この声は小さすぎて 君の元までは届かない たとえそれを知っていても 叫ばずにいられない (選挙の話)
選挙の季節ですね。
投票率の低さ、特に若い世代の無関心が話題になっていますが、僕自身も二十代の頃は選挙に行った記憶がないので、偉そうな顔はできません。
最初に記憶に残っている選挙は僕が30歳の頃、1995年4月の都知事選です。青島幸男さんに投票、見事当選しました。正直、知事選びをそれほど深く考えたわけではありませんでした。青島さんは子供の頃からテレビで時々見かけていたし、「スーダラ節」の作詞者だということもなんとなく記憶にあり、16年間・4期に渡って前都知事を務めた鈴木俊一氏の保守的な雰囲気に比べると、新しいことをやってくれそうな期待感が持てました。
*こんな役でドラマにも出てましたね
1995年4月といえば、1月の阪神大震災と3月の地下鉄サリン事件という暗い事件が続いた直後。バブル崩壊後景気が回復する見込みもなく、自分も含め都民は「大いなる変化」を渇望していた時期だったんだと思います。
Q:現代の若者が選挙に関心が薄いのは何故なのか?
A:物心ついたときから日本はずっと不況なので「この状況を変えたい」という気持ちになる以前に「どう変えていきたいのか」の目安がない。
「変えたらどうなるのか」というビジョンが描けない。
という仮説をSNSで読みました。
なるほど、高度成長期やバブルを知ってる僕ら世代(ちなみに1964年生まれです)は、あの頃と今をいつも無意識に比べています。時代を図るものさしなんて、単に自分の過去から今までの経験の目盛り(メモリー)に過ぎないのかもしれません。
青島都知事の誕生は僕にとって「成功体験」でした。自分が投票した候補者が当選して、停滞した世の中が変わる期待感。少しだけ世の中を動かした実感。この頃から今まで、僕は欠かさず選挙に足を運んでいます。
とはいえ、そんな成功体験がいつも続くわけではなく、この都知事選以降、投票した候補者の80%くらいは落選している気がします。特にネットで発言や人となり、情勢まで調べられるようになってからは慎重に候補を選んで投票していますが、難しいところです。どれだけ熟考しても、自分が自然に選んだ共感できる候補者が当選する割合はどうやらとても少ないのです。
自分自身で未来を決める活動に参加しているという満足感と同時に、声が届かない悔しさを、何度も何度も味わっています。それでも懲りずに(負けるかもしれない候補に)票を投じるのは、この生きづらい社会を変えてくれる可能性に賭けたいからです。
10〜30代の若い世代が自殺したくなるような今の社会を変えて、安心して未来に希望を持てる社会を作って欲しいだけなのです。
今日、この秋発売予定の新しいアルバムのために「ベステンダンク」という古い曲を、もう一度歌い直して録音していました。オリジナルでは「虹の都へは 遠すぎるようだ」と歌っていたところを、新バージョンは「虹の都へは あと少しなんだ」と変えています。
録音の後、期日前投票に行ってきました。曲がずっと頭の中でリピートしていました。いつも以上に期待を込めて票を投じました。
令和になった今、本当の意味での新しいリーダーが選ばれてほしいと願っています。参議院選挙投票日は7月21日(日)。当日は天気があまりよくないという予報なので、期日前投票がいいかもしれません。
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ベステンダンク (1990〜2019)作詞・作曲:高野寛
この声は小さすぎて 君の元までは届かない
たとえそれを知っていても 叫ばずにいられない ベステンダンク
こんなところにも 壁が待っていた
交わろうとする そして乗り越える
でもすべては水に流れてく
くぼみに落ちたり 雨に打たれたり
虹の都へはあと少しなんだ でも待つ事はできない
この窓は小さすぎて 君の顔さえもわからない
たとえそれを知っていても 開かずにいられない
産まれて初めて目が覚めたように
明かりも暗闇も同じように見える それは不思議な景色だ
この声は小さすぎて 君の元までは届かない
たとえそれを知っていても 叫ばずにいられない
ひまわりの咲く頃に また波が訪れる
今までとこれからが 回り続ける事に気づくだろう
あの日の景色は晴れ渡っていた
戻らない青が惜しみなくくれた時間を覚えていたい
この窓は小さすぎて 君の顔さえもわからない
たとえそれを知っていても 開かずにいられない
この声は小さすぎて 君の元までは届かない
たとえそれを知っていても 叫ばずにいられない ベステンダンク
*アイドルネッサンスのカバーバージョン
*「ベステンダンク」という馬もいるみたいです
*ベステンダンクが生まれた時の話。
ところで「ベステンダンク」ってどういう意味?それは....
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