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アナログバイリンガル
祖母は魔女だった。わけのわからない言葉をたくさん使い、風や森や生き物たちと話をした。
姉たちは、そんな祖母の魔力を色濃く受け継いでいた。
長女のハルは、自然の言葉を使うことができた。風も土も水も火も、彼女の声に耳を傾けた。エレメンタル・バイリンガル。
次女のナツは、動物の言葉を使うことができた。カラスや猫、犬やカエルが友達だった。ワイルド・バイリンガル。
三女のアキはちょっと変わり種で、機械の言葉が使えた。冷蔵庫やテレビ、洗濯機。中古のパソコンを買うときは、彼女の言う通りにしておけば間違いなかった。デジタル・バイリンガル。
「姉さんたちはいいなあ、特別な才能に恵まれて」
母に愚痴をこぼすと、彼女はにっこりと笑って言った。
「あなたには特別な才能があるじゃない。姉妹随一の努力家、フユ。私も魔法は使えなかったけど、人生は自分で切り開いたわ」
そんなわけで、まだ七歳だけど英語がペラペラ。
私はアナログ・バイリンガル。
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