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言葉という不自由なツール

仕事がら言葉というものを意識することが多いので、言葉ってほんと正確さに欠ける不自由なツールだなあと。仕事をするうえで言葉の不自由さは理解しておいたほうがはかどるかなと思い書いてみます。

まず「言葉にした時点でその人の考えをそもそも正確に表現できてない」ということ。恋愛で告白したいとき、悪いと思って仲直りしたいあたりがイメージしやすいでしょうか。「話す」という行動は自分の考えを言葉で当てはめて言語化しているのでわりと言葉で表せる範囲でしか表現できないのと、人はそんなに最適な表現をすべて選べないので、ズレがどうしても出ます。これが話し手側の話。

巨人の長嶋が「ビュッときたらガッと振る!」みたいな表現でわかるか!って事例がわかりやすいですかね。本人の言語化スキルによるところが大きいし、言語化スキルが高くてもニュアンスをすべて表せる言葉はないからズレが生じると。

続いて受け手側の話。こっちはイメージしやすいと思います。同じ講演を聞いても感想って人によって全然違いますよね。同じ話を聞いても人それぞれ都合のいいように話を解釈すると。で、こんないい話聞いたの!ってそこから伝聞で聞いたりしたものはもう原型残ってないくらい割とズレが生じやすいと。伝言リレーってゲームありましたね。

本人が書いたものではなく、インタビュー記事の本や、英語の翻訳本なんかも、翻訳者の意図ががっつり入るのでニュアンス変わります。だってインタビューした人は「どういう思いでそう話したか」って想像でしかないわけじゃないですか。もはやインタビュアーの本といっても過言ではない。ニュアンスは自分で書いても表現するのが難しいのに、人が書いたらそれはもうほぼ別のニュアンス

最近まとめが流行ってますが、まとめはまとめ。ぼくは米国株のじっちゃまのYouTube4時間あるんですが、まとめより多少効率悪くても本体みたほうが学びは多いと思います。

一方で好きに解釈できるからこそ、世の中成り立ってるところは結構あるわけで、「あの人はこんなこと言ってたけど、きっと私のこと思ってに違いない!」とか解釈は好きにできるから、ポジティブにとらえる人もいればネガティブにとらえる人もいると。テレパシーが発達したら物事は正確に伝わるようになりますが世の中きっと破綻しますよね。

でも人が何かを伝えたいときに伝えられるツールは言葉しかないわけなんですね。人は言葉によって人を怒らせることも、悲しませることも、楽しませることも、感動させることもできる。言葉って面白いなあって思います。同じことを伝えるだけでも表現の仕方はいくらでもあるんですね。

夏目漱石がI LOVE YOU を「月がきれいですね」と訳したことは有名ですね。同じ「好き」と表現でも「好きです」なのか「月がきれいですね」でより相手の気持ちを動かす表現ができる。まあ面と向かって好きといえないから、月のきれいさにたとえるってロマンはありますが分かりにくい表現ではありますね(笑)

「言葉というのは正確さに欠けるツール」という認識をしておくと、なんで伝わらないんだろう?なんで意図と違う理解のされ方するんだろう?ってところに納得がしやすくなるかと。そして、同じことを伝えるにもどう表現するかで、相手が受け取るニュアンスはまるで変ってくるので、「相手がどう思うか」を想定において言葉を表現するようにすると、より相手に伝わるようになるのかなと思います。






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