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今こそ民間宇宙開発に注力すべき理由

 政府は今こそ国家安全保障の文脈で民間宇宙開発に力を入れるべきだろう。なぜか。それは今回のロシアとウクライナの戦争で噴出してきたことだ。
 国際社会はロシアの侵略に対してありとあらゆる制裁を打ち出している。今のところ国際宇宙ステーションに関しては静観しているが、これもどうなるかわからない。少なくともアメリカ政府の民間宇宙企業支援策がなければ、SpaceXのクルードラゴンは就航せず、ISSへの輸送手段がソユーズに限られていたとしたらISSに滞在する非ロシア系宇宙飛行士は人質に取られていたかもしれない。アメリカ合衆国はスペースシャトル中止後、長らくソユーズに有人宇宙飛行を依存していたのだ。

 さらにアメリカの基幹ロケットアトラスの一段目は、ソ連崩壊の時に火事場泥棒の如く格安で払い下げを受けたRD-180が使われている。アメリカ政府調達でこのアトラスを使うのは安全保障上問題だとSpaceXのイーロンマスクが指摘したのは正しかったわけだ。
 そして、ヨーロッパのアリアンスペース社はフランス領ギアナよりロシア製ソユーズを打ち上げているし、ウクライナのロケット「ゼニート」の一段目もロシア製だ。独自の宇宙開発を進めている韓国も、もともとは一段目にロシア製のロケットエンジンを使っていたし、その技術を参考に国産化を進めている。
 ソユーズやプロトンといったロシアのロケットはメガ通信コンステレーションのOneWeb衛星の打ち上げに使われており、3/5にソユーズで打ち上げ予定だったOneWeb衛星は人質に取られてしまった。前澤友作氏も半年ずれたら宇宙飛行がダメになっていただろう。

 今後打ち上げられる予定のメガコンステレーションの主要な打ち上げ手段だったソユーズやプロトンが使えないとなると大きな問題だ。
 日本のH-2AやインドのPSLV,GSLV、アトラスなどの大型ロケットはかなり先まで打ち上げ予定が決まっている。ファルコン9みたいに融通は効かないしライバル企業の衛星は打ち上げない可能性が高い。
 となると小型衛星打ち上げロケットの需要が俄かに高まってくる。インターステラテクノロジズのロケットも需要が殺到するはずだ。

 また国家安全保障の面から見るとロケットを完全に国産化していることは非常に重要だということがわかる。ウクライナにおけるロシア軍の動向をリアルタイムに衛星からは監視できていない。地球観測衛星のコンステレーションができると、それが可能になる。
 日本にとっても他人事ではなく台湾、尖閣有事や北朝鮮や中国の動向監視という意味で防衛上非常に大きな意味を持つ。

 いまだ打ち上げ本数の少ない基幹ロケットしか選択肢がない状況を打破するために、数少ない民間ロケットメーカーに対する支援を強化すべきだろうと考える。

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