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アンチ派の逮捕と3回目のロックダウン:ケンブリッジ留学 番外編01

2021年1月8日から、東京/神奈川/埼玉/千葉を対象にした緊急事態宣言が再発令されました。なお、前日の7日にコロナ感染した人は7,000人を超え、64名が亡くなっています。

一方、イギリスは同1月7日に感染者数52,618人、死亡者数1,162人。

検査体制の違いなどもあり単純比較は本来できませんが、イギリスの人口はざっくりと日本の半分ほど(約6,700万人)です。日本に換算すれば毎日10万人が感染し2千人以上が亡くなるぐらいのインパクトがあります。

少なくとも、国全体としての危機感が高まっているのは間違いありません。ということで、2021年1月4日からイングランド全土を対象にした3回目のナショナル・ロックダウンが始まりました。

タイミングが日本の緊急事態宣言再発例と重なることもあり、簡単な比較がてらイギリスの様子について軽く紹介したいと思います。

ちなみに、僕が住んでいるケンブリッジ市は人口13万ほどの地域で、かつ普段交流があるのも大学の研究者や学生などに限定されています。あくまでそういう場所で生活している人間から見たイギリスへの印象になっております。

1. 日常的な買い物の様子

個人的によく利用するのは、広さが日本でいうコンビニぐらいの「Co-op Food」か、デパ地下ぐらいある大型スーパー「Sainsbury's」です。

ロックダウン中でも、スーパーは日常生活に欠かせない「Essential shops」の1つとされているため、いつも通り営業中です。

ちなみにメディア報道でたまにあるような「現地では品薄状態が続いてます!」というプチ・パニック系の事態は身の回りでまったく起こっていません。

いつもより人が多く駆け込むようなこともなく、お客さんの様子やお店の雰囲気は、ロックダウン以前と特に変わらない印象です。

2. 段階的なロックダウン

割と落ち着いているように見えるのは、これまでの政策が関係していると思います。実は、今回で3回目となるイングランド全土のロックダウン以前から、地域毎に警戒レベルを4段階に分類し、レベルに応じて行動制限する仕組みが導入されていました(当初3段階だったが、12月に4段階目を追加)。

つまり「前々から各地で制限されてきた行動が、今回はイングランド全土にわたって厳しく統一された」という状況です。

ですので「いつから外出制限かかるのか?どうなるのか??」みたいな感じはあんまりなく「突然ロックダウンされて何もできなくなった」というわけではありませんでした。

もちろん不安やショックなどネガティブ感情は少なからずみんな持っていますが、「まあ、感染者が増えればそうなるよね…」という状況だと個人的には思っています。

初のロックダウンとは違って今回で3回目ということもあり、ストレスはそれなりに抱えながらも、現実を受け入れつつ各々でやれることをやっていこうという感じです。

3. 規制への反発と逮捕/罰金

ただ、これが大都市ロンドンともなると話は変わってきて、大々的にロックダウン反対派の集会が開かれたり、それに対して警察が動く、ということも起こっています。

例えば、2020年11月2日には、ロンドンのハイドパークで逮捕者が出る騒ぎになりました。以下の動画で当時のカオスぶりがよくわかるとおもいます。

他にもコロナ絡みの騒ぎで言うと、ノッティンガムの大学生が10月に起こした事件があります。

法律違反となる30名以上で集まってパーティーを開催したところ、警察にバレて主催の学生たちは一人あたり罰金140万、大学の方も停学処分になりました。

このように、過激な反対活動をしたり、違法だと知りながら思い切った行動をする人たちもいます。ただ、イギリス全体(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北部アイルランド)でみれば、こういった行動はほんの一部だと言えます。

4. まとめ

1) 段階的なロックダウンが以前からなされていたこと
2) 1日で5-6万人と、感染者数が飛躍的に増えていること
3)法的に罰金や逮捕など違反した際の懲罰が明示されていること

といった背景もあり、全体としては3回目のロックダウンに対して「仕方ない」と受け入れている印象です。

もちろん、ロックダウン自体に対する不満やストレス、不安は様々な立場の人が常に抱えている問題でもあります。次回はそのあたりについて、学生の様子なども紹介できたらと思います。

執筆者からのお知らせ

今年の3月6日に初の著書がSBクリエイティブより出版されます。タイトルも表紙もまだ仮のものですが、単行本/Kindleバージョンともに予約受付中です。

執筆者:柏野尊徳(Takanori Kashino)
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