見出し画像

丁寧に描かれているのは、団塊世代の家族のありようだと感じました

■感想文『フリーター、家を買う。』/著者・有川浩さん


タイトルのみで本を選びました、ドラマ化されんだーって思いながら。読後の今は、タイトルがキャッチコピーみたいで、広告戦略的なイメージが本書と合わないような気もしています。

本書は、無気力なダメ・フリーター誠治が、家族の不和・病気をきっかけに更正して家を買う話。

ダメ・フリーターがどんな風に七転八倒して家を買うんだろう

なんて、ポップな感じを私は期待してましたが、紆余曲折が活劇みたいに描かれているわけではないです。丁寧に描かれていたのは、父、母、姉、息子の家族。日本の多くの家族が抱える問題へ取り組みかた。これが丁寧に描かれていました。特に父・誠一の妻・寿美子への接しかたの描写は妙です。誤解を恐れずに言わせて頂ければ、誠一と寿美子の夫婦は、団塊の世代に多い夫婦構造かもしれません。

自分は団塊の世代だ

あるいは、団塊の世代を両親に持つ世代は、とくに共感できる側面が多い一冊だと感じます。姉・亜矢子がそんな家族のありかたへの不満の代弁者になっている面もあり、キャラクターは対比が効いていて個人的には非常に好感を持ちました。ほかにも、本書には、大悦貞夫という土建屋のオヤジが出てきますが、彼と猫とのエピソードのときの、彼のセリフには吹いてしまいました笑。主人公が正社員になるまでの道のりも、丁寧に書かれています。その成長ぶりはやや好都合な感じもしますが、私は許容範囲。唯一、細かい点を挙げると、父・誠一と息子・誠治の名前が非常に気になりました。読んでいると、ときどき、「どっちがどっちだ? 」と話者がわからなくなって、正直少し読みづらかったです。全体的に、本の前半と後半で雰囲気が変わると思います。前半真剣で後半ややポップな感じ。後半の終盤には恋愛の話もありますよ。


この記事が参加している募集

#読書感想文

192,621件

一日一つの投稿を続けます。それは、文章を書くという、コンテンツメイクの楽しさをnoteが思い出させてくれたから。ありがとう。ライフワークが手につかないくらいnoteのことを考えてしまうので、noteをライフワークにすべく、今後も続けます。読んでいただいて、ありがとうございました。