見出し画像

人生の選択肢を広げる「自分の名前で仕事する力」は、3つの”ワーク”をどう時間配分するかが鍵

日経新聞の記事で、「副業容認の企業3割」「『副業に関心ある』会社員7割」という記事が出ていました。

会社で働きながら社外に職を持つ「副業」が普及している。日本経済新聞社と日経HRの共同調査では副業を認める企業は3割に上り、会社員の7割以上が関心を持っているとわかった。社員が本業で生かす知見や人脈を培う機会になる。専門スキルや多様なアイデアを募る手段としても、副業の活用が企業で広がりつつある。

世の流れとしては、副業はこれからさらに広がります。しかし、単に「お小遣いを稼ぐ」感覚で副業をやっても、本業へのエネルギーが割かれるだけで本末転倒です。また、忙しくなりすぎて時間の余裕がなくなっては、心身の健康にも影響が出てしまいます。

副業はあくまでも手段です。やるもやらないも個人の自由ですし、私は副業を推奨したいわけではありません。大事なのは、「仕事の選択肢が増えた今、どういった方向性を目指していくのかについて、見通しのきくビジョンを描くこと」ではないでしょうか。

「自分の名前で仕事する」4つのキャリアパターン

以前、ワークスタイルについて、このような記事を書きました。「自分の名前で仕事する」キャリアパターンの考察です。

この記事では、「プロフェッショナルサラリーマン」「売れっ子副業」「仕事を選ぶフリーランス」「雇わない経営者」という、自分の名前で仕事をする人にとってのキャリアパターンを4つに整理しています。

画像1

プロフェッショナルサラリーマンは、会社に所属し、組織の力を最大限に活用しながらも、「会社のプロジェクト」と自分の名前とを結びつけることによって、「●●会社の▲▲さん」として世の中に認知されています。会社の名前やプロジェクトが一定のブランド力を持つ場合、SNSでの情報発信を組み合わせることで、「自分の名前」も広まっていきます。ただし、所属先の会社のイメージと自分の名前がひも付いているので、「副業で大きな収入を得る」というのは難しくなります。

売れっ子副業は、会社に所属しているものの、副業の稼働で売上をどんどん伸ばしていきます。所属先の会社のイメージと自分の名前とのひも付きが強くないため、ある種の個人事業主として自由に動きやすくなります。体力や時間の続く限り、売上を伸ばしていくことも可能です。このタイプの方は、副業の事業規模が一定以上になったタイミングを見極めて独立することが多いです。

仕事を選ぶフリーランスは、例えば、「A社では週1日、B社では週に2日、C社ではミーティングベースで」のように、案件やお客様のポートフォリオを組みつつ、自分の時間をコントロールして仕事しています。所属先による縛りがないので、状況に応じて、稼働のメインをどこにするかといった調整をフレキシブルに行いやすくなります。一方、「どこか安定した勤務先がある」というわけではないので、案件のバランスに気を配る必要があります。

雇わない経営者は、自ら事業を起こして経営しているものの、「会社をスケールさせる起業家(スタートアップ経営者)」というより、「組織の規模は一定に抑えて、物理的・精神的な自由度を上げる」という生き方を選んでいます。クラウドを活用した働き方の浸透により、正社員でなくとも労働リソースを調達できますので、仕組みをいったん作ってしまえば、自分の関与度を低くしながらも、収益が上がっている会社を作りやすくなります。

人生の幸福度に影響を与える「3つの”ワーク”」

4つのキャリアパターンについて述べましたが、人生の幸福度は、お金だけで測れるものではありません。お金があることによって、物理的・精神的な自由度は上がるかもしれませんが、そのために健康を損なってしまっては人生を楽しむべくもないですし、仕事を通じた自己実現というのも大事な要素です。そのあたりは、過去の記事でも解説しています。

「金融資産(資本)」「人的資本」「社会資本」だけでなく、「時間資本」「健康資本」「実績資本」を合わせた6つの資本については、先の記事を参照頂くとして、ここでは、3つの「ワーク」について解説します。

ライスワーク(Rice Work):生活費を稼ぐための仕事。これは、自分の人的資本を投入して、金融資産を増やすものです。多くのビジネスパーソンにとっては、時間資本や健康資本が失われないように気をつけつつ、日々の生活を維持するための土台となります。
ライクワーク(Like Work):単に好きだからやっている仕事・活動。これは、金融資産の蓄積にはつながらないものの、人とのつながり(社会資本)や将来のキャリアにつながる実績資本が積み上がることがあります。ライクワークの時間が長いと、精神衛生上(健康資本)も良い影響があります。
ライフワーク(Life Work):人生の意味や自分の使命につながる仕事・活動。できれば、人は自分の時間資本を可能な限りここに投入したいと考えています。それが、人的資本としてのスキルアップや社会資本・実績資本の積み上がりにつながればとてもハッピーです。

さて、これら3つのワークについて、冒頭にお伝えした4つのワークスタイルとひもづけるとどうなるかを考えていきます。

4つのキャリアパターン×3つのワーク

ここでは、横軸に「3つのワーク」、縦軸に「4つのキャリアパターン」を取って、どのようなポートフォリオで活動しているかを整理してみました。

画像2

プロフェッショナルサラリーマンは、現在の勤務先への満足度が高く、「他社に転職しよう」「まもなく独立しよう」などと考えていないことが多いです。会社のブランド力を個人が最大限享受しており、収入面における充実(ライスワーク)、自分の嗜好との一致(ライクワーク)が図られておりつつ、「なぜいま自分がこの会社で働いているのか」(ライフワーク)も明確です。この状態にある人は、1つの仕事を通して6つの資本が効果的に積み上がっていますから、輝いているオーラが出ています。当然ながら、色々なところから声がかかります。そこで、副業などをすることはありますが、本業に差し支えのあるような割合にはなりません。また、各方面からのお声がけによって、「お金にはならないが楽しそうな活動」や「未来につながる取り組み」が自然と増えていきます。

売れっ子副業は、勤務先における仕事を「生活収入を安定させる手段」として割り切って考えています。会社から払われる給料を、いわばサブスクリプションの売上のように見ている人もいます。このタイプの人は、「稼ぐための仕事」「好きな仕事」として、副業を積極的に開拓していきます。しかし、本業からの収入を補填する意味合いでの副業という色が強く、副業では「稼ぐ」ことを重要視しています。将来のためにプロボノや未来投資の活動を行うこともありますが、副業をアグレッシブに行うことへと時間が使われやすいため、「今を生きる人生になりやすい」という側面もあります。

仕事を選ぶフリーランスは、一定の所属先を実質として持たず、お客様や案件のポートフォリオを組んでいます。仕事は、大まかに「強みを活かして稼ぐ高単価の案件」と「低単価(あるいは無償)だが、好きなことややりがいのある案件」とに分かれます。フリーランスの場合は、相手によって料金プランや見積もりを柔軟に変えられるので、「あまり気の進まない仕事は高く、やりたい仕事は低く」報酬を設定するということが可能です。ただし、「自分の稼働をお金に変える」というビジネスモデルなので、収益が発生しない「プロボノや未来投資の活動」へとまとまった時間を割くことは難しくなります。

雇わない経営者は、自分の名前で仕事を受注するものの、実働部分は他人のリソースで回るように仕組み化をしています。そこで、時間の自由が他の3タイプに比べて利きやすくなります。最近は、このタイプの会社経営について書かれた本も出てきています。

雇わない経営者は、やろうと思えば自分の稼働によって売上をあげることもできますが、それでは自分の時間がボトルネックになるので、生活費を稼ぐ部分を「仕組みで回る」ように設計しています。そのため、本業とは別に、自分が好きな領域の案件について声がかかってきたら、「無料でも喜んでやる」ことが躊躇なくできます(プロボノ)。そして、情報収集や人のつながりを広げていくような未来投資の活動を、他人から声がかかる前に自ら仕掛けていけます。一見すると良いことづくめのように見えますが、ここまで仕組みを完成度高く作り上げるのは至難の業です。

このあたり、12/8 (火) 19:00-20:30@zoomで、「人生の選択肢を広げる「自分の名前で仕事する力」」をテーマに詳しくお話します

1億総サバイバル時代となった今、「自分の身は自分で守れ」といきなり言われても、最初の一歩をどう踏み出したらいいのか、悩む方も多いと思います。自分と家族の生活を守るための「個としての営業力」について下記の記事に書いていますので、宜しければこちらもお読み下さい。

人生の選択肢を広げる「自分の名前で仕事する力」は、3つの”ワーク”をどう時間配分するかが鍵となります。

この記事が、皆さんのお役に立てましたら幸いです。

#日経COMEMO #NIKKEI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?