見出し画像

ビートルズ "Lovely Rita"、私が感じ取った曲の印象

ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。

第 85回目、今日の楽曲は...

アルバム SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND B面 3曲目 "Lovely Rita"

サウンド:★★★☆
メロディ:★★☆
リズム :★★
アレンジ:★★★☆
第一印象:★★☆
スルメ度:★★★
独創性 :★★★
演奏性 :★★★☆

<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>

ピアノとアコースティック・ギターによるイントロが、なんともさわやかである。歌いだしのボーカルもサビから始まり、定番の 3部コーラスとなっている。そのあとポールのソロ・ボーカルとなるが、ときおり入るオブリガード的なバイオリンのような音が、極めて印象的である。このバイオリンのような音は、ジョージ・マーティン曰く、スライド・ギターで作っているらしい。

例によって、ベースの音がクリアでタイト。ベース・フレーズも無茶苦茶洗練されていてカッコいい。それに比べて、リンゴのドラムが、いまひとつ元気がない。全体的にスネアがモタりぎみで、8分音符で弾くベースにややブレーキをかけているようである。

キーは Ebメジャー。コード進行は、ちょっと凝っていて、冒頭のサビ "Lovely Rita, meter maid..." から Bb→Ab→Eb→Bb、それに続く Aメロ "Lovely Rita, meter maid Nothing can..." からは、Eb→Db→Ab→Eb→Bb→Cm→F→Bb となっていて、Db や F の響きが斬新である。

この曲の一番の聞きどころは、2回目の Aメロが終わったあとの、バック・コーラスである。4分音符で優雅に曲のタイトル "Lovely Rita" を歌いあげている。これが非常に美しい。その後、短いドラム・フィルが入って、ホンキートンク・ピアノ調の間奏に続く。このジョージ・マーティンが奏でるピアノ・ソロが、この曲調によく調和していると思う。

あと、声によるパーカッションがおもしろい。2回目の Aメロ "In a cap she looked much older..." から「チュク、チュク...」というような、マラカスのような声を入れている。その後にも同じ声が入っているが、一部「チー」という声に変えていて、TR-808のオープン・ハイハットのような声にしていて、地味に凝っている。

3回目の Aメロの途中 "Had a laugh and over dinner" のすぐあとに、小さく「ポッ」という音が聞こえるが、文献によると、これは口の中に指を入れて弾く音とのこと。さらにトイレットペーパーを櫛で破く音を入れるなど、もうハチャメチャ状態なのだが...。

曲の最後のほうでは、「ダッ、ダッ...」とか、息を吐くような「ハー」 とか、ほとんどお遊びでやっているとしか思えない声の、オンパレードとなっている。エンディングでは、バックのピアノも怪しげなコードとなり、イントロのさわやかな雰囲気とは逆の、異様な雰囲気でこの曲を終える。

あくまで曲の印象を具体的に表現するための手段です。曲をランク付けする意図はありません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?