たかむ

MathMLについて様々な情報を細々とホームページに綴っています。 https://t…

たかむ

MathMLについて様々な情報を細々とホームページに綴っています。 https://takamu.sakura.ne.jp/mathml/index.html ここではMathMLについて調べる中で気が付いたことをメモしていきます。

最近の記事

versionはヴァージョンかバージョンか

"version"をカタカナで表現するとき、ヴァージョンとバージョンの2通りが考えられます。筆者は、今まで英語の発音に近いヴァージョンを使ってきました。それは「ヴァ」の方が元の英語の発音に忠実だと感じていたからです レクリエーションとレクレーション 筆者は、約30年前の中学生のときに「レクレーションではなくレクリエーション」と言われて衝撃を受けた覚えがあります。これはレクリエーションの方が元の英語の"recreation"の発音に忠実だからと言われた記憶があります。当時は

    • MathMLを表示できるブラウザを比べてみた

      MathMLを表示できる主なブラウザとしては、最も古くから対応しているFirefox、Macで利用できるSafari、最近対応したChromeがあります。また、他にMathMLを表示する方法としてMathJaxを利用することもできます。 今回は、このFirefox、Safari、Chrome、MathJaxを比較してみたいと思います。なお、比較に使用したもののバージョンなどは、Firefox(Windows版バージョン:129.0.1)、Safari(iPhone版iOSバ

      • 実体参照と数値文字参照 MathMLではどっちを使う

        αや≧のような記号を入力する場合、αや≧といった具合に実体名で表される実体参照か、αや≧といった具合に文字コードで表される数値文字参照で表現することができます。もちろん、ユニコード文字を直接入力することも最近は可能です。 なお、実体参照は、MathMLでの呼び方で、SGMLやXMLからの流れでこう呼ばれています。現在のHTMLでは名前付き文字参照と呼ばれます。 さて、実体参照と数値文字参照、MathMLではどっちを使うのがよい

        • 厳格なコンテントMathMLで使われるラムダ式

          今回は、MathMLの中でも、プレゼンテーションMathMLの影に追いやられている感じのコンテントMathMLに焦点を当ててみたいと考えています。 MathML3から厳格なコンテントMathMLが導入されました。この厳格なコンテントMathMLは、全ての数式を関数で表すことで、複雑な構造を利用する要素や大量の空要素を使用しない、コンテントMathMLの最小の部分集合となるものです。なお、MathML仕様書では、関数(function)ではなく記号(symbol)という用語で

        versionはヴァージョンかバージョンか

          MathMLではありませんが、noteで数式が使えるようになったらしいので書いてみました (第3弾)

          2021年12月からnoteで数式を使えるようになったらしいです。 今回、第3弾ということで、分数の割り算・掛け算・約分について書いてみたいと思います。なお、過去に数式を書いてみた記事は、第1弾、第2弾から見ることができます。 分数の割り算は分母と分子をひっくり返して掛けることになります。約分も途中で出てきます。 $$ \frac{10}{9}\times\frac{2}{3}=\frac{\bcancel{10}^5\times\bcancel{3}^1}{\bcan

          MathMLではありませんが、noteで数式が使えるようになったらしいので書いてみました (第3弾)

          帯分数に思いをめぐらす

          MathMLで使われる"INVISIBLE PLUS"(見えないプラス)という名前のユニコード文字があり、帯分数を表すために使われます。具体的には、数値文字参照を利用して次のように記載します。 <math>  <mn>1</mn>  <mo>⁤&#x2064;</mo>  <mfrac><mn>1</mn><mn>3</mn></mfrac></math> このMathMLのコードは$${1 \frac{1}{3}}$$のように表示されます。今回はこの帯分数について考えて

          帯分数に思いをめぐらす

          "accessible ○○"ってどう訳す?

          MathML4の仕様書では、付録Cで、MathML3には無かったアクセシビリティについての章が加わりました。その付録Cには、"accessible digital content"とか、"accessible graphing utilities"といった"accessible ○○"という表現が出てきます。ところで、この"accessible ○○"ってどう日本語にしたら良いのでしょうか。 少なくともアクセシビリティという単語を使うのが適切だと思われるのですが、どんな表現

          "accessible ○○"ってどう訳す?

          semi(半)だけど二重階乗!!

          MathML4仕様書の例の中で"semi factorial"というものが出てきます。 "semi"は、"semiconductor"が"半導体"といった具合に"半"という意味の言葉です。ただ、日本語では一般に"semi factorial"は二重階乗と呼ばれます。半なのに二重とは呼ばれる面白い言葉ですね。 ちなみに、英語版Wikipediaでは、"double factorial"を"semi factorial"と呼ぶこともあると書かれていますが、日本語版Wikiped

          semi(半)だけど二重階乗!!

          Computed Valueは算出値? 計算値?

          CSSには"Computed Value"という用語があります。これは、スタイルシートで指定された値や継承された値や既定値から、諸々処理して、実際に描画に使用する算出した(計算した)値です。厳密には"auto"とされた値を描画に使用するピクセル値に変換するといった重い処理の前の値ではあります。 この"Computed Value"の日本語訳には、算出値を当てているものと、計算値を当てているものの2つが見受けられます。どちらが適切と言い切れるものではありませんが、統一されると

          Computed Valueは算出値? 計算値?

          だいぶ先だが、MathML5が開発されるらしい

          以前、2023年10月にW3Cの数学作業部会憲章(日本語訳)が再発行されたことで、MathMLコアが2024年9月ごろに勧告になるのではという話をしました。 この作業部会憲章の再発行では、もう一つ大きな内容が書き加えられました。それはMathML5の開発です。現在、MathML3 2ndが勧告で, MathML4が開発中という状況なのでまだまだ先の話ではあるでしょうが、書き加えられたのは事実です。 MathML4の開発では、時期尚早として取り組まれなかった作業があります。

          だいぶ先だが、MathML5が開発されるらしい

          17年目の日本語訳を振り返る

          私がMathML関連の技術報告書を初めて和訳してからの15年間は15年間の日本語訳を振り返るで、16年目については16年目の日本語訳を振り返るで振り返ったところです。さらにそこから1年経ったということで、17年目の日本語訳を振り返ってみたいと思います。 文字に対するXML実体の定義(第3版) "XML Entity Definitions for Characters (3rd Edition)"の日本語訳で、公開したのが2023年5月16日です。 以前に和訳した「文字に

          17年目の日本語訳を振り返る

          mayをどう訳す?

          MathMLなどの仕様書を読んでいると、しばしばmayという助動詞に出会います。このmayはどう訳すと良いのでしょうか。 mayには「かもしれない」と「してもよい」の意味があります。筆者は「かもしれない」が主な意味だと覚えていました。 RFC文書では 実は、仕様書の助動詞の意味を明確にするためのRFC文書「Key words for use in RFCs to Indicate Requirement Levels」(日本語訳)があります。このなかでmayの意味すると

          mayをどう訳す?

          MathMLコアはいつごろ勧告になるのか

          2023年10月、W3Cの数学作業部会憲章(日本語訳)が再発行されました。そうなると、数学作業部会憲章の下で作業が進められていたMathMLコアはいつごろ勧告になるのでしょうか。 憲章によると 数学作業部会憲章の予定の節によると、開始日+3ヵ月で勧告候補、開始日+9ヵ月で勧告案を目途としているようです。そうすると、数学作業部会憲章の開始日が2023年10月13日なので、2024年1月に勧告候補、2024年7月に勧告案となる予定のようです。 W3C手続き文書によると で

          MathMLコアはいつごろ勧告になるのか

          Instanceって何と訳す?

          MathML等の技術報告書の勧告の手続き等を定めたW3C手続き文書(2023年6月12日版)に、"A distinct instance of the W3C Council"という文言が出てきます。さて、この"instance"って何と訳すと良いでしょう。 プログラミング言語のオブジェクト指向の分野では、"instance"は「インスタンス」と訳されます。クラスとして定義されたものの、実際に動く部品を指す用語です。そのままカタカナで表現されたものですが、それだけ日本語には

          Instanceって何と訳す?

          なぜ、行が横で、列が縦なのか?

          MathMLのmtableやmstackでは、行や列という概念が出てきますが、どちらが横でどちらが縦なのかとても分かりにくいです。HTMLのtableでも、Excelなどの表計算でも混乱を生じさせているところかと思います。 そこで、インターネットで調べてみたのですが、『行が横、列が縦であることをどう覚えるのか』といった内容のウェブサイトはすぐ見つかったのですが、『なぜ行が横で、列が縦なのか』といった内容のものは見つけられませんでした。筆者の探し方が悪かったのかもしれませんが

          なぜ、行が横で、列が縦なのか?

          MathMLの中にHTMLを埋め込んでみる

          あるとき、SNS上で『MathMLで数式のユーザーインターフェイスが作れるんではないか。入力を受け取ることはできないか。』という趣旨の意見を見つけました。 このことは、MathMLコアの仕様書(筆者による日本語訳)にある"2.2.1 HTMLとSVG"で紹介されているコードを使えば解決できるのではと思ったのですが、実際に試したことがありません。MathMLはブラウザによって実装状況がまちまちなので、環境によっては動かないこともあります。これは試してみなくてはと思いました。

          MathMLの中にHTMLを埋め込んでみる