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判定検証

実際に起こった判定の検証を行います。

【アーカイブ】判定検証 2012年7月12日「サヨナラインフィールドフライ」 File No. 005

この記事では遡ること2012年、高校野球神奈川県予選の1回戦武相対日大藤沢で起きた「サヨナラインフィールドフライ」として知られるプレイについて解説いたします。 今回このプレイを取り上げるきっかけとなったのは、先日からX(エックス)で議論させていただいている「ボールインプレイ中のタイムの宣告」。 元々は 「フォアボールの際に打者走者が一塁に到達する前にタイムをかけるべきか否かという質問から始まり、驚いたことに非常に多くの方が 「ボールインプレイ中はタイムをかけてはならない

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判定検証 2024年3月18日「ラインアウト」File No. 001

まず冒頭にお断り致しますが、この記事は判定を下した当該審判員を批判する目的のものではなく、あくまでルールブックおよびマニュアルを用いて当該プレイを検証し、ルールに関する知識を広めてより多くの方々に野球の観戦を楽しんでいただくことを目的とします。 当該プレイ昨日の全国高校野球選抜大会、熊本国府対近江の試合でこのようなプレイが起きました(↓)。 場面と判定 同点の8回表、1アウト走者一・三塁で攻撃側チームがスクイズを試みるも、空振り。三塁走者が飛び出す形となりました。 捕

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判定検証 2024年4月14日「反則投球」File No.003

今回の記事では、2024年4月14日のメジャーリーグ、ガーディアンス対ヤンキースで起きた投球モーションを検証していきます。 ※「どのルールに違反している可能性があるか」の「投球動作の中止」の項において、走者なしにおける「正規の投球姿勢」に則らず投球をした場合、「反則投球になる」としていましたが、誤りで「ペナルティはなく、タイムをかけてやり直させる」が正しいルール適用になります。大変失礼しました。 当該プレイ場面は2回裏、ノーアウト、走者なし。 カウント0ボール、2ストラ

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判定検証 2024年4月13日「観衆の妨害」 File No. 002

今回の記事では、2024年4月13日の東京ドームでのプロ野球の試合で起きた「観衆の妨害」に関わる判定について、検証していきます。 当該プレイ8回裏同点の2アウト、走者一・二塁。ファウル地域にフライが上がりました。 三塁手が観客席付近まで打球を追って捕球しようとしたところ、同時にそのファウルボールを捕球しようとした観客が打球に触れたため、守備行為が妨げられてしまいました。 判定 当該である三塁塁審は「観衆の妨害」には当たらないとし、ファウルとしました。 ルールの根拠

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日本一詳しいMLB新ルール解説 ペース・オブ・プレイ

野球界で今話題のロボット審判、ピッチクロック情報が満載!審判目線からほかでは知れない野球ファン必見、MLB新ルールを解説しています。

【無料記事】野球人気回復へ!抜本的改革に至る経緯【MLB】

2023年、メジャーリーグ機構は、ペース・オブ・ゲームの向上を目指し、ピッチクロックの導入、シフト制限、および大きいベースの導入などの抜本的なルール変更を実施しました。このような改正により、目論見通り一定の成果が上がっているようです。 この記事では、MLBがこの改革に至るまでの経緯を見ていきます。 野球人気の低迷↓のグラフは1995年から2022年にかけてのメジャーリーグにおける観客動員数の変化です。2007年を境に減少傾向にあることがわかります(2020年はコロナウイル

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MLB審判の精度とABS

ABSの詳しい解説に入る前に、審判員の立場からこのいわゆる「ロボット審判」を題材にするにあたって、読者の皆さんに理解しておいていただきたいことがあります。 それはABS導入がMLB審判員の投球判定の精度の低下によるものだ、という意見はまったくのミスリードだということです。MLB審判員の精度はテクノロジーの助けもあり、未だかつてないほど高い水準にあります。 SNSの普及「MLB審判員のクオリティが低下している」という仮説は、インターネットやソーシャルメディアの普及により、文

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日本で一番詳しいピッチクロック解説②

前回の記事ではピッチクロックの肝、時間制限とその細かな運用方法を解説いたしました。今回はペース・オブ・ゲーム(時間短縮励行)ルールの一環として、ピッチクロックとともに導入された「投手が投手板を外す回数」とそれに関連するルール、ならびにピッチクロックの導入に伴い新たに時間制限が設けられたマウンド・ビジットについて見ていきます。 ディスエンゲージメント用語解説 ここまでは意味がわかりやすいように「投手が投手板を外す」という言葉を使ってきましたが、ここからは「ディスエンゲージメ

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日本で一番詳しいピッチクロック解説①

2023年からメジャーリーグの公式戦で運用が開始されたピッチクロック。日本でもその認知度が上がってきています。大まかなルール説明をしている記事はネット上でもよく見かけますが、細かくルールを解説しているものは見かけません。そこで、今回はそのピッチクロックについて、他では知れない内容をふんだんに盛り込んで解説していきます。 概要こちらのNHKの記事が大変わかりやすく、ピッチクロックの概要について解説してくれています。 ちなみにこちらの記事は昨年の3月に書かれたものなので、先日

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ルール改正 まとめ

これまでのルール改正を解説した記事をまとめています。

2024年度 野球規則改正②

シフト制限審判員の役割分担 フォーメーションのような決まりという決まりはありませんが、違反を犯す恐れのある野手は二塁手と遊撃手なので、この二人の野手を四人制なら二塁塁審が、三人制なら一塁塁審が二塁手を、三塁塁審が遊撃手を、二人制なら塁審が確認するのが慣例と言えます。球審はピッチクロックもありますので、基本的には内野手の守備位置を気にするだけの余裕はありませんが、いわゆるセンターラインをいずれの野手がまたぐかどうかは実質球審にしかわからないため、その際は確認することもありえ

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2024年度 野球規則改正①

今回は昨年の12月15日に発表された、2024年度野球規則改正について見ていきたいと思います。 詳しい解説を、と思いましたが、2ヶ月後の後出しジャンケンということもあってか、すでに解説をされている方のブログなどをチェックしていたところ、大変素晴らしい記事を見つけましたのでまずご紹介させていただきます。 こちらは先日もメジャーリーグのルール改正の方でご紹介させていただいた「numの野球・サッカーのルール解説」さんによる解説です。 とあるように、変更を一つひとつ丁寧に解説し

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2024年度 MLBルール改正

こんにちは。 昨年末の12月21日にメジャーリーグ機構(MLB)から2024年シーズンに向けてのルール変更の発表がありました。 走塁レーンの拡張①背景 まずはこちらの映像をご覧ください。 これは2019年のワールドシリーズ第6戦での出来事。「一塁に対する守備が行なわれているとき、本塁一塁間の後半を走るに際して、打者が(中略)ファウルラインの内側(向かって左側)を走って、一塁への送球を捕らえようとする野手の動作を妨げたと審判員が認めた」ため、打者(走者)はアウトを宣告さ

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プレーの見方集

各塁でのプレーを見方の解説集。

【一部無料記事】一塁ベースでのプレイの見方

フォースプレイ(内野ゴロ) -基本編-距離と角度 打球が打たれたら、内野手の送球から90度、一塁ベースからは5〜6メートルの位置に入ります。 センターラインより左側の打球はフェア地域内でも90度が確保できますが、センターラインより右側の打球に対しては90度より角度が浅くなってしまってもいいので、フェア地域に二、三歩入ったところ、一塁ベースから90度の位置に入ります。 二塁手が守備行為をするにあたって、極端に自分の方向に向かって動いてくる「プレッシャーボール」の場合、や

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「超」鉄則 ウェッジ理論 - タッグプレイを極める -

今回はタッグプレイを見る際に基本中の基本となる「ウェッジ理論」について、本塁でのプレイをもとに解説してまいります。 本塁でのプレイの見方の変遷一・三塁線の延長 おそらくこのセオリーが現在も日本で主流となっているものではないかと思います。私がアメリカの審判学校に行った2012年に教わったのもこの方法です。英語ではFirst(third) base line extendedと言います。 一塁線の延長 捕手がブロックに行く際に使うポジショニングと教わっていました。一昔前ま

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【超鉄則】ワーク・ザ・ベース

今回紹介する「ワーク・ザ・ベース」という概念は、日本の審判界においてまだ馴染みのないものですが、アンパイアリングの可能性を最大限にし、より良い判定を下すためには非常に大切な考え方です。 「中を空けないで!」「中」の正体 昨日、X(エックス)でいくつかプレイの見方の参考になる映像をシェアしたところ、 二塁塁審のプレイを見る位置について、このようなつぶやきを発見しました。 「中」とは恐らく赤で示したダイヤモンドの内側(図↓)のことだと思われます。 審判学校”神格化”説

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二塁ベースでのプレーの見方

今回は、1アウト走者二塁から左中間(センター寄り)への打球で二塁で打者走者に対してタッグプレーが起きるケースで見ていきましょう(映像はこちら↓)。

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【保存版】野球のボークとは?

種類・判定基準・最新情報を完全解説!

【実例つき】わかりやすい反則投球 完全解説

今回の記事では、ボークの中の一項目である「反則投球」について、深掘りしていきます。 定義ボークの記事でも解説したように、反則投球には大きく分けて2種類あります。

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【保存版】野球のボークとは?種類・判定基準・最新情報を完全解説! Part③

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【保存版】野球のボークとは?種類・判定基準・最新情報を完全解説! Part②

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【保存版】野球のボークとは?種類・判定基準・最新情報を完全解説! Part①

概要定義 歴史 ボークのルールが制定されたのは、1898年のことでした。初めにできたルールは、投手は「踏み出した方向にボールを投げなければいけない」というもの。その後、ベースボールというスポーツが成熟していく過程で、ボークのルールが追加・改変されてきました。主なものは以下の通り。 1898年 「ボーク」ルール誕生 1899年 牽制の”ふり” を禁止する 1950年 走者がいるときは「投球する前に1秒間の静止」が必要となる 1963年 ナショナル・リーグがボークの適

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