本棚整理、決行! 雑然さを残す良さとは……
お見苦しいトップ写真で申し訳ありません。
これでも安住の地、マイルームの写真である。散らかってるわけじゃない。
ゴチャゴチャしているのは、無造作な本のせいじゃないかな。
この本棚は、頻繁に読む本、すぐ手に取りたくなる本、積ん読本をまとめてストックしているお気に入り。でも……。
▼本棚にムリに突っ込む悪いクセ
本好きさん、こんなご経験ありませんか?
増える本を対処すべく、本棚1段のスペースに、奥から3列重ねで文庫本を突っ込むこと。
単行本との組み合わせなら2列の縦列配置。
しかも棚板で段数を増やすので、本が取り出しにくいったらない。
そんな無茶を強いた結果、この本棚に500冊以上収納していることがわかった。見た目よりも、冊数だけある不思議な状況。
でも……この乱雑さが意外に使いやすかったりするんだな。
問題は、奥に隠れた本が全く見えないこと。
これは由々しき事態である。
▼倉庫部屋の本棚整理
この写真は、我が家の魔境、倉庫部屋だ。部屋の左右の両壁に、本棚が合計6本鎮座している(夫と共有棚)。
倉庫部屋の本棚も、1段に奥行き2列配置。“スペース勿体ない病”、発症中。
手前にある可動式のテーブルにスキャナーを設置して、健気に自炊(自力で電子書籍化)している私。
この作業が棚を乱雑にしている一因でもある。
下の写真は、比較的きちんと片付いている映画関連本の棚段一部だ。他の映画本棚も含め、ばらつきがひどい。
本をテーマごとに並べ替えれば、楽しい棚段になりそうだ。
本棚整理は並べ替えだけではない。
処分本や自炊本を抜き出して一掃する、大がかりな作業なんである。
大変? いや半分以上、楽しんでるかな。
楽しいからこそ、本棚なんて前時代的なものを後生大事にしているのだ。
だからといって電子書籍も大好きな欲張りざんまい。
でも今日は、リアルな本棚に集中していこう。
▼本棚は、書店のような面陳列でさらに楽しく
さて、マイルーム本棚の溢れた本も、多少は倉庫部屋に移動できた。
つぎはお楽しみ、もっと楽しめる本棚づくりをやってみた。
それが、この写真。
積ん読本を「面陳列」してみた。よく本屋さんで見かける、立てかけて表紙を見せているアレだ。
「脈絡がない、整然としていない」って、指摘したくなる方も多いだろう。
それはもうご勘弁。だって、
自分の好奇心を刺激することが一番大事。
見た目の整然さより、自分を惹きつける編集配列が最優先だ。
しかも
面陳列は、意外な効果があった。
積ん読本を、今までより早く手に取り、読み終えたのだ。
面陳列は目を引く。
→気になる →ついつい手に取る →大成功。
●本棚右サイドの上段
この段の積ん読候補は、ハヤカワポケミスの『うまい犯罪、しゃれた殺人』(ヘンリィ・スレッサー)。
短編の名手スレッサーの作品群から、ヒッチコックが精選した名作17篇をまとめた1冊だ。つい手に取って、立ち読みしながら読破しそう。
『ドグラ・マグラ』(夢野久作)は、三大奇書の中の1冊。ポケミスのビニールカバーの中でもニチャニチャ度合いがひどいため、虫干し兼ねて面陳列。
●本棚右サイドの中段上
古典ミステリを並べた段(結局、奥と二列重ね)では、リチャード・ハルの『他言は無用』『伯母殺人事件』を再読しようと面陳列。
構成技巧でのどんでん返しが楽しめるミステリの中、原点的なハルを読み返したくなった。
結末がわかっていてもブラックユーモアのテイストを楽しみ、仕掛けの面白さを味わい尽くす。
私の積ん読本は、ほぼ再読だ。何度も何度も再読するコスパの良い体質なんである。
本は読む時期や状況によって受け取り方、理解度が違う。読み込むのがストーリーだけでは勿体ない。
構造や言葉の面白さ、行間の向こうに見える作者の意図など、初読で見落としていることはいっぱいある。
●本棚右サイド中段下
小説も好きだけど、考察本はもっと好きかも知れない。
考察本は作品世界を広げてくれる手がかりであり、わかりづらい世界感を語ってくれる解説書でもある。
小難しくて面白みがない?
そう思った方は「読まず嫌い」ではないだろうか。
小説以上に面白く、感動を呼ぶ考察本もしばしばある。まあ、執筆者の考察力にもよるのだが。
私はここにある『涼宮ハルヒのユリイカ!』を、折につけ読み倒している。
考察本はレビューと違い、作品論や周辺情報から、文化、芸術、歴史、科学や社会学にも及ぶことがある。
そのため、知識の幅がグンと広がる。
考えることが楽しくなる。
物語を多面的に読み解くクセがつく。
面陳列している『虚構世界はなぜ必要か? SFアニメ「超考察」』の著者古谷利裕氏は、『涼宮ハルヒのユリイカ!』の中でも「向こう側のユキとこちら側のハルヒ」という切り口で執筆している。
面白そうなテーマを探して読むのも、考察本の楽しさだ。
●本棚右サイド下段
『ミステリーの社会学』は、古典ミステリ小説を読みながら振り返る副読本みたいなもの。物語のバックグラウンドを探るのに良し。本、付箋だらけだ。
『レベル3』は、倉庫部屋の整理で発掘されたジャック・フィニイの傑作短編集。隣の『アデン アラビア』『昭和幻燈館』も発掘本だ。
『レベル3』と『昭和幻燈館』については、かなり推したい珠玉の2冊。
別途、きちんとレビュー投稿を上げたいと思う。
『アデン アラビア』(ポール・ニザン)は若い頃に読んだ哲学書に近い本だが、内容よりも冒頭の一文が印象的。
本は楽しい。本の住処の本棚も、楽しい居場所にしたいと思う。