオーストラリアの「タスマニア原生地帯」についての記事でした。
タスマニアには先住民の歴史を残す遺産が存在し、オーストラリアを代表する大自然がたくさんあります。
「世界一空気がおいしい場所」とWHOが定めたほど、世界で一番、二酸化炭素濃度が低いんだそうです!


アクティビティツアーなんかもあって、アクティブな方に大変人気なんだそうです。

最近はソロキャンプやグランピングが流行っていて、「自然に触れること」が注目されていますね。
確かにインドア派の私でも、ここ最近は家にいることが多いので自然に触れたくなる時が多々あります。
タスマニアに行くのは難しいですが、近所の公園に行ったり自宅の窓から緑を眺めたりするだけでもストレス解消になるかもしれませんね!

#森林浴したい虫は苦手だけど





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