確固たるしなやかな存在。
波能かなみさん個展【Girls in the Paper.】(〜9月30日まで)
@ギャラリーそうめい堂
波能さんは武蔵野美術大学油絵学科版画専攻を卒業したあと
2018年に、東京藝術大学大学院美術研究科版画研究室修士課程を修了した
作家さんだ。
初めて作品を拝見したのは
【第66回 東京藝術大学卒業・修了作品展】の
「ひとであること」と題された展示だった。
階は忘れたが、絵画棟の端の部屋で
波能さんの描くふくよかな女性たちは、
和紙で囲われた空間に身を委ね、
鑑賞者の巻き起こす微風に揺れていた。
その女性たちの指先が、
鬱血したように紫に染められていたのが印象的だった。
そのことを少しお話したことを覚えている。
波能さんの作品はとても印象的だったのだが、
修了後、なかなか作品に出合うチャンスがなかった。
が、2019年だったか、アーツ千代田3331のギャラリースペースで
偶然に再開した。それは紛う方なき波能さんの描く女性だった。
その後、根津のギャラリーにも掛かるを知るが
それは見に行けず、
やっと今回の個展で、たっぷりと拝見することができた。
そして波能さんともお話できた。
彼女が描く女性たちの、特に首や鎖骨あたりのしっかりとした感じは、
女性の意思の強さ、自立した女性の表現であるという。
「華奢な女性は描きたくない」とも仰っていた。
今回はガラスペンなどで描いたドローイングも多数展示されていた。
それがまたよかった。
変容してしまった日常の、失われてしまったものに対する
波能さんの切ない愛情がそこにはあった。
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