たかむ

MathMLについて様々な情報を細々とホームページに綴っています。 https://t…

たかむ

MathMLについて様々な情報を細々とホームページに綴っています。 https://takamu.sakura.ne.jp/mathml/index.html ここではMathMLについて調べる中で気が付いたことをメモしていきます。

最近の記事

semi(半)だけど二重階乗!!

MathML4仕様書の例の中で"semi factorial"というものが出てきます。 "semi"は、"semiconductor"が"半導体"といった具合に"半"という意味の言葉です。ただ、日本語では一般に"semi factorial"は二重階乗と呼ばれます。半なのに二重とは呼ばれる面白い言葉ですね。 ちなみに、英語版Wikipediaでは、"double factorial"を"semi factorial"と呼ぶこともあると書かれていますが、日本語版Wikiped

    • Computed Valueは算出値? 計算値?

      CSSには"Computed Value"という用語があります。これは、スタイルシートで指定された値や継承された値や既定値から、諸々処理して、実際に描画に使用する算出した(計算した)値です。厳密には"auto"とされた値を描画に使用するピクセル値に変換するといった重い処理の前の値ではあります。 この"Computed Value"の日本語訳には、算出値を当てているものと、計算値を当てているものの2つが見受けられます。どちらが適切と言い切れるものではありませんが、統一されると

      • だいぶ先だが、MathML5が開発されるらしい

        以前、2023年10月にW3Cの数学作業部会憲章(日本語訳)が再発行されたことで、MathMLコアが2024年9月ごろに勧告になるのではという話をしました。 この作業部会憲章の再発行では、もう一つ大きな内容が書き加えられました。それはMathML5の開発です。現在、MathML3 2ndが勧告で, MathML4が開発中という状況なのでまだまだ先の話ではあるでしょうが、書き加えられたのは事実です。 MathML4の開発では、時期尚早として取り組まれなかった作業があります。

        • 17年目の日本語訳を振り返る

          私がMathML関連の技術報告書を初めて和訳してからの15年間は15年間の日本語訳を振り返るで、16年目については16年目の日本語訳を振り返るで振り返ったところです。さらにそこから1年経ったということで、17年目の日本語訳を振り返ってみたいと思います。 文字に対するXML実体の定義(第3版) "XML Entity Definitions for Characters (3rd Edition)"の日本語訳で、公開したのが2023年5月16日です。 以前に和訳した「文字に

        semi(半)だけど二重階乗!!

          mayをどう訳す?

          MathMLなどの仕様書を読んでいると、しばしばmayという助動詞に出会います。このmayはどう訳すと良いのでしょうか。 mayには「かもしれない」と「してもよい」の意味があります。筆者は「かもしれない」が主な意味だと覚えていました。 RFC文書では 実は、仕様書の助動詞の意味を明確にするためのRFC文書「Key words for use in RFCs to Indicate Requirement Levels」(日本語訳)があります。このなかでmayの意味すると

          mayをどう訳す?

          MathMLコアはいつごろ勧告になるのか

          2023年10月、W3Cの数学作業部会憲章(日本語訳)が再発行されました。そうなると、数学作業部会憲章の下で作業が進められていたMathMLコアはいつごろ勧告になるのでしょうか。 憲章によると 数学作業部会憲章の予定の節によると、開始日+3ヵ月で勧告候補、開始日+9ヵ月で勧告案を目途としているようです。そうすると、数学作業部会憲章の開始日が2023年10月13日なので、2024年1月に勧告候補、2024年7月に勧告案となる予定のようです。 W3C手続き文書によると で

          MathMLコアはいつごろ勧告になるのか

          Instanceって何と訳す?

          MathML等の技術報告書の勧告の手続き等を定めたW3C手続き文書(2023年6月12日版)に、"A distinct instance of the W3C Council"という文言が出てきます。さて、この"instance"って何と訳すと良いでしょう。 プログラミング言語のオブジェクト指向の分野では、"instance"は「インスタンス」と訳されます。クラスとして定義されたものの、実際に動く部品を指す用語です。そのままカタカナで表現されたものですが、それだけ日本語には

          Instanceって何と訳す?

          なぜ、行が横で、列が縦なのか?

          MathMLのmtableやmstackでは、行や列という概念が出てきますが、どちらが横でどちらが縦なのかとても分かりにくいです。HTMLのtableでも、Excelなどの表計算でも混乱を生じさせているところかと思います。 そこで、インターネットで調べてみたのですが、『行が横、列が縦であることをどう覚えるのか』といった内容のウェブサイトはすぐ見つかったのですが、『なぜ行が横で、列が縦なのか』といった内容のものは見つけられませんでした。筆者の探し方が悪かったのかもしれませんが

          なぜ、行が横で、列が縦なのか?

          MathMLの中にHTMLを埋め込んでみる

          あるとき、SNS上で『MathMLで数式のユーザーインターフェイスが作れるんではないか。入力を受け取ることはできないか。』という趣旨の意見を見つけました。 このことは、MathMLコアの仕様書(筆者による日本語訳)にある"2.2.1 HTMLとSVG"で紹介されているコードを使えば解決できるのではと思ったのですが、実際に試したことがありません。MathMLはブラウザによって実装状況がまちまちなので、環境によっては動かないこともあります。これは試してみなくてはと思いました。

          MathMLの中にHTMLを埋め込んでみる

          mfencedがMathMLコアに含まれなかった

          mfenced要素って? MathMLのmfenced要素は、とても使い勝手の良い要素でした。 <math> <mi>sin</mi> <mo>⁡&ApplyFunction;</mo> <mfenced> <mrow> <mi>a</mi> <mo>⁢</mo> <mi>x</mi> <mo>+</mo> <mi>b</mi> </mrow> </mfenced></math> と書くことで $$

          mfencedがMathMLコアに含まれなかった

          MathMLの系譜

          MathML 1.10とMathML 2.0が、今年2023年4月7日に置換済勧告となりました。これからは後継のMathML 3.0(日本語訳)や勧告に向けて改訂作業中のMathML 4.0が主流になって行くものだと思われます。 ところで、MathMLはどのように改訂が進めれれて来たのかが気になったので、MathMLの系譜をまとめてみました。 まず、1998年4月7日にMathML 1.0が勧告になりました。 その後、改訂作業が進められ、2001年2月21日にMathML

          MathMLの系譜

          スクリプト体とカリグラフィー体

          TeXやMathMLで利用される筆記体フォントには、スクリプト体とカリグラフィー体の2つの異体字(同じ文字だが字体が異なるもの)があります。この2つの異体字について、筆者がいろいろ調べたことをまとめておきたいと思います。 なお、スクリプト体やカリグラフィー体は、英字フォントでの書体の話なので、日本語の情報がなかなか無く調べるのに苦労しました。そのため、下記の文章には、必ずしも正確でない情報が含まれている可能性がありますので、ご了承ください。 スクリプト体 全体的に丸みのあ

          スクリプト体とカリグラフィー体

          差分ツールWinMergeでHTMLを比較する

          よく利用される差分ツールとしてWinMergeがあります。筆者も、MathMLなどの新旧の仕様書を比較するのに使用しています。 ただ、HTMLを比較する場合、ちょっとしたコツが必要です。 例えば </style><style type="text/css"> と </style><style type="text/css"> は、同じHTMLコードで途中に改行があるかどうかの違いです。しかしながら、WinMergeを通常の設定のままで比較すると、違うものとして認識さ

          差分ツールWinMergeでHTMLを比較する

          ディスプレイ形式とインライン形式

          今回は、MathMLで数式を表示する場合の2つの形式、ディスプレイ形式とインライン形式について紹介します。 MathMLでは、math要素のdisplay属性を設定することで、ディスプレイ形式で表示するか、インライン形式で表示するか選択することができます。display="block"と設定するとディスプレイ形式、display="inline"と設定するとインライン形式で表示することになります。 なぜ、ディスプレイ形式とインライン形式と呼ぶのかディスプレイ形式という言い

          ディスプレイ形式とインライン形式

          将来、割り算の筆算が実装されるかもしれない

          MathMLには、割り算の筆算を描画するためのmlongdivという要素があります。 mlongdiv要素 MathML3(筆者による日本語訳)によると、mlongdivは、次の割り算の筆算を、例えば次のコードを記述することで描画できます。 <mlongdiv longdivstyle="lefttop"> <mn>7</mn> <mn>34</mn> <mn>242</mn> <msgroup position="2" shift="-1"> <msgr

          将来、割り算の筆算が実装されるかもしれない

          意外と変わったコンテントMathMLの構成

          2022年9月8日にMathML4の初期草案が公開されました。今回は、その中で意外と構成が変わったコンテントMathMLについて触れていきたいと思います。 コンテントMathMLへの重大な変更は対象外 コンテントMathMLは、数学の意味を伝えるために利用されます。ただ、数式を表示するためのプレゼンテーションMathMLに比べてあまり注目されていないように感じます。数学作業部会憲章(筆者による日本語訳)の中でも、コンテントMathMLへの重大な変更は対象外とされており、現

          意外と変わったコンテントMathMLの構成