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書評『ルックバック』
ふとしたきっかけで自分の才能に気付くことがある。というか、自分で自分の才能を見出すことはできない。そして引き出すことは困難だ。特に幼い自分には相当に困難なことがある。
公立の小学校の時圧倒的に勉強ができた自分は、周りから全然肯定されてない気がして劣等感の塊だった。それは自分の妄想だったのかもしれないけど、評価をしてもらえないことにはやはり自己肯定をすることはできない。
私の場合は幸運にも全力で肯定してくれた小学校3年生の時の今はなき恩師のおかげで今があると思っている。あの言葉がなかったら今の自分はどうなっていただろうか。そんな気持ちを思い起こさせてくれる素晴らしい読み切りに出会えた。感動しすぎてこの文章を書いている。
「漫画家が描く漫画家漫画にハズレなし」
その言葉を地で行くのがこの作品だ。漫画を描くのが得意な主人公が引きこもり少女の漫画を先生から半ば強制的に掲載させられるところから物語は始まる。主人公の自己否定感と葛藤。そして引きこもり少女との邂逅から話は急展開する。人生とはきっかけと出会いである、そして別れ。それを乗り越えて乗り越えて生き続けていくのだ。
蛇足ではあるがデジタル作品ならではの、紙の漫画の良さを引き継いだ大胆なコマ割り。流石ジャンプ。こんな作品を掲載してくるところが日本の漫画の底力なんだろうな。
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